横浜FMの主将を務める齋藤学 [写真]=清原茂樹
試合後、横浜F・マリノスの齋藤学が何度も口にした言葉がある。表現自体は「こんなんじゃ上にはいけない」、「こういうサッカーをしていたら上にはいけない」、「この内容じゃ上には上がっていけない」と様々だったが、言いたいことは一つだった。「このままでは上にはいけない」――。
4月22日の明治安田生命J1リーグ第8節柏レイソル戦からチームはリーグ戦で3連敗。第7節のサンフレッチェ広島戦で中澤佑二がゴールを決めてからは無得点が続いていた。何とかしないといけない。勝たないといけない。そんなプレッシャーをチーム全体から感じていたと、指揮官も指摘する。「自然と選手たちが(勝たないといけないという)プレッシャーを感じてしまった。結果に対して、そしてプレーの内容自体もうまくいかなくてプレッシャーになっていた」
そんな中で迎えた、第11節のヴァンフォーレ甲府戦。試合は前半のアディショナルタイムにセットプレーのこぼれ球を金井貢史が押し込み、横浜FMが4試合ぶりの白星を得た。これでチームは連敗を脱し、あとは上昇していくだけ。喜んでもいいはずだった。しかし齋藤は「勝ちはしたけど、こんなんじゃ上にはいけない。ちゃんとF・マリノスらしいサッカーを続けていかないといけない」と開口一番に語った。
「前半の戦い方を後半も続けていければ、2点、3点とあったと思うけど。チーム自体も若いし、3連敗していたので、失点したくないという思いがすごく強くなっちゃった分、ボールを蹴る回数が増えて間延びしたり、ポジショニングが広くなってしまうシーンがあった」
それでも勝ったことは、ポジティブに捉えられると言う。「若い選手が多い分、勝ちを拾うことで、次はもっといい試合ができるようになると思う」。さらに横浜FMのサイド攻撃は強みの一つだが、「外だけでなく、中の恐さを出していくことが、外の強みにもつながる」と齋藤は指摘。チームが上に行くために必要なことを提示した。
「自分のプレーもまだまだですけど、本当に強くなっていくために必要な段階を踏んでいるところなので、次はもうちょっといい試合を見せられたらいいかなと思います」。横浜FMらしいサッカーを取り戻すため、チームをさらに引き上げるため、齋藤はこれからもチームを鼓舞し続けていく。
By サッカーキング編集部
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