FC東京戦で決勝ゴールを挙げた横浜FMの天野純 [写真]=JL/Getty Images for DAZN
迷いはなかった。利き足ではない右足側に落ちてきたボールだったが、天野純は右足を振り抜いた。
横浜F・マリノスはスコアレスで迎えた88分、山中亮輔のスローインを扇原貴宏が天野に出す。「タカがあの位置でボールを持った時に、間が空くというのは前半から分かっていたので、『相手の足が止まってきたら、俺がそこに入るから入れろ』とタカには前半からずっと言っていた」と天野が振り返る。
まさにそのシーンが訪れた。扇原からのパスを間で受けた天野は、富樫敬真に浮かしたボールを出す。そのボールを「あれは右足に落としたんですけど…。相手が来ていたので遠い足(=右足)に、というイメージがあった。自分的にはとりあえず落として、次をもらえる動きをしようとした」という富樫だったが、ヘディングで落としたボールに相手DFのプレスが遅れ、天野はフリーでゴール左隅に突き刺した。
「前に(富樫)敬真がいたのが分かっていたので、フリックで敬真に一度当ててから俺に返したら、俺の前のスペースに行くっていうのが分かっていたので、イメージどおりでした」
今季、中盤の選手としてはリーグ戦唯一のフル出場を更新中だ。使ってくれる監督の期待に、ユース時代から変わらないコールを使い続けてくれているファン・サポーターに、恩返しがしたかった。その熱い気持ちが、得点後、自然と天野をゴール裏へと走らせた。
「今シーズンは試合で使ってもらっているのに満足のいくパフォーマンスができていなくて。チームは連勝していたけど、僕のパフォーマンスはファン・サポーターにすごくストレスになっていたと思うので、やっと恩返しじゃないですけど、ずっと応援してくれていたので、気付いたらゴール裏に行っていました」
実はリーグ戦はプロ初ゴール。昨シーズンの天皇杯での、チームを救った連続ゴールが記憶に新しいが、プロ4年目でようやく決めたリーグ初ゴールに喜びもひとしおだ。「やっとチームの勝利に貢献できたので良かった。でも、これに満足しないでもっともっと点を取りたい」
最近では偉大な先輩と比べられる機会が増えてきた。まだまだ遠く及ばないが、それでも引き合いに出されるということは、存在感が増している証だ。「早く追い越せるように頑張ります」。天野の中で、少しだけその背中が見えてきたのかもしれない。
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By サッカーキング編集部
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