首位をひた走るチームに豊富な運動量で貢献している、福岡MFジウシーニョ。 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
■“古巣”岐阜と対戦する、福岡MFジウシーニョ
12勝4分4敗という好成績で首位を快走。ここ4試合負けなしと好調をキープしている福岡が、前節も千葉と撃ち合いの末に4-6で敗れるなど、出入りの激しいゲームが多い16位の岐阜と対峙する今節のゲームでは、古巣対決を迎える1人のブラジル人アタッカーをフィーチャーします。
ジウソン・ド・アマラウ。Jリーグファンの間ではジウシーニョという名前で知られる33歳は、2008年の磐田加入時に初来日すると、シーズン途中で内山篤監督を解任し、ハンス・オフト監督を再登板させるなど、苦しいリーグでの戦いを強いられていた磐田の中で、チームトップの9ゴールをマーク。仙台とのJ1・J2入れ替え戦でも2試合にスタメン出場を果たし、主役級の活躍でJ1残留に貢献してみせます。開幕から好調の続いていた2009年には右膝に大けがを負い、1年近い戦線離脱を余儀なくされた時期もありましたが、磐田には4シーズンに渡って在籍。その献身的なプレーが強く印象に残る選手だったことを記憶しています。
そんなジウシーニョが再び日本の地に帰ってきたのは2013年。偶然にも私が中継で訪れていた山梨中銀スタジアムで、甲府の新加入選手として紹介されていたのが彼でした。挨拶1つ取っても一発でわかる“いい人感”。スタジアムからも大きな歓声と拍手が送られていました。城福浩監督の下、実質1年半の在籍期間内はどうしても守備の時間が長くなるチームで、シャドーや右ウイングバックとして与えられたタスクをやり切る姿勢を披露し、クラブ初となる2年連続J1残留を達成して契約満了に。サポーターに愛される選手という印象が甲府でも健在だったのは間違いのない所でしょう。
3度目の来日は2015年に岐阜で実現。既に加入時にはシーズンも折り返しを過ぎており、チームも残留争いを繰り広げている難しい状況の中、変わらぬ献身性でJ2残留の一翼を担いながらも、シーズン終了をもって退団。そして今シーズン、1年でのJ1復帰を狙う福岡から4度目となる来日が発表されると、シーズン初出場となった第7節の町田戦でいきなりゴールを記録。5月以降はスタメンの座を確保し、首位をキープするチームに持ち前の豊富な運動量で活力をもたらしています。
前述したように所属していた期間こそ数ヶ月間だったものの、ジウシーニョにとって今節の岐阜戦は古巣を相手にする一戦ということもあって、おそらくは気合もいつも以上に入っているのではないでしょうか。岐阜もアウェイとはいえ、9戦未勝利という現状を何とか打破したい所ですが、今季3度目の3連勝を狙う福岡に死角なし。ここはホームチームが勝ち点3を獲得する「1」を予想したいと思います。
■大分MF山岸智は、8年ぶりにフクアリへ帰還する
6-4という壮絶なスコアで岐阜に撃ち勝ち、4試合ぶりの白星を手にした13位の千葉と、後藤優介のハットトリックで群馬とのアウェイゲームを制した8位の大分が、フクダ電子アリーナで激突する前半戦ラストの第21節。この一戦では8年ぶりにフクアリへ帰還する山岸智に注目したいと考えています。
今年で34歳になった山岸がジュニアユースとユース時代の6年間を過ごしたのが当時のジェフユナイテッド市原。2つ上には阿部勇樹(浦和)や寿人(名古屋)と勇人(千葉)の佐藤兄弟、1つ上には中後雅喜(東京V)、同期には岡本昌弘(千葉)と錚々たるメンバーが揃う中で自らを磨いた山岸は、2002年にトップチームへ昇格。ルーキーイヤーこそ出場機会を得られなかったものの、2年目のシーズンとなった2003年には就任直後からイビチャ・オシム監督の高い評価を受け、開幕戦でJリーグデビューを飾ると、いきなりそのゲームでJリーグ初ゴールまで記録。以降は途中出場が多かったとはいえ、飛躍的に出場時間を伸ばし、最終節までJ1の優勝争いを繰り広げた2005年にはスタメンを確保。同じ年にナビスコカップでのクラブ初タイトル獲得にも大きく貢献するなど、いわゆる“オシムチルドレン”としてその名を知られるようになっていきます。
さらに2006年にはオシム監督からの招集を受け、日本代表にもデビュー。翌2007年のアジアカップにも羽生直剛(千葉)、巻誠一郎(熊本)、水野晃樹(鳥栖)といった千葉のチームメイトと共に出場するなど、着々と経験値を積み重ねていきますが、その年のオフには巻以外の代表経験者全員がクラブを離れる決断を下した中で、山岸も川崎へと完全移籍。スタメンフル出場を果たした2008年と、ベンチから試合を見守った2009年の2年間は、フクアリへと帰還したものの、2010年から2015年まではJ1の広島に、2016年はJ3の大分に在籍していた山岸が、かつてのホームスタジアムでプレーする機会はなく、自身にとって8年ぶりに同じカテゴリーとなった千葉とのアウェイゲームを戦う今節は、久々に彼がフクアリのピッチに立つ姿を見られるかもしれない一戦という訳です。
現在の千葉で2007年以前からプレーしている選手も岡本、羽生、佐藤勇人の3人となりましたが、今ではキャプテンマークを巻いて大分を牽引している山岸もこの一戦に懸ける想いは強いはず。そういう意味でもこのゲームは特別な90分間になりそうです。ただ、今シーズンの千葉はフクアリで4勝5分と無敗を続けており、大分にとって過去15回戦っている千葉とのアウェイゲームはわずかに2勝というデータも。今回はこの数字も鑑みて、千葉が今季初となる連勝を達成するという「1」で勝負します!
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第21節
2017年7月1日(土)18時キックオフ
アビスパ福岡vsFC岐阜(レベルファイブスタジアム)
■明治安田生命J2リーグ第21節
2017年7月1日(土)18時キックオフ
ジェフユナイテッド千葉vs大分トリニータ(フクダ電子アリーナ)
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