中澤とともに前半戦17試合フル出場を果たした [写真]=Getty Images for DAZN
7月2日の明治安田生命J1リーグ第17節・大宮アルディージャ戦で、39歳の中澤佑二がフィールドプレーヤーの新記録となるJ1連続140試合フル出場を達成。チームも2-1で勝利して2014年以来となる5連勝を飾り、大団円で締めくくられた。
その裏で、プロ4年目の天野純が前半戦フル出場を成し遂げていた。今季のJ1でここまでフルタイム出場しているフィールドプレーヤーは、中澤と天野を含めて計10選手しかいない。さらにMFに限定すると天野と山口蛍(セレッソ大阪)のみ。他の8選手は中澤を筆頭にDF登録で、FW登録の選手はいない。
昨季終盤にレギュラーポジションを掴んだ天野だが、今季開幕を迎えるまでの3年間で出場したのは前半戦と同じ17試合。この数字を見ただけでも、飛躍的な成長を遂げているシーズンであることが分かるだろう。
開幕直後のポジションはボランチだった。高いテクニックと豊富な運動量を買われて先発に名を連ねると、開幕戦の浦和レッズ戦と第2節・北海道コンサドーレ札幌戦で2試合連続アシストを記録。目に見える数字を残すことで足場を固めていった。
一方で「自分には守備力が足りない」と自らの課題を口にすることも多かった。ボールを奪い切る力強さも、ピンチを事前に把握する危機察知能力も、ボランチとしての経験が不足しているがゆえに向上の余地を残していた。
しかし第13節・清水エスパルス戦からはチーム事情も踏まえ、本来のポジションであるトップ下へ。すると第15節・FC東京戦でリーグ戦初ゴールを決めるなど進化の兆しを見せる。「自分一人の力で局面を打開する、というのがテーマ」という力強い言葉を体現して見せたのである。
時折、自身に言い聞かせるように発する台詞がある。
「試合に出ることに慣れてはいけない。危機感を持ちながらプレーしたい」
前半戦フル出場が示す通り指揮官からの信頼は厚い。トップ下とボランチの両方を高いレベルでこなし、セットプレーのキッカーとしても重宝される。だが、試合に出ることが目標の時期は終わった。
「ここまでフル出場を続けていて、最低限のパフォーマンスは出せていると思う。でも、それでは満足できない。欲張りになっている。少し前は試合に出てもポジションを守るために安全なプレーを選択していた。今はもっと上へ行くためにチャレンジしている」
今月19日に26歳の誕生日を迎えるレフティーは貪欲だ。「だからこそ、充実している」と目を輝かせ、後半戦のピッチへ向かう。
文=藤井雅彦
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By 藤井雅彦