2006年のドイツ・ワールドカップなど、国際舞台の経験も豊富な駒野友一は現在福岡でプレーする [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
■福岡vs群馬では広島育ちの35歳のベテランが対決
リーグ前節は好調金沢に0-2で競り負け、6試合ぶりの黒星で2位に後退した福岡が、6連敗中で最下位が続く群馬のホームに乗り込む一戦。このゲームでは2000年に同じクラブでプロキャリアをスタートさせた35歳の2人の対決をフィーチャーしたいと思います。
久保竜彦や藤本主税、服部公太といった若手を積極的に起用したエディ・トムソン監督のもと、リーグ戦で久々の一桁順位を記録し、天皇杯でも準優勝に輝いた1999年の広島。その翌年には7人のルーキーがプロ選手としての道を歩み出しますが、その中にいたのが現在は地元の群馬で奮闘している松下裕樹と、福岡でプレーする駒野友一です。
当時の同期は和幸と浩司の森﨑兄弟、八田康介、山形恭平、中山元気に駒野と松下。既に高校3年時には2種登録でリーグ戦に出場していた森﨑和幸は、ルーキーイヤーからレギュラーを確保し、駒野も2年目から右サイドバックでスタメンに定着しています。
一方、高校ナンバーワンボランチとも称されていた松下にはなかなか出場機会が訪れず、J2での戦いを強いられた2003年こそ駒野の負傷離脱を受け、昇格の懸かったシビアな終盤戦でチームを右サイドから支えましたが、翌年に期限付き移籍で加わった福岡で3シーズンを過ごした後、2007年からは草津でプレー。絶対的な大黒柱として、地元で絶大な人気を獲得することになります。
2004年にはアテネ・オリンピックを経験するなど、日本有数の右サイドバックとしてその名を知られるようになった駒野は、幾度も病気に見舞われながら確実に成長を遂げ、2006年のドイツ・ワールドカップにも出場。広島では確固たる地位を築いていたなかで、2008年に磐田への完全移籍を決断。一時は広島への復帰も噂されたものの、8シーズンに渡ってサックスブルーのユニフォームに身を包み、F東京での半年間を経て、2016年の後半戦からは福岡へ。今シーズンはここまでJ2のアシストランキングトップを走っており、1年でのJ1復帰を狙うチームを牽引してると言っても過言ではありません。
今シーズンに入ってからは先発を外れる回数が増えてきていた松下も、ここ4試合はスタメンフル出場。やはりこの人の展開力と相手ボールを刈り取る力強さは、群馬にとって欠かせないピースのように感じられます。広島の地でチームメイトとして出会ったシーズンから17年。松下と駒野がピッチ上で再会できることを願いつつ、ここはレベスタで敗れた1巡目の借りを福岡がアウェイで返すという「2」を予想したいと考えています。
■8戦無敗を支える岡山のディフェンスリーダーに注目
山口、京都、横浜Cに続き、前節は首位の福岡もアウェイで撃破し、怒涛の4連勝で17位に付けている金沢と、こちらも現在は8戦無敗と好調をキープしている14位の岡山が石川県西部緑地公園陸上競技場で激突します。この一戦からは、岡山の守備陣を引っ張っているディフェンスリーダーをご紹介します。
篠原弘次郎。25歳。東福岡高校から2010年に岡山へ加入したセンターバックは、当時中国リーグに所属していたネクストチームに主戦場を置くなかで、相次ぐけがの影響もあってトップチームでの定位置確保には至りません。そんな彼に転機が訪れたのは2014年。期限付き移籍で熊本へ加わると、今でも師と仰ぐ北嶋秀朗コーチの愛ある厳しい指導を受け、ポテンシャルが開花。貴重な実戦経験を積み重ね、翌シーズンから復帰した岡山でも徐々に出場機会を伸ばしていきます。
2016年シーズンは飛躍の年。けがと出場停止以外は大半のゲームでスタメンを任され、チームのJ1昇格プレーオフ進出に大きく貢献。アルウィンで松本を劇的に倒した準決勝でも相手の攻撃を跳ね返し続け、自身初のトップディビジョンに王手をかけたものの、最後は篠原がジュニアユースとユース時代を過ごしたC大阪に0-1で惜敗。それでもプロ7年目となった昨シーズンの活躍で、彼の中の基準がさらに高くなったことは疑いようがありません。
迎えた今シーズンは出場停止となった1試合を除き、21試合でスタメンフル出場。前節の東京V戦後、現在の8戦無敗について尋ねられた篠原は「無敗と言うより取りこぼしがあるなというふうに思っていますし、ただ勝ち切れていないと僕は捉えています」ときっぱり。「今年の最初から真ん中でやらせてもらって、間違いなく中心選手という自覚は持ってプレーしている」と話すなかで、「もっともっとチームを勝ちに近づけるために自分が何をすべきかというのを考えながらプレーしていかないといけないなと思います」と続ける姿からは、今シーズンに対する強い気持ちがうかがえました。
中林洋次、岩政大樹、矢島慎也、押谷祐樹などプレーオフ進出を支えた主力が相次いでチームを離れた状況にも、「やっぱり『何か去年より落ちたな』とか思われたくないですし、『ああ、去年よりチームに勢いがあるな』と思ってもらえるように、そのために6位以内という結果とJ1昇格は絶対に必要なんです」と口にできる篠原は、岡山にとっても間違いなくピッチ内外で貴重な存在。彼に芽生えてきているリーダーシップは、“昨年超え”を狙うチームにとっても必要不可欠です。
締まった堅い試合が予想される金沢との今節は篠原のリーダーシップにも注目したいところですが、データを見ると過去5度の対戦は金沢から見て2勝3分。しかも今節と同じ石川西部での2試合はいずれもドローという結果。この数字を考慮したうえで、今回の一戦は両者が勝ち点1を分け合う「0」が濃厚かなという気がしています。
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第23節
2017年7月16日(日)19時キックオフ
ザスパクサツ群馬vsアビスパ福岡(正田醤油スタジアム群馬)
■明治安田生命J2リーグ第23節
2017年7月15日(土)19時キックオフ
ツエーゲン金沢vsファジアーノ岡山(石川県西部緑地公園陸上競技場)
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