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【ライターコラムfrom山形】木山監督を悩ますケガ人問題…“野戦病院”モンテディオの正念場

2017.07.20

リーグ戦4連敗を喫した山形。木山監督も苦しい戦力でのやりくりを強いられている [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 モンテディオ山形のケガ人が止まらない。サッカーにケガはつきものとはいえ、春先からポロリポロリと主力選手が離脱し、新監督のもとでのチーム熟成を阻む。それでも踏ん張って5月から9戦負けなし。これでケガ人が戻って来れば……と思いきや、7月に公式リリースがあっただけでも山田拓巳松岡亮輔瀬川和樹瀬沼優司の4人が、いずれも全治3週間前後のケガで戦列を離れた。石川竜也加賀健一などケガから復帰してきた選手もいるが、一人戻ると二人いなくなるような状況だ。木山隆之監督が「今季のベースにする」と明言した3-4-2-1のシステムも、キーポジションであるウィングバックの人材不足がネックとなり、直近の公式戦2試合では4-4-2に。戦術というより“やりくり”の域である。

 リーグ戦4連敗となってしまったJ2第23節名古屋グランパス戦の後、オフ明けの練習場は見るからにスカスカだった。2種登録を除く登録選手は28人。うちGKが3人。フィールドプレーヤーの8人が別メニューで、さらにこの日、練習中に一人が負傷して途中でグラウンドを後にした(自分で歩いていたし、大事をとったのだと思いたい)。紅白戦も満足にできないケガ人の多さに何か原因があるのなら、突き止めて解消したいのはやまやまだが、なかなかに難しい。木山監督は言う。

「ケガ人が多いイコールみんなが同じ原因ではないと思う。でも多いのは事実なので、なんとかしないとね」

「監督が代わった時はケガが多いというのは、よく言われていること」。これは春先にケガ人が出はじめた頃、木山監督が挙げた仮説の一つである。練習の内容がそれまで慣れていたものと変わり、負荷のかかる場所、かかり方が変わることによって故障が出やすくなるのではないか、というもの。ただ、今の時期のケガの原因がそこにあるかどうかはわからない。選手層が薄くなる中、「ケガから復帰して、コンディションが完全に上がり切っていない状態でも試合をすることになる。それによって負荷がかかっているのかもしれない」という木山監督の現状分析もまた、一つの答えなのだろう。あるいは、身体づくりの根本から見直すべき選手もいるかもしれない。しかしいずれにせよ「これをこう変えればケガ人は減る」という特効薬があるとは思えないだけに悩ましい。

7月18日に、DF瀬川和樹(左)とFW瀬沼優司(右)の負傷離脱が発表された [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 思うようなシステムも組めないほど負傷者が相次ぐ中、もう一つ心配なのは、練習中のケガを避けようと無意識にでもトレーニングの本気度が下がってしまうのではないかということだ。練習からバチバチと火花を散らしてこそ、試合で100パーセントの力を出せるものだが、そこに影響はないのか。

「練習で相手と接触してケガした選手は、春先のチャミ(宇佐美宏和)ぐらい。バチバチいかない練習なんて意味がないから、そこはやらなきゃいけない。でも確かに、これだけケガ人が多いと(相手に強く)行きづらくはなる。ガチガチ行けとはなかなか言えなくなるし。でもそうすると練習がどんどん緩くなって、リアリティが下がる。厳しく行かなきゃいけないのが練習だと思うので、難しいですね、そこは」(木山監督)

 それでも、次の試合は容赦なくやってくる。次節7月22日(土)はホームに首位・湘南ベルマーレを迎える。勝って次のアビスパ福岡戦に勢いをつなげるのが理想だが、簡単ではない。即効性のあるケガ人対策があるとすればそれは、負傷してピッチに立てない選手の穴さえ埋める、ホームサポーターの声と拍手なのかもしれない。

文=頼野亜唯子

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