好調・岡山の中心に君臨するFW赤嶺真吾 [写真]=J.LEAGUE PHOTOS
■ゴール以外でもチームに貢献する、岡山のベテランストライカー
リーグ戦11試合無敗継続中。現在は3連勝で、とうとう昇格プレーオフ圏内目前の7位まで浮上してきた岡山。今節は、こちらも2連勝中の13位京都と対戦しますが、今回は岡山を最前線で牽引するストライカーに注目したいと思います。
赤嶺真吾。33歳。鹿児島実業高校、駒澤大学といわゆるエリート街道と言われるようなキャリアを辿ってきた赤嶺は、プロ入り後もFC東京でコンスタントに得点を重ねてきましたが、本格的にブレイクしたのは仙台に移籍してから。2011年にはキャリアハイの14ゴールを叩き出し、クラブをJ1最高成績の4位に導くと、2012年シーズンも前年同様に14ゴールを記録。優勝争いに食い込んだチームの中心選手として躍動を続けます。ただ、2015年に完全移籍で加入したG大阪ではなかなかプレー機会を得られず、プロになって初めてのシーズン無得点に終わり、翌年からはFC東京時代に指導を仰いだ長澤徹監督率いる岡山へ新天地を求めることになりました。
自身初のJ2を戦う中で、ゴール数自体は伸び悩みましたが、チームメイトの誰もがその効果を口にするポストプレーで、攻撃の活性化に大きく寄与。数字以上の存在感を放っていた中で、その献身性が報われたのはJ1昇格プレーオフ準決勝の松本戦。得意のヘディングで先制点をアシストすると、1-1で迎えた後半アディショナルタイムには、残酷なまでに冷静なシュートで勝ち越しゴールをマークします。あの時のアルウィンの沈黙の“音”は、今でも耳に残っているほど。試合後に長澤監督が会見で「真吾がずっと狙い続けたんですよね」と話した言葉も印象的でした。
迎えた今シーズンはプレシーズンの負傷で開幕に間に合わず、復帰してから2試合で3ゴールを荒稼ぎしたものの再び負傷離脱。チームも勝ち点を伸ばせない時期が続きましたが、第18節の山口戦で久々に戦線復帰してからは、歩調を合わせたように岡山の順位もグングン上昇。ディフェンスリーダーに成長した篠原弘次郎も「真吾さんも帰ってきましたし、けが人も戻ってきて、『うまくチームとして回っているな』という感じはあります」と好調の要因として“赤嶺効果”を口にしています。
京都もケヴィン・オリスと田中マルクス闘莉王の強力ツインタワーを擁し、少しずつ勝ち点を積み重ねてきているとはいえ、ここに来て染谷悠太が離脱し、今節はセンターバックの定位置を掴んだ感のある高橋祐治が警告累積で出場停止と、やや守備に不安を抱えるゲームとなりそうです。ここは岡山自体と赤嶺の好調さを考慮して、アウェイチームが勝ち点3を手にするという「2」を予想したいと思います。
■愛着のあるクラブへと戻った守護神は、最後尾からチームを支える
前節は徳島とホームで対峙したビッグマッチを2-0で制して連敗回避に成功し、首位をしっかりキープした湘南。ここ5試合で4勝と上昇気流に乗りつつある8位松本との対戦は、どうしても曺貴裁監督と反町康治監督の“師弟対決”に注目が集まる中で、ここでは湘南が誇る守護神にスポットを当てたいと考えています。
6月には3試合連続で1-0の完封勝利に大きく貢献し、リーグの月間MVPに輝いた秋元陽太。昨シーズンはGKの受賞が一度もなく、なかなか選出されにくいポジションでの受賞は快挙とも言えそうですが、本人は「それでもやっぱりシーズンが終わった時に何位にいるかが大事なので、そこに一喜一憂せずに、次の試合に向けて明日から良い準備をしていかないといけないなという気持ちの方が強いです」と謙虚に語ります。
愛媛での活躍を受けて、2014年に湘南へ加入した秋元は、そのシーズンに“開幕14連勝”“最速昇格”“勝ち点101”など、Jリーグ史に残るような圧倒的とも言える数字を残し、『湘南スタイル』をより強固なものにしたチームの正守護神として、リーグ戦全試合に出場。チームも自身もJ1初挑戦となった2015年シーズンも、やはりリーグ戦の全34試合でゴールマウスに立ち続け、8位でのJ1残留をその手で引き寄せます。
そして2016年にはFC東京へと完全移籍で加わり、3シーズン連続となるリーグ戦フル出場を果たしたものの、「今まで在籍してきたチームとはまた違ったプレッシャーの中で、自分のプレーをどう出すか、どう表現しようかという部分をちょっと考え過ぎてしまったのかなとは思います」と振り返ったように、自身の納得のいくパフォーマンスは発揮できず、熟考の末に「またプレーする機会を与えてくれたという感謝の気持ち」を携えて湘南へ完全移籍で復帰。今シーズンもここまでリーグ戦はフル出場を継続。松本に次いでリーグで2番目に失点数の少ないディフェンス陣を最後尾から支えています。
「去年1年間はああいうふうに苦しみましたけど、僕の中では凄く良い経験になったので、それがすごく生きているのかなと思います」とFC東京への感謝も携えつつ、やはり自分が不在の間にJ2へ降格した湘南への愛着は小さくないもの。ホームスタジアムについても「苦しかった時期をしっかりみんなで乗り越えたことが、今のこういう一体感に繋がっていると思うので、やっぱりシーズンが終わった時にしっかり結果が出ているように、また頑張っていきたいなと思います」と言及するなど、再び湘南の守護神としての覚悟を携えながら、ピッチに立っている様子が言葉の端々から窺えました。
曺監督と反町監督の采配対決も楽しみな今節ですが、実はこの両者の対戦成績は湘南、つまり曺監督サイドから見て4勝4分。反町監督はこの対戦で、まだ一度も勝利を手にしたことがありません。そんな相性と秋元が続けているパフォーマンスも加味しつつ、この一戦は湘南がホームできっちり勝利を収める「1」にマークします。
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第26節
2017年8月5日(土)18時キックオフ
京都サンガF.C.vsファジアーノ岡山(京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)
■明治安田生命J2リーグ第26節
2017年8月5日(土)19時キックオフ
湘南ベルマーレvs松本山雅FC(Shonan BMW スタジアム平塚)
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