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【土屋雅史氏のJ2展望】千葉は今季加入のルーキーに要注目…愛媛vs町田は92年生まれの2人の再会に期待

2017.08.18

徐々にポジションを確保しつつある、千葉のDF溝渕雄志 [写真]=J.LEAGUE

■確実に出番を増やしている、千葉の新鋭

 リーグ第27節の山口戦でも後半アディショナルタイムの劇的な勝ち越しゴールで勝利を収め、ホーム無敗を13に伸ばしている千葉。同じくホーム開催となる第28節の湘南戦の結果は締め切りの都合上で反映できませんが、ここに来て右サイドバックのスタメンに定着しつつある溝渕雄志のプレーには是非注目しておきたい所です。

巡ってきたチャンスをしっかり生かした溝渕。試合に出場する中で確かな成長も感じているようだ [写真]=J.LEAGUE

 香川出身の溝渕は流通経済大柏高校、慶應義塾大学と名門でのプレーを経て、今シーズンから千葉へ加入したルーキー。開幕から2試合はベンチに入ったものの、以降はなかなか試合に絡めない日々が続きます。ただ、「ずっと試合をイメージしながら練習をやってきた」という彼にチャンスが訪れたのは7月12日に行われた天皇杯3回戦のG大阪戦。このゲームでスタメンに抜擢され、フクアリでプロデビューを飾ると、約2週間後のアウェイ愛媛戦でリーグ戦デビューも果たしました。

 その愛媛戦では「カップ戦とリーグ戦の違いも凄く感じました」という溝渕。自分のプレーに対しても納得はいかなかったそうですが、「そこで『ああ、自分らしくやらなきゃダメなんだ』という簡単な考え方をせずに、これまでやってきて監督に求められたことというのをちゃんと紐解いて、自分の中で噛み砕いてやってきたことの延長線上でどうするかを徳島戦に向けて考えられたというのは大きかったです」とのこと。続く徳島戦でもフル出場で勝利に貢献し、前述した山口戦では自身にとって初のホーム勝利を体験。試合後には「結構緊張はしますけど良い緊張で、それがうまくエネルギーに変わってやれている感じは凄くあって、良いスタジアムだと思いましたし、ホームでこれだけのサポーターの前で勝てるというのはサッカー選手冥利に尽きる感じはありました」と笑顔で語っていました。

 「もともと前にボールを付けるようなプレーをシーズン当初から出せていなかったので、そういう所を監督に指導してもらいながらここ数週間の実戦でできるようになってきたというか、ビルドアップに関わりながら視野を広げて見えた選手に付けるというのは良くなってきている所だと思います」と話すなどゲームに出場していく中で確かな成長も感じている様子。メディアへの受け答えもしっかりしており、溝渕が今後遂げていくはずのさらなる成長に期待したくなる選手であることは間違いありません。

 今節はアウェイに乗り込んで山形と激突する千葉ですが、水曜開催となった第28節の両チームのゲームをチェックできないため、今回の予想は平等を期して「0」ということにさせてもらえればと思います。

■6年前に高校選手権で激突した2人の再会はあるか

 昇格プレーオフ圏内を窺う意味でも、これ以上の停滞は許されない状況に差し掛かりつつある愛媛と町田がニンジニアスタジアムで対峙する第29節。この一戦からは高校時代に選手権の舞台で交錯した1992年生まれの2人にスポットを当てたいと考えています。

 今からさかのぼること6年前。FIFA U-17ワールドカップにも出場し、青森山田高校の柴崎学と共に“プラチナ世代”屈指のボランチとして注目を集め、浦和への加入が決まっていた前橋育英高校の小島秀仁と、名門の流通経済大柏高校でエースの称号を獲得し、名古屋加入が内定していたものの、大会前の負傷で時間限定の起用が続いていた吉田眞紀人は、全国8強を懸けた第89回高校選手権3回戦でフクアリにて激突することになります。

愛媛のMF小島(左)と町田のFW吉田(右)は、6年前に高校選手権の舞台で顔を合わせている [写真]=J.LEAGUE

 現在は富山でプレーする進藤誠司のゴールで流通経済大柏が先制すれば、前橋育英も今シーズンで群馬在籍3年目の小牟田洋佑が同点ゴールを叩き込み、勝敗の行方はPK戦へ委ねられることに。先行の前橋育英が1人目として送り出したキッカーは小島でしたが、渾身のキックは無情にもクロスバーの上へ。流通経済大柏の1人目に指名された吉田は冷静に沈め、“14番”同士の1人目で明暗が分かれたPK戦を制した流通経済大柏はベスト4まで進出。吉田の名前は全国のサッカーファンの知る所となりました。

 ただ、それぞれ浦和に名古屋とJ1屈指の選手層を誇る両クラブで、お互いに出場機会をコンスタントに得るまでには至らず、小島は徳島への期限付き移籍を経て、2015年シーズンの途中で愛媛へ完全移籍。一方の吉田も松本と水戸への期限付き移籍を経験し、2015年シーズンには水戸への完全移籍を決断したものの、翌シーズンからは千葉でプレー。さらに今年の3月には高校時代の同級生でもある増田繁人も在籍している町田への期限付き移籍が発表されるなど、2人とも既に数クラブを渡り歩く経験を積み重ねて、今に至っています。

 今シーズンでプロ入り7シーズン目を迎える両者が、Jリーグのステージで対戦したのはわずかに1回。昨年の8月7日に開催されたJ2第27節で、会場は奇しくもフクアリ。スタメンだった小島に対し、吉田が後半開始から途中投入されたことで、45分間の再会が6年越しで実現しましたが、スコアは0-0のドローということで、決着は付かず。過去の正規のゲーム内での対戦成績はこれで2戦2分。そろそろ白黒をはっきりさせたい所でしょうか。

 第27節終了時で小島は3枚のイエローカードをもらっており、累積での出場停止にリーチが掛かっています。前述したように第28節の結果を反映できないため、彼がその90分間で警告を受けずに、2人がピッチ上で対峙できることを祈りつつ(笑)、こちらも前述と同じ理由で予想は「0」ということにさせて下さい。

文=土屋雅史

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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第29節
2017年8月20日(日)18時キックオフ
モンテディオ山形vsジェフユナイテッド千葉(NDソフトスタジアム山形)

■明治安田生命J2リーグ第29節
2017年8月20日(日)18時キックオフ
愛媛FCvsFC町田ゼルビア(ニンジニアスタジアム)

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