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【土屋雅史氏のJ2展望】京都は5試合勝利なしで山口が白星獲得か…讃岐vs福岡は、5連勝中の讃岐勝利を予期

2017.09.01

得意なポジションで好パフォーマンスを見せている、山口MF小塚和季 [写真]=J.LEAGUE

■希望する“トップ下”で輝きを放つ、背番号40のファンタジスタ

 5試合あった8月シリーズは1勝4敗。20位の熊本と現時点で6ポイント離れており、残留争いという意味では着実にポイントを積み重ねていくしかない21位の山口。9月の初戦となる今節は京都の本拠地に乗り込みますが、この一戦で注目したいのは山口の“トップ下”として好調をキープしている小塚和季です。

ポジションについては練習からカルロス・マジョール監督と意思疎通をはかりつつ、試合で結果を出してきた [写真]=J.LEAGUE

 山口にJ2昇格をもたらした2015年シーズンの活躍から1年。新潟で1シーズンを過ごし、再び期限付き移籍という形で古巣へ戻ってきた小塚。ただ、いきなり開幕4戦勝ちなしとスタートダッシュにつまづいたチームは、以降もなかなか結果が伴わず、5月末に上野展裕監督が退任。カルロス・マジョール監督の下でリスタートを切ることになります。

 「2回目の加入なので結果を出さないといけないという気持ちで入ってきました」という小塚も今シーズンの現状に責任を感じつつ、チームの浮上を目指してトレーニングに励んでいたものの、ゴール数こそチームトップの数字を叩き出していた中で、「正直今年は全然決定的なパスも出せていない」という思いは拭えず、自身もなかなか思うようなポジションで起用されない時間が続きます。

 そんな小塚にとって転機となったのは第27節の千葉戦。途中交替でピッチに登場すると、1点ビハインドの88分に「1回スピードを落とした時にキシ君が見えたので、そこに狙いを定めた中で、ちょっと右を見て相手をだましました」と岸田和人へ絶妙のスルーパスを繰り出し、この流れからエリア内で倒された岸田が自らPKを沈めて同点に。この後、劇的な決勝ゴールを千葉に許し、試合には負けたものの、得点に繋がるスルーパスを含め、小塚のパフォーマンスは印象に強く残るものでした。

 すると、その千葉戦後には「正直サイドで使われることが多いんですけど、もう少し中盤で組み立てたいので、練習から監督に意思を伝えつつ、与えられたポジションで結果を出していくしかないなと思います」と話していた小塚に、翌節の群馬戦で与えられたポジションは4-2-3-1の1トップ下。このゲームでレオナルド・ラモスのゴールをアシストすると、4日後の徳島戦では中盤ダイヤモンドの4-4-2で2トップ下を、さらに前節の大分戦でも3-5-2の2トップ下を任されるなど、ようやく自身の希望するポジションを確保し、大分戦ではCKとスルーパスで2アシストを記録。それ以外にも2度の決定機を創出するなど、“トップ下”として違いを見せ始めています。

 「J1で1年やってみて、もう少し試合を読む力だったり、決定的な仕事をするという所を成長させたくて、もう1回山口に来た」と復帰を語る小塚にとって、今の状況が当然納得のいかないものであることは言うまでもなく、降格圏脱出には40番を背負うファンタジスタのさらなる躍動が必要不可欠です。ホームに山口を迎える京都も、ここ5試合続けて白星がなく、昇格プレーオフ圏内が遠のく厳しい状況に。過去のリーグ戦における対戦成績は京都から見て1勝2分という数字が出ていますが、ここは最近の攻撃陣の比較に小塚の好調さを加味して、山口がアウェイで勝ち点3をもぎ取るという「2」を予想します!

■5連勝中のチームを後方から支える、元FWの“センターバック”

 第26節から前節までクラブレコードとなる怒涛の5連勝を達成。わずか5試合で獲得した勝ち点が、それまでの25試合で積み重ねたそれを上回るなど、一気に19位までジャンプアップした讃岐。そのチームの中で、ここ5試合続けてスタメンで起用され、快進撃を最後尾から支えているのが“センターバック”のアランです。

本職のFWではなかなか出場機会を得られなかったが、スピードと1対1の強さを武器にセンターバックとして開花 [写真]=J.LEAGUE

 7試合未勝利。最下位の群馬と勝ち点で並ぶなど、苦しい状況で迎えた第26節のホーム水戸戦。北野誠監督はこの試合で、それまでゲームの出場どころか、1試合もベンチにすら入っていなかったアランを「スピードと1対1の強さに期待して」、センターバックのスタメンに抜擢します。試合が始まると、最終ラインの中央でコンビを組んだエブソンが、19分で負傷退場するアクシデントもあった中で、急遽組んだ岡村和哉とのコンビも実に良好。前田大然、齋藤恵太、湯澤洋介というスピード系アタッカーにもきっちり対応し、85分に途中交替するまで、好調だった水戸を無得点に抑える仕事ぶりで見事完封勝利に貢献。続く残留争い直接対決となったアウェイの群馬戦でも、アランはやはりセンターバックでスタートからピッチへ送り出されると、先制点の起点になるパスも披露。1失点こそ許したものの、シーズン初となる連勝を手繰り寄せるハイパフォーマンスを見せ付け、以降は定位置を完全に確保。失礼ながら予想外とも表現できそうな5連勝達成の、重要なピースとして躍動を続けています。

 石川の日本航空第二高校で3年間を過ごしたアランは、JFLのMIOびわこ草津(現・MIOびわこ滋賀)へ加入すると、スピード豊かなFWとしてルーキーイヤーから9得点を記録。滋賀の地で5シーズンを過ごした後、2013年に当時同じJFLのカテゴリーで戦っていた讃岐へ移籍。そのシーズンにはJ2・JFL入れ替え戦にも出場し、チームにとって悲願だったJリーグ参入を経験します。

 念願のJリーガーになったものの、なかなかFWとしての出場機会を得られなかったアランは、昨シーズンからディフェンダー起用される回数が増え、今シーズンは登録もFWからDFに。ある意味では勝負の年とも言うべきシーズンで、ようやく回ってきたチャンスをしっかり掴んだあたりに、日頃からのトレーニングに向き合う姿勢が窺える気がします。前節の金沢戦では55分に途中交替を命じられ、やや不服そうな表情を浮かべていましたが、それもセンターバックとしての自信の表れと、個人的にはポジティブな要素に映りました。

 讃岐が激突する今節の相手は、ここ3試合勝ちなしと少し停滞傾向にある2位の福岡。2試合出場停止だったウェリントンの復帰が見込まれており、ディフェンスラインに掛かる負担もいつもの試合以上に大きくなることが予想されますが、金沢戦も守備の時間が長かった中で勝ち点3を奪取しており、耐える展開は今やお手の物。過去ホームでは福岡に1分1敗と勝ったことがないというデータも、5連勝中のチームにはもはや関係ない気も。ここは讃岐が連勝を6に伸ばすという「1」で勝負したいと思います!

文=土屋雅史

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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第31節
2017年9月2日(土)18時キックオフ
京都サンガF.C.vsレノファ山口FC(京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)

■明治安田生命J2リーグ第31節
2017年9月2日(土)18時キックオフ
カマタマーレ讃岐vsアビスパ福岡(Pikaraスタジアム)

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