キャプテンとしてチームを束ねる、徳島MF岩尾憲 [写真]=J.LEAGUE
■出場停止から復帰の徳島キャプテンに期待が集まる
リーグ前節は松本相手にアウェイで3失点を喫し、5試合ぶりの黒星となった徳島。その一戦を警告累積による出場停止で欠場したことで、図らずもその存在の重要性がよりフィーチャーされたのが、チームのキャプテンを任されている岩尾憲です。
群馬県出身の岩尾は、県内でも決してサッカー強豪校という訳ではない西邑楽高校を卒業後、指定校推薦で日本体育大に進学。教員を目指しながらサッカーを続ける中で、4年時に練習参加した湘南への加入が決まり、プロキャリアをスタートさせます。2011年シーズンは開幕戦からベンチ入りを果たし、ルーキーイヤーから出場機会を掴んだものの、1年目に出場したリーグ戦8試合の内、勝利を経験したのは1試合のみ。2012年は2試合、J1でのプレーとなった2013年は7試合と、なかなか実戦経験を積む機会を得られませんでしたが、いまだに語り継がれるほどの強さで勝ち点101を獲得し、圧倒的な数字を残してJ1昇格を果たした2014年にはシーズン中盤からレギュラーに定着。昇格を決めた京都戦でもスタメン起用されるなど、ようやくコンスタントにゲームへ絡む日々を送り始めます。
ただ、岩尾が本格的にブレイクを迎えたのは、期限付き移籍で水戸へ加わった2015年シーズンのこと。チームの成績は19位と振るわなかった中で、完全な主力選手として躍動し、出場停止の1試合を除いてリーグ戦41試合に出場し、最終節では念願のプロ初ゴールも記録。シーズン途中に話を伺った時、「プロになってから、あまり長い期間を続けて試合に出させてもらったことがないので、1試合1試合で自分の良さを消さないようにとか、持っているものはすべて出そうという気持ちでやっていますし、その中で絶対に課題が出るので、そこもまた意識しながら、1個1個充実している感じはあります」と笑顔で話す表情が印象的だったことを記憶しています。
そして、2016年に完全移籍で加入した徳島でも、早々に定位置を確保し、リーグ戦で出番を得た39試合の大半はスタメンフル出場。キャプテンに指名された今シーズンも、開幕からフル出場を続けていましたが、前述したように残念ながら松本戦は出場停止に。チームも1-3で敗れたことで、復帰する岩尾に対して、今節の長崎戦は今まで以上に期待が掛かると言ってもいいかもしれません。
現在4位の長崎と5位の徳島のポイント差はわずかに2。徳島が勝てば順位が入れ替わり、長崎が勝てばポイント差が5に開くという、まさに“シックスポインター”。好ゲームは必至ですが、徳島から見て3勝3分1敗という過去の対戦成績の相性も鑑みて、ここはアウェイチームが勝ち点3を持ち帰るという「2」で勝負したいと思います。
■対戦成績良好の古巣・京都と対峙する、山形の守護神
千葉、徳島、岡山と難敵相手の3連戦はいずれもドロー決着。現在のところ、昇格圏内とは6ポイント差の13位につけている山形。今節はホームに16位の京都を迎えることになりますが、このゲームで注目したいのは下部組織時代の3年間とプロキャリアをスタートさせてからの4年間を京都で過ごした、山形の守護神を務める児玉剛です。
地元とも言うべきG大阪ジュニアに所属していた経験を有する、大阪は吹田市出身の児玉が高校時代に選択したのは京都ユース。当時は2つ上に永田亮太(讃岐)、1つ下に大槻優平(金沢)が在籍していた環境の中で、美濃部直彦監督や阪倉裕二監督の指導を仰ぎ、高校3年時には2種登録選手としてトップチームの練習にも参加。ユースからの昇格は見送られたものの、進学した関西大学でも着実に成長を遂げ、卒業時には“古巣復帰”という形で京都へ加入します。
児玉にとってプロ2年目に当たる2011年からチームを率いていた大木武監督は以前、「足元は当時のGK陣の中で児玉が一番上手かった」と高い評価を口にしていましたが、京都で過ごした4シーズンでの公式戦出場は2013年の天皇杯1試合のみ。水谷雄一、守田達弥、オ・スンフンといった実力者たちの前にレギュラー獲得には至らず、石丸清隆監督が率いる愛媛へと新天地を求めることになりました。
迎えた2014年シーズン。児玉は開幕戦でスタメン起用されJリーグデビューを飾ると、以降はシーズンを通じて正GKとしてプレー。木山隆之監督が就任した2015年はリーグ戦全42試合でフル出場を達成し、クラブ史上最高位の5位という結果で、J1昇格プレーオフも経験。翌2016年シーズンも2年続けてリーグ戦の全42試合でゴールマウスに立ち続け、今シーズンは木山監督が新指揮官として赴いた山形へ完全移籍。第31節終了時でやはりリーグ戦の全試合に登場していますが、古巣対決となる京都戦はいつも以上に気合が入るであろうことは想像に難くありません。
ちなみに、児玉が過去に京都と対戦した7試合の結果は4勝2分1敗と目立った数字が。いきなり開幕戦の西京極で実現した今シーズン1巡目の対戦でも2-1ときっちり勝利しており、個人的な相性はかなり良さそうです。また、京都は田中マルクス闘莉王とケヴィン・オリスの2トップも湿りがちで、現在6戦未勝利と苦しい状況に。この両面を考慮しつつ、今回は山形が3試合ぶりのホーム勝利を手に入れるという「1」を予想したいと思います。
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第32節
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V・ファーレン長崎vs徳島ヴォルティス(トランスコスモススタジアム長崎)
■明治安田生命J2リーグ第32節
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モンテディオ山形vs京都サンガF.C.(NDソフトスタジアム山形)
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