シーズン終盤戦で存在感を高めている、湘南DF坪井慶介 [写真]=J.LEAGUE
■自らを“雑草”と表現する、湘南のベテランDF
現在、リーグ戦9戦無敗。2位とのポイント差は11まで開き、もはやJ1昇格までカウントダウンに入りつつある首位の湘南。この終盤戦に差し掛かっていくタイミングで存在感を高めてきているのが、チーム最年長となる坪井慶介です。
13シーズンを過ごした浦和を後にし、湘南へ加わったのは2015年から。ここ2シーズンの出場試合は決して多いわけではなかったものの、「このチームに僕は『成長できる』と思って来ているので、それをピッチの中で僕が積極的に示していくことで、『ああ、あのオッサンまだ頑張っているな』と思ってもらえればいいですよね(笑)」と話す姿勢を練習から貫くことで、多くの若い選手へ好影響を与えてきたことは間違いありません。
今シーズンもリーグ戦の初出場は7月に入ってから。それでも、日頃からきっちり積み重ねてきているものを100%以上の力で発揮したのが第31節の横浜FC戦。チームメイトの出場停止やけがも重なり、スタメンのチャンスが巡ってきた坪井は開始1分も経たずにイエローカードを受けてしまいましたが、「自分で自分を追い込んでしまった所はありますね」と笑いながらも、68分に交替するまでイバと津田知宏の強力2トップをシャットアウト。坪井の交替後にチームは2点差を追い付かれ、結果はドローとなったものの、改めて自らの価値を高めるようなパフォーマンスを披露してみせたのです。
以降の2試合は、いずれも終盤に3バックの一角へ“クローザー”として送り込まれ、勝ち点6の獲得に貢献。曺貴裁監督の考える『新・勝利の方程式』に組み込まれた感もあるなかで、本人は「山口戦の最後の失点はいらなかったので、ああいう所を突き詰めていかないと」ときっぱり。これから昇格ヘ向けて、プレッシャーの掛かるゲームが続いていきますが、より坪井の存在はピッチ内外で重要になっていくことでしょう。
小学校時代は西武ライオンズ好きの野球少年。ひょんなことからサッカーを始め、四日市中央工業高校時代も最初は一番下のチームからスタート。高校卒業時にはサッカーを辞めることも考えていたという坪井は、だからこそ「ベルマーレに来てからも試合に出られなかったりしている時に、『何でそんなに変わらずに努力できるんですか?』と聞かれたこともありますけど、『いや、昔の方がひどかったからな』と思いますから。そう思うと、なかなかしつこくて根の強い“雑草”に育ちましたよね(笑)」と笑えるメンタルの持ち主。今年で38歳ですが、きっとまだまだ自らの成長を求めて、ピッチを走り続けてくれるはずです。
今節対戦する京都は、前節の愛媛戦が台風の影響で中止に。ただ、前々節までは7試合未勝利の17位と調子が上がってきません。ここは盤石の強さを発揮し、“クローザー”まで手に入れた湘南に死角なしと考え、アウェイ勝利の「2」を予想したいと思います。
■愛媛の核として活躍する“大阪桐蔭コンビ”
前々節はアウェイで2位の福岡を撃破し、連敗を2でストップ。前述したように前節の京都戦は台風の影響で中止となったものの、難敵相手にもぎ取った勝ち点3を浮上のきっかけにしていきたい16位の愛媛。そんなオレンジ軍団で今回注目したいのは、今シーズンから再びチームメイトとなった大阪桐蔭高校の同級生コンビです。
長野県で開催された2012年のインターハイ。2年連続5回目の全国出場を果たした大阪桐蔭は、神戸科学技術高校、佐野日大高校を相次いで倒し、2大会続けてベスト8まで勝ち上がります。このステージで対戦したのは優勝候補にも挙げられていた流通経済大柏高校。溝渕雄志、青木亮太、小泉慶、秋山陽介、ジャーメイン良とのちのJリーガー5人を擁する難敵を向こうに回し、大阪桐蔭は前半の内に先制されたものの、後半に追い付くと、PK戦も制して同校初の全国4強を手繰り寄せます。
その大阪桐蔭で10番を背負っていたのが1トップ下の丹羽詩温であり、抜群のスピードで何度も左サイドを切り裂いていたのが白井康介。結果的に準決勝では武南高校にPK戦で敗れ、全国制覇には一歩届きませんでしたが、大会優秀選手にも選出された白井は湘南への加入が決まり、丹羽は明治大学へと進学。前者は同じく大阪桐蔭から清水へと進んだ三浦弦太とともにプロへ、後者は大学屈指のタレント集団へと、それぞれの道を歩み出すことになりました。
そんな2人が、またも同じユニフォームに袖を通したのは2017年。期限付き移籍中だった一昨シーズンにはJ1昇格プレーオフも経験し、昨シーズンはリーグ戦40試合に出場するなど、完全に愛媛の主力となっていた白井と、大卒ルーキーとして愛媛の一員となった丹羽は5年ぶりにタッグを組むことに。開幕からスタメン出場が続いた白井に対し、ベンチには入るものの、なかなか出番の訪れなかった丹羽でしたが、デビュー戦となった第7節の熊本戦でいきなりゴールを叩き込んで勝利に貢献すると、ここまで挙げた6得点の内、実に4得点が決勝点という素晴らしい数字を残しており、前々節の福岡戦でも貴重な決勝点をゲット。一方の白井もここまでほとんどのゲームでスタメン起用され、チームを牽引。大阪桐蔭コンビの活躍は、愛媛にとって今や勝敗を左右する重要なピースと言っても過言ではないでしょう。
今節の相手の横浜FCは、5戦無敗で昇格プレーオフ圏内の5位をキープしており、アタッカー陣には強烈な外国籍選手たちを揃えていますが、横浜FCと対戦したニンスタ開催のホームゲームは、愛媛から見て3連勝中と実は好相性。今回は大阪桐蔭コンビの躍動への期待とデータ的な部分を考慮して、ホーム勝利の「1」で勝負します!
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第34節
2017年9月23日(土)15時キックオフ
京都サンガF.C.vs湘南ベルマーレ(京都市西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場)
■明治安田生命J2リーグ第34節
2017年9月24日(日)16時キックオフ
愛媛FCvs横浜FC(ニンジニアスタジアム)
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