14年から金沢に在籍する作田裕次 [写真]=ZWEIGEN KANAZAWA
明治安田生命J2リーグ第33節・名古屋グランパス戦、ツエーゲン金沢はセンターバックのビョン・ジュンボンを出場停止で欠いており、しばらく控えに回っていた作田裕次が久しぶりに先発復帰。作田は機を見てDFラインを押し上げて陣形をコンパクトに保ち、粘り強い守備を見せた。すぐ隣のポジションの沼田圭悟が「サクくん(作田)も気合が入っていて、ずっと声をかけてくれていた」と語るほど、作田はコーチングの声を切らさず、チームのプレッシングにメリハリをつけ、スタメンから外れた時期の気づきをピッチに還元した。
「(ベンチから)見ていて、前からハメてプレスをかけようとしている。ただ、そこで前線は行っているけど、真ん中は空いてしまい、簡単に(パスを)入れられて(相手に)走られることが一番イヤだった。ボランチや前線は行っているけど、後ろのDFラインは裏もあるからなかなか怖くていけない。そういうところが全然合っていなかった。後ろがいけないなら1回セットさせたり、いけるときにラインを上げることを名古屋戦でやろうと思っていた」
名古屋戦で3-1の勝利を収めた金沢は11戦ぶりに勝ち点3を獲得。ひとまず勝ちなしのトンネルを抜け出した。「やっぱり試合に出ないと充実しない。久しぶりだったので、新鮮な気持ちだった。この状況を楽しんで良いのか分からなかったけど、最初から楽しめた。チームがもう1回循環して良いキッカケになれば良いと思っていた」と作田。
作田は第34節・大分トリニータ戦にも先発出場。最終ラインから前線に打ち込んだクサビのパスが先制点の呼び水となった。前半は5-3-2システムが機能してうまく守れていたが、後半は大分に押し込まれる苦しい展開だった。「いつやられてもおかしくない時間帯になっていたのは間違いない。そこでチームとしてどう時間を使っていくのか、うまく引き込んでカウンターにいくのか、ということをもうちょっとハッキリできれば良かった。あの後半の戦い方からしたら守りきらないといけなかった」と作田は振り返る。試合は1-1のドローに終わった。
大分戦で出場停止明けのビョン・ジュンボンではなく、作田が先発したことの意味は小さくない。今季、柳下正明監督は主力とサブの力量に乖離があると見ており、選手が入れ替わることは少なかった。ただ、「準備ができている人を使う」と指揮官が話すように、“良い選手が使われる”という競争原理は当然存在するのだ。
作田は言う。「もちろん、このポジションは確約されていないので危機感はある」。J3優勝やJ2昇格初年度を知る背番号3、定位置奪還へ。その行方はいかに。
文=野中拓也
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