J1復帰を目指す松本の得点源として活躍するFW高崎寛之 [写真]=J.LEAGUE
■松本で再ブレイクを果たしたゴールゲッター
アルウィンに山口を迎えた前節は、終盤まで2点をリードしながら、84分からの3失点でまさかの逆転負けを喫し、リーグ戦7試合ぶりの黒星を喫した松本。水戸の本拠地に乗り込む今節のキーマンは、ここまでチームトップの16得点を挙げている高崎寛之です。
ユニバーシアード日本代表にも選出された駒澤大学での4年間を経て、2008年に浦和へと加入した高崎でしたが、ルーキーイヤーはエジミウソンや高原直泰、永井雄一郎といったライバルの壁が高く、リーグ戦2試合の出場にとどまります。そして、プロ2年目に期限付き移籍で辿り着いたクラブが、今回の対戦相手でもある水戸でした。
シーズン開幕戦は途中出場。第2節から4試合はスタメン起用が続いたもののゴールを挙げられず、ベンチからのスタートとなった第6節の草津戦で、とうとうJリーグ初ゴールを叩き込むと一気にブレイク。チームの絶対的なエースだった荒田智之が長期離脱している間も最前線で躍動し続け、1シーズンで重ねたゴール数はリーグ5位の19。水戸が誇る気鋭のストライカーとして一躍脚光を浴びることになったのです。
ただ、浦和に戻ってからの2シーズンでは目立った数字を残せず、2011年に甲府へ完全移籍。さらに、2013年にこちらも完全移籍で加わった徳島で、J1昇格プレーオフを経験してトップディビジョンに上がり、2014年シーズンにはJ1キャリアハイの7ゴールを記録。以降は鹿島、山形とチームを渡り歩く中で、昨シーズンの4月に期限付き移籍を果たした松本で再ブレイク。37試合16得点という圧倒的な数字でチームをJ1昇格プレーオフに導くと、今シーズンも確実に得点を積み重ね、前節のゴールで既に昨シーズンと同じ16得点を積み重ねており、自身のキャリアハイとなる20得点を目指すとともに、3年ぶりのJ1復帰を狙う松本を文字通り牽引しています。
現在の水戸に、高崎が在籍していた時のチームメイトはGKの本間幸司しか残っていませんが、サポーターにとって彼の存在は強く印象に残っているはず。なお、高崎は昨シーズンの対戦時にケーズデンキスタジアム水戸でゴールを奪っているだけに、2年連続での得点に意欲を燃やしていることでしょう。好ゲーム必至の90分間は、ややお互いが持ち味を消し合う内容を予想し、ドロー決着の「0」で勝負したいと思います。
■スペシャルな左足で名古屋を魅了する“魔法使い”
リーグ戦では4試合に渡って白星から見放されていたものの、上位対決となった前節の東京V戦を4-1というスコアで制し、5位に浮上した名古屋。今節は敵地で岐阜と激突する“名岐ダービー ~木曽川の合戦~”ですが、ここでフィーチャーしたいのは、シーズン途中の加入にもかかわらず、ここまで3得点11アシストという驚異的な数字でチームの王様に収まった、名古屋の44番を背負う“魔法使い”のレフティです。
昇格プレーオフ圏内に当たる6位周辺を行ったり来たりしていた名古屋へ、その男が加入するという情報が発表されたのは今年の7月18日。ガブリエル・アウグスト・シャビエルは初めてとなる海外挑戦の地に日本を、名古屋を選択します。
デビュー戦となった第24節の京都戦でいきなり初ゴールをマークしましたが、それはあくまでもそこから始まる衝撃の序章。第26節の愛媛戦で2アシスト、第27節の松本戦で1ゴール2アシストを記録すると、圧巻は第28節の町田戦。3つのアシストを決めながらも同点で迎えた後半アディショナルタイムに、直接FKをゴール左スミに送り届け、チームの全4ゴールに絡む大活躍で4連勝に貢献。前節の東京V戦でも3アシストの大活躍で5試合ぶりの勝利を引き寄せるなど、凄まじいパフォーマンスで相手を翻弄し続けているといって良いでしょう。
先日、J SPORTSの「Foot!THURSDAY」で名古屋特集を放送した際、ガブリエル・シャビエルのインタビューを行ってきました。それこそ第29節の福岡戦で勝ち越しゴールの起点となった華麗なヒールパスの印象が強かったため、その取材に赴いたディレクターが、「フットサルでよく見るような足技を見せてください」とオーダーしたところ、そこまで派手な足技は出てこなかったとのこと。逆にそこまで“魅せる”ような要素の強いプレーを多用する訳ではない中で、あれだけゴールに直結するようなプレーを繰り出せるというのが、何とも実戦向きの選手であることを証明しているのかもしれません。
今節の対戦相手にあたる岐阜は、前節で福岡に1-2で敗れ、続いていた連勝も4でストップしただけに、ホーム連敗を避けようと躍起になってゲームに臨むはず。この一戦は清水第一中学時代の同級生でもある大木武監督と風間八宏監督の対戦にも注目が集まりますが、今回はガブリエル・シャビエルの存在も含め、名古屋の攻撃のクオリティがわずかに上回ると考え、アウェイ勝利の「2」で勝負させてください。
文=土屋雅史
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■明治安田生命J2リーグ第35節
2017年9月30日(土)15時キックオフ
水戸ホーリーホックvs松本山雅FC(ケーズデンキスタジアム水戸)
■明治安田生命J2リーグ第35節
2017年10月1日(日)15時キックオフ
FC岐阜vs名古屋グランパス(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)
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