古巣との一戦に意気込む押谷祐樹 [写真]=今井雄一郎
名古屋グランパスがJ2に降格したことで公式にダービーの冠を手にしたFC岐阜との対戦に、何とも不思議な感覚をもって挑む選手が名古屋にはいる。押谷祐樹である。静岡県の生まれでジュビロ磐田ユース出身、トップチーム昇格後は所属クラブを転々とし、岐阜にも3年間在籍した。そして岡山でのキャリアを経て、今季名古屋へやってきた男は、「前の名岐ダービーは岐阜の選手だったので、今は逆の立場で変な感じがします」と首を傾げる。押谷の言う前回のダービーとは、2010年に瑞穂競技場で行なわれたプレシーズンマッチのことだ。田中マルクス闘莉王と金崎夢生を補強し、クラブ史上初のリーグ優勝を果たすチームの第一歩を、押谷は対戦相手として見ていたことになる。結果は試合終了間際に岐阜が追いついて1-1のドロー。「西川(優大)がナラさんから決めたんですよ。僕のシュートは止められました」と、当時の岐阜の背番号27は懐かしそうな顔で振り返る。
時は流れて7年が経ち、押谷は名古屋の背番号19として名岐ダービーを迎えることになった。名古屋ホームでは豊田スタジアムに21878人の観客を集めた注目のカードは、長良川陸上競技場の指定席チケットが完売。押谷も「マジですか。そんなの僕がいる頃は聞いたことなかったですよ」と驚く盛況ぶりで、当日の自由席も上限を設けて販売というからすさまじい。それだけこの地域のサッカーファンが待ち望んでいた対戦ということでもあり、選手たちにはなおのこと良いプレー、良いゲームとしてもらいたいところだ。
さて押谷だが、不思議な感覚というのは何も元岐阜の選手だからというだけではない。その役割、ポジションにおいても彼にはちょっとした変化が起きているのである。磐田や岐阜にいた頃は天才型のアタッカーとしてそのテクニックや得点能力が彼の持つスペシャリティだった。それが岡山で前線の選手としての守備スキルを手に入れたことでチームプレイヤーとしての一面も持ち味とするようになり、攻守に貢献度の高いフィニッシャーとしての評価を確立したのが近年の押谷だ。キャリアハイとなる昨季J2での14得点は、憧れの佐藤寿人のようなゴールマシーン的に叩き込んだものではない。精力的なフォアチェックとプレスバックからの巧みなボール奪取でチームを助けつつ、高度な技術でチャンスをものにしてきた努力の成果だった。
その彼が、今季はポリバレントな起用法に頭を悩ませてきた。定位置だったトップかシャドーストライカーだけでなく、3-4-3の左右ワイドポジションや4-4-2のサイドハーフなどでの起用も多く、専門的な守備とクロスという新たな仕事にも取り組んできた。シーズン途中からは練習でボランチを務めることも増え、仕事は倍増。風間八宏監督は「連続して動く部分が足りないから、動かざるを得ないポジションに入れている」と、コンバートの理由を語ったが、それはつまり押谷の能力には期待しているということの裏返し。実際、押谷はボランチを経験したことで前線に入った時のプレーの連続性に改善が見られ、6月から7月の時期にはスタメン出場の機会も増えた。その後は再び忍耐の時期が続いているが、ここ最近はトレーニングでの動きに再評価が見られ、試合メンバーに名を連ね始めている。
前置きが長くなったが、面白いことに最近の押谷は、ボランチとしても良いプレーを見せ始めているのである。守備意識の高さとフィジカルの強さ、前線のプレーメーカーとして培った戦術眼が、余裕をもってボールを持てる中盤の底でも生きているのだ。「そうなんですよ。確かにやっていて手応えを感じるレベルになってきたんです」と押谷は複雑そうな顔で話す。「普通にやれるようになってきたのも間違いないです。最近はパサーになってます」という言葉通り、押谷の“レジスタ”ぶりはなかなかのものだ。チームの選択肢としては田口泰士と小林裕紀のボランチコンビが鉄板で、そこにワシントンや和泉竜司らが続くのが現状だが、押谷もそこに入ってきそうな勢いなのである。「いきなり試合は怖いですけど、ボランチでも心の準備はしています」。押谷も覚悟だけは決めている。
岐阜の選手として名岐ダービーを戦っていた頃の自分では考えられないプレーぶりに、28歳になった押谷は妙な充実感を覚えてもいる。「成長したっちゃあ、したんですかね。あの頃のオレにはボランチなんて絶対にできないですから」。彼が今節をどんな立場で、どんな役割で迎えるかはわからない。今週は愛息からもらった風邪で体調は悪いが、なぜか身体とプレーはキレキレである。まるでダービーの持つ特別な力が、彼に力を与えているようだ。というのは言い過ぎか。「ポジションはどこでもいいから、試合に出たいですね」。絶対に勝利が必要な試合では、時に伏兵の活躍が勝負を決める。押谷祐樹は、その資格を充分に備えた選手である。
文=今井雄一郎
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