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【土屋雅史氏のJ2展望】残留争いから抜け出した讃岐は京都とドロー…勝ち点2差の千葉と岡山も痛み分けが濃厚か

2017.10.06

讃岐で長期政権を築いている北野誠監督 [写真]=J.LEAGUE

■“思い出のクラブ”と対戦する、讃岐の指揮官

 ここ10試合は6勝3分1敗。その間にはクラブレコードの5連勝も記録するなど、残留争いから一気に抜け出した19位の讃岐。そんなチームを地域リーグ時代から率いて8シーズン目になる北野誠監督にとって、今節ホームに迎える京都は現役生活最後のクラブであり、引退後に下部組織の指導に当たっていた思い出深いクラブでもあるのです。

今季開幕前は厳しい戦いが予想されていた讃岐だったが、直近10試合は6勝3分1敗と大健闘を見せている [写真]=J.LEAGUE

 昨年の第883回でも取り上げさせていただきましたが、もともと香川県の高松市出身だった北野監督は、日本一を目指して名門の帝京高校へ越境入学。2年時の高校選手権ではレギュラーとして予選突破の原動力となると、連覇を狙った本大会でも活躍を見せ、見事に日本一の座を勝ち取ります。

 高校卒業後は日立製作所サッカー部に入部。西野朗・現JFA技術委員長や熊本の池谷友良監督、湘南の曺貴裁監督、新潟の呂比須ワグナー監督、栃木の横山雄次監督、さらに柏の下平隆宏監督など、現在もJリーグの各クラブで指揮を執っているのちの指導者たちとボールを追い掛け、1992年までプレー。そして1993年に加入したのが、“教育研究社FC京都パープルサンガ”でした。

 当時のJリーグは発足メンバーの10クラブをベースとして、年を追うごとに2クラブずつが新たに加盟していくような状況。もちろん京都も加盟を目指しており、美濃部直彦(現・長野GM)や田中真二といったJリーグ経験者に加え、1988年のトヨタカップでMVPに輝いたオストラサなど海外からも大物が来日してくるような時代。北野監督は3シーズンに渡ってプレーした後、現役を引退。その後は下部組織の強化へ携わるようになっていきます。

 ちなみにジュニアユース時代の教え子には、今シーズンのチームでただ1人だけフルタイム出場を続けている永田亮太の名前も。他にも吉野峻光(コンケーンFC/タイ)や中村太亮(磐田)らも北野監督の指導を仰いでいるなど、“北野チルドレン”がさまざまなクラブで活躍している事実は語り落とせません。

 今回の対戦相手にあたる京都は、前節の千葉戦を終盤の連続ゴールで制して9試合ぶりの白星を挙げており、チームとしても少しでも上昇気流に乗りたい所。また、讃岐と京都の対戦成績は前者から見て3分4敗と一度も勝ったことがありません。ここは好ゲームを期待しつつ、データ上の数字も加味して、ドロー決着の「0」を予想したいと思います。

■30歳の岡山MFは、古巣相手に成長を見せつけられるか

 ここ10試合は1勝6分3敗。引き分け数はリーグで2番目に多い13と、最近はなかなか勝ち切れないゲームの多い10位の岡山。勝ち点2差で12位に付ける千葉の本拠地に乗り込む今節の注目選手は、こちらも古巣対決に挑む伊藤大介です。

岡山MF伊藤は、ジュニア時代から馴染みのクラブである千葉との“古巣対決”に臨む [写真]=J.LEAGUE

 伊藤が黄色いユニフォームに初めて袖を通したのは、まだチーム名が“ジェフユナイテッド市原”だった1994年のこと。辰巳台スクールジュニアで6年間を過ごし、そのまま辰巳台ジュニアユースへ進むと、同期に松本でプレーしているGKの村山智彦、1つ下に藤枝の遠藤敬佑が在籍していた環境の中、着々と成長を遂げた伊藤はユースの昇格も勝ち取るなど、合計12年に渡って千葉の下部組織で育ちましたが、トップチームへの昇格は見送られ、順天堂大学へと進学することになります。

 大学では1年から主力として活躍し、4年時には中町公祐(横浜M)、高橋秀人(神戸)、林彰洋(F東京)、山田大記(磐田)らと共にユニバーシアードで世界を経験。その大会での3位入賞を手土産に、クラブ史上でもユースから大学を経て、トップチームに戻ってきた2人目の選手として、なじみの深い千葉でプロキャリアをスタートさせました。

 ただ、ルーキーイヤーから出場機会こそ掴んでいたものの、完全な主力というポジションには辿り着かず、2度の昇格プレーオフでも出場機会は訪れないまま、2013年のオフに大分へと完全移籍。J2でのリーグ戦83試合5得点という記録を残して、4シーズンを過ごした千葉へ別れを告げました。

 2014年は飛躍の年。大分でリーグ戦40試合出場6得点と、どちらの数字もキャリアハイを叩き出すと、その翌年に今度は岡山への完全移籍を決断。ここでも主力として躍動し続け、チーム最高位の6位を手繰り寄せた昨シーズンも、フィールドプレーヤーでただ1人だけリーグ戦全42試合にスタメンで出場しつつ、自身にとって初の昇格プレーオフでも天国と地獄を経験。今シーズンは4月末から2ヶ月近く負傷離脱した経緯もあり、おそらくはチーム、個人両面での結果に納得がいっていないのは明らか。終盤戦に向けて、より自身にプレッシャーを掛けているであろうことは想像に難くありません。

 なお、伊藤から見た“対千葉”の結果を見てみると、2勝4敗と黒星先行ですが、千葉自体は現在2連敗中とやや調子を落とし気味。上位チームとのポイント差を詰められない状況が続いています。両チームの今を考えると、この一戦もドローが濃厚かなと。こちらも「0」で勝負します!

文=土屋雅史

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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第36節
2017年10月8日(日)14時キックオフ
カマタマーレ讃岐vs京都サンガF.C.(Pikaraスタジアム)

■明治安田生命J2リーグ第36節
2017年10月7日(土)15時キックオフ
ジェフユナイテッド千葉vsファジアーノ岡山(フクダ電子アリーナ)

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