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【土屋雅史氏のJ2展望】7戦無敗と好相性の愛媛が讃岐を下すか…水戸vs岡山は双方のキャプテンに注目

2017.10.13

地元のクラブで輝く、愛媛DF玉林睦実 [写真]=J.LEAGUE

■“北四国決戦”で活躍が期待される、愛媛生まれのDF玉林睦実

 第32節では福岡を1-0で撃破したものの、そこから3連敗を喫するなど、なかなかリズムに乗り切れない17位の愛媛が、ここ10試合を5勝3分2敗で乗り切り、すぐ下の順位の山口を7ポイント差まで引き離した20位讃岐と対戦する“北四国決戦”。このゲームで注目したいのは、2種登録選手を除けばチームで唯一の地元出身選手でもある玉林睦実です。

愛媛県で生まれ育った玉林。現在17位の愛媛で存在感を示している [写真]=J.LEAGUE

 愛媛県は宇和島市出身の玉林は、市内の城北中学校サッカー部を経て、高校選手権で日本一に輝いたこともある、県内きっての名門校・南宇和高校に進学。2年時にチームは選手権の県予選を勝ち抜き、全国へ駒を進めたものの、玉林に出場機会は訪れず、それが在学中に経験した唯一の全国大会。吉備国際大学時代にも目立った成績を残すことはできず、卒業後は地域リーグに所属していた岡山へと加入することになります。

 当時の主戦場は意外にもボランチ。加入1年目にJFLへ、2年目にJ2へと順調にステップアップを果たしたチームとは対照的に、レギュラー定着とはいかず、2010年にはJFLを戦っていた松本へ完全移籍。この頃からサイドでの起用が増えた玉林が、本格的にブレイクしたのは松本のJリーグ加盟初年度となった2012年。シーズンを通じて右ウイングバックの定位置を確保し、リーグ戦38試合に出場。さらに2013年はチームで唯一リーグ全42試合スタメン出場を達成。圧倒的な走力でアルウィンの観衆を沸かせ続けます。ただ、J1昇格を果たした2014年は、田中隼磨の加入もあって出場機会が激減。シーズンオフに地元の愛媛へ新天地を求める決断を下しました。

 13年ぶりに帰還した愛媛での1年目は、木山隆之監督の下でやはり右ウイングバックとして躍動。クラブ最高位の5位躍進に大きく貢献し、J1昇格プレーオフも経験。昨シーズンから出場時間は少しずつ減りつつある中でも、出番が来た時にはきっちり自らの役割をまっとうし、今シーズンも8月以降はスタメンの座を奪取。前節の金沢戦ではイエローカードをもらいながらも、3バックの一角としてフル出場するなど、ここに来て存在感を高めています。

 愛媛と讃岐の対戦成績を見てみると、全7試合の結果は愛媛から見て4勝3分といまだに負けなし。さらにホームでは3戦全勝とはっきりした数字が出ています。そんなデータも加味しつつ、玉林の活躍も期待しながら、今節は愛媛がホームで勝ち点3を収めるという予想の「1」で勝負します!

■水戸と岡山のキャプテンは“親友同士”…小中高の先輩後輩対決!

 12勝12分12敗とまったくのイーブン。ここ5試合は1勝4敗とやや足踏みが続く12位の水戸と、12勝13分11敗で11位に付けているものの、現在は3連敗中と昇格プレーオフ圏内が遠のきつつある岡山が、ケーズデンキスタジアム水戸で対峙するこの一戦では、小中高のチームの先輩後輩であり、シーズンオフには揃って海外サッカー観戦旅行に出掛ける程の親友同士が、双方のキャプテンとしてコイントスの瞬間を迎えるかもしれません。

 水戸のキャプテンを託されているのは林陵平。今シーズンからチームに加わったストライカーは、東京Vユース時代と明治大学時代にも指導を仰いだ西ヶ谷隆之監督の下、ここまで35試合に出場して12得点とキャリアハイのペースで得点を量産。豊富な海外サッカーの知識を生かし、アルベルト・ジラルディーノやパウロ・ディバラなど、ある程度の知名度を誇る選手はもちろん、バフェタンビ・ゴミスやアンドレア・ペロッティなどいわゆるマニアックな領域の選手も含めて、彼らのゴール後のパフォーマンスを自身のゴール時にも採り入れており、そのパフォーマンスに対する見識の広さを問われる中継の実況陣を戦々恐々とさせている、生粋のサッカー大好き青年です。

 岡山のキャプテンマークを巻くのは喜山康平。こちらも今シーズン、地域リーグ時代とJFL時代を過ごした古巣へ7年ぶりに復帰を果たすと、長澤徹監督はキャプテンに指名。J1昇格プレーオフを経験したセンターラインの主力が軒並み移籍したチームの中で、出場停止の1試合を除くリーグ戦35試合を戦い抜き、最終ラインで奮闘中。喜山も海外サッカーの造詣が深い選手ですが、プレミアリーグに思い入れを持っており、中でもアーセナルが大のお気に入り。昨年末にご出演いただいたJ SPORTSのサッカー番組「Foot!」でも、その溢れるガナーズ愛を余すところなく披露するなど、林同様にJリーガー屈指のサッカー大好き選手と言って良さそうです。

長年同じチームで苦楽を共にした2人。プライベートでも非常に仲が良い [写真]=J.LEAGUE

 そんな2人は前述したように、東京Vジュニア、ジュニアユース、ユースと一貫して同じチームでプレーしてきましたが、林が1歳年上の先輩後輩という間柄にも関わらず、非常に仲が良く、シーズンオフにはタイミングを合わせて海外サッカー観戦に行くこともしばしば。林の大好きなズラタン・イブラヒモヴィッチにサインをもらうため、パリ・サンジェルマンの練習場で何時間も出待ちしたり(笑)、喜山の大好きなアーセナルの聖地とも言うべき“ハイバリー”の跡地に出向いて感傷に浸ったりと、数々の思い出を共有してきた親友同士なんです。

 既に今シーズンの1度目の対戦時にあたる第21節で経験済みとはいえ、今回も2人がスタートから登場すれば、ある意味で特別なコイントスになることは間違いのない所。今回の90分間は、試合前の両者にも注目していただきつつ、現状を考慮するとドロー決着が濃厚と考え、「0」を予想したいと思います。

文=土屋雅史

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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第37節
2017年10月15日(日)15時キックオフ
愛媛FCvsカマタマーレ讃岐(ニンジニアスタジアム)

■明治安田生命J2リーグ第37節
2017年10月14日(土)14時キックオフ
水戸ホーリーホックvsファジアーノ岡山(ケーズデンキスタジアム水戸)

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