熊本日日新聞社の呼びかけにより、ロアッソ熊本と熊本ヴォルターズの共通チケット販売が実現した
クラブ史上2度目となるシーズン途中の監督交代を経て、リーグ戦後期に入り勝点を積み上げてきたロアッソ熊本。しかし順位がなかなか上がらない影響もあってか、1試合あたりの観客動員数は平均6,296人(36節終了時点)と、今季目標に定めた7,500人には届いていない。
そこでクラブは残りのホームゲーム3試合、「くまもと総動員。」と銘打った集客プロジェクトに着手。街頭でのチラシ配布やSNSを使った告知活動への協力を求めている。
一方、これまでになかった試みの1つとして、バスケットボールのB2西地区に所属する熊本ヴォルターズとの共通観戦チケットを販売。ロアッソ熊本と熊本ヴォルターズが行う10月末のホームゲーム1試合ずつを、1枚のチケットで観戦できる仕組みになっている。
「以前から何か一緒にやりたいと考えていたんですがなかなかタイミングが合わず、今回も『復興支援マッチ』と位置づけた4月の松本山雅FC戦(第8節)でやりたかったんです。ただ、ヴォルターズさんはちょうどシーズン終盤ということで実現しなかった。うちは毎年秋、熊本日日新聞社さんと『くまもとサッカーフェスタ』というイベントをホーム戦でやっていて、そのタイミングで検討していたところ、熊日さんからもヴォルターズさんに提案していただき、共通チケットが実現したんです」
ロアッソ熊本を運営する(株)アスリートクラブ熊本でマーケティング部長を務める古賀亮氏は、今回の企画の背景をそう明かす。

ロアッソのホーム、えがお健康スタジアムで開催される徳島戦(22日)と長崎戦(28日)が対象試合となる [写真]=JL/Getty Images for DAZN
ロアッソ熊本にとって、バスケットボールのプロリーグ発足にあたって熊本ヴォルターズという後発のチームが立ち上がったことは、スポンサーの競合や地元メディアを通した県民への訴求、そして観客の取り合いといった面で少なからず脅威だったことは事実。実際にBリーグが始まった昨年は、熊本地震後の復興支援活動にあたる選手達の様子がメディアでも取り上げられたが、その影響力はヴォルターズの方が大きく、また「2部から1部昇格を目指す」という同じ立ち位置でありながら、昇格プレーオフ進出にあと僅かまで迫ったヴォルターズに成績の面でも水を空けられた恰好だった。
「ロアッソとヴォルターズの両方をサポートしてくださっている企業も少なくありませんし、今年はヴォルターズの方に、という声が出てもおかしくないと思っていました。しかしそういうケースはありませんでした。私個人としても、クラブ同士で交流できないかと思っていましたし、競合する部分はあっても、共存共栄することで熊本のスポーツ文化を創っていく方が、お互いにメリットがあると思っています」(古賀氏)
双方に呼びかけたのが、熊本日日新聞社販売局企画管理部の志垣直氏だ。
「ロアッソ熊本の『くまもとサッカーフェスタ』がちょうどBリーグ開幕の時期で、10月の日程を見たところ、いい具合にホームゲームの日程が重なっていないところがありましたので、まずは10月にやってみませんかと。初めての企画なので浸透するには時間がかかるのかもしれませんが、サッカーとバスケット、せっかく地元に2つのプロチームがあるので、両方の試合を見る人が増えていけばと思っています」という。

ヴォルターズのホーム、熊本県立総合体育館で開催される金沢戦(29日と30日)が対象試合となる [写真]=B.LEAGUE
熊本ヴォルターズを運営する(株)熊本バスケットボールの普及活動ディレクター、福山直樹氏も次のように話す。
「こちらもロアッソさんとは以前から何か一緒にやりたいという思いもありました。地方のプロスポーツチームとしては先輩ですし、スポーツで熊本を盛り上げたいというヴィジョンは同じなので、今回の企画をきっかけに、お互いがホームタウンを盛り上げていきたい」
今回のチケットは大人用が3,000円、高校生以下500円という価格設定で、サッカー1試合、バスケット1試合が見られるため、通常の前売券と比較しても割安感はある。ただ、シーズンシートを既に購入しているサポーターにとってのメリットは小さく、実際のチケットの売れ行きは「まだまだ」(古賀氏)というが、ロアッソ熊本のサポーター、熊本ヴォルターズのブースターが重なる割合がさらに増えていけば、両クラブにとってプラス。
「イベントに両方の選手が参加したりすることはあっても、運営や事業の部分ではそういう機会がありませんでした。これまでにも、ホームゲームが重なった時にはバスケットの試合中に『ロアッソ熊本が勝ちました』といったアナウンスをしていただいたこともあったらしく、運営面で見習いたいことも多くあります。選手の肖像権などクリアしなければいけない問題もあるでしょうが、たとえばコラボグッズを作成するといった事業面の連携でも、スタッフ間の交流や情報交換を通して実現できることがあるのではないかと思っています」(古賀氏)
競技は違えど、スポーツを通してホームタウンを盛り上げ活性化するという目的は同じ。2つのクラブが今後どう手を取り合い、熊本という地方都市でスポーツ文化を創っていくか、今後も注目していきたい。
文=井芹貴志
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