撃ち合いの様相を呈する名古屋vs千葉は、佐藤兄弟の対決にも注目だ [写真]=J.LEAGUE
■“Jリーグ最年長兄弟対決”が実現……互いの意地と意地がぶつかり合う
リーグ第34節の東京V戦(4-1)以降は5勝1分と勝ち点を一気に積み上げ、3位まで浮上してきた名古屋と、こちらも怒涛の5連勝で昇格プレーオフ圏内まで2ポイント差の9位にジャンプアップした千葉が激突する今節屈指のビッグマッチ。この一戦では言わずと知れた、プロ生活18年目を迎える双子の兄弟が8年ぶりにピッチ上で対峙するかもしれません。
もはや説明不要。現在、Jリーグでプレーする双子のなかでも、最年長兄弟となった名古屋の佐藤寿人と千葉の佐藤勇人。春日部大増サンライズ、市原ジュニアユース、市原ユースと同じチームに在籍し続け、やはり同じ2000年にトップチームへと昇格しますが、2人ともなかなか出場機会に恵まれず、2002年にJ2所属のC大阪へと期限付き移籍で加わった寿人は、仙台での2シーズン目を迎えた2004年に完全移籍を決断。兄弟は別々のチームでボールを追い掛けることになります。
2002年は勇人がJ1で、寿人がJ2でプレーしており、ディビジョンが異なっていたために対戦する機会はなく、ともにJ1のチームでシーズンインした2003年のファーストステージの市原対仙台は、寿人こそ出場していたものの、勇人はベンチに入らず、直接対決はお預けに。そして、ようやく2人がリーグ戦での初対戦を迎えたのは2003年10月18日の仙台スタジアム。仙台のスタメンには寿人の他に、渡邉晋・現監督が名を連ね、イビチャ・オシム監督に率いられた千葉は勇人や阿部勇樹、チェ・ヨンスもピッチに立っていた一戦。55分に仙台が岩本輝雄のゴールで先制するも、60分に勇人のゴールで千葉が追い付くと、87分に決勝ゴールを叩き込んだのも勇人。初めての兄弟対決は兄に軍配が上がりました。
以降は一貫してJ1でプレーし続ける勇人に対し、寿人は2004年に仙台で、2008年に広島でJ2を経験したなかで、現時点では前者が京都に在籍していた2009年12月5日がリーグ戦における最後の対戦。最終節というシチュエーションで激突した90分間では、広島が4-1で勝利を収めており、この時は寿人が2得点を決める活躍を披露。弟としての意地を見せる格好になっています。
名古屋と千葉の今シーズン1度目の対戦となった第3節では、寿人が58分までプレーしたものの、ベンチに入った勇人に出番は訪れず、ピッチ上での再会は実現しませんでしたが、ここに来て前節まで寿人は8試合続けてスタメン出場。勇人も2試合の出場停止を経て、6試合スタメンが続いており、今節で8年ぶりにピッチ上での兄弟対決が実現する可能性も決して低くはない気がしています。この最終盤に差し掛かり、リーグ随一の好調チームと言って差し支えない両チームの対戦ということで、予想も非常に難しいのですが、ここは撃ち合った結果のドローを予想して、「0」にマークしたいと思います。
■長崎でのプレー経験を有する、讃岐のベテラン2人
ここまでの結果は8勝14分18敗。自動降格圏となる21位山口とは4ポイント差の19位につけている讃岐。勝てば残留が決まる今節の相手は、11試合連続無敗で自動昇格へ突き進む2位の長崎ですが、この一戦でご紹介したいのは、その長崎がJFL在籍時にプレーしていた経験を有する、讃岐の岡村和哉と山本翔平です。
C大阪U-15では森島康仁とチームメイト。そのまま昇格したU-18でも宇佐美宏和や福井諒司と同級生だった岡村は、大阪学院大学を経て、高木琢也監督就任1年目の熊本へルーキーとして加入したものの、2シーズンを通じてリーグ戦の出場はなく、2011年シーズン途中に当時JFLに在籍していた長崎へ期限付き移籍。翌シーズンには完全移籍を果たします。その長崎でJ2昇格を経験した岡村でしたが、クラブにとってJリーグ初年度となった2013年に、やはりシーズン途中で出場機会を求めてJFLの讃岐へ。ここでも再びJ2昇格に貢献し、以降は4シーズン半に渡って水色のユニフォームを纏っています。
もともとは家長昭博と宇佐美貴史を後輩に持つ長岡京SS出身。美濃部直彦監督の指導を仰ぎ、1学年後輩には角田誠のいた京都ユースから、2001年にトップチームへ昇格を果たした山本翔平。ところが、京都でのリーグ戦出場は叶わず、2年間に渡る水戸へのレンタル移籍の後、2004年にはJFLのアローズ北陸へ完全移籍。さらに2007年には同じJFL在籍時の熊本へ加わると、チームのJ2昇格に伴って再びJリーガーに返り咲き、2シーズンでリーグ戦81試合に出場したものの、契約満了に伴って2010年からは長崎でプレー。在籍2年目には岡村とチームメイトになり、在籍3年目にクラブはJ2へと昇格したなかで、自身は2013年にJFLの讃岐へ。水色のユニフォームに袖を通すのも、今シーズンで5年目を迎えている訳です。
そんな2人がドイスボランチを組んで躍動したのが、2013年に一度だけ開催された最初で最後のJ2・JFL入れ替え戦。1-1と引き分けた第1戦のホームゲームで、揃って90分間ピッチを走り回ると、アウェイでの第2戦でも岡村、山本ともに90分間フル出場で、1-0での勝利に貢献。クラブ史に残る劇的な昇格メンバーに名を連ねます。ただ、今やその入れ替え戦をピッチで経験した選手はチームに5人のみ。それまでのキャリアを含め、岡村と山本がJ2でプレーすることの重みを誰よりも強く理解していることは想像に難くありません。
夏場以降は山本の出番が減少しつつ、逆に岡村はセンターバックの定位置を確保していくなかで、前節の松本戦は両者ともスタメンで登場し、上位の松本から勝ち点1を奪取。その流れを考えると、2人が古巣対決のピッチにスタートから立つ可能性も十分にありそうです。とはいえ、今の長崎はシーズン中でも1、2を争う好調の真っ只中。ここはやはりホーム勝利の「1」が堅い予想という気がしています。
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第41節
2017年11月11日(土)14時キックオフ
名古屋グランパスvsジェフユナイテッド千葉(豊田スタジアム)
■明治安田生命J2リーグ第41節
2017年11月11日(土)19時キックオフ
V・ファーレン長崎vsカマタマーレ讃岐(トランスコスモススタジアム長崎)
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