横浜FMの得点源ウーゴ・ヴィエイラ [写真]=JL/Getty Images for DAZN
明治安田生命J1リーグ第32節終了時点でここまで2桁得点を挙げている選手は11人。横浜F・マリノスのウーゴ・ヴィエイラはその1人だが、出場時間1,547分は11人の中で最も少ない(次に少ないのは1,657分に出場している鹿島アントラーズのレアンドロ)。“決定力”に関してはリーグトップクラスという見方もできる。
特筆すべきは、10ゴールのうち9ゴールが後半に集中している点である。途中出場の試合が多いという理由もあるが、ゲーム終盤に入ってからの勝負強さはさすがの一言。「自分は負けず嫌いだから」という言葉を体現するように、拮抗した試合を決定付けるアクションで幾度となくチームを救ってきた。
さらにゴールシーンを振り返っていくと、ある特徴に気づく。PKによるゴールは10得点に含まれておらず、うち8得点がワンタッチゴールなのだ。特に横から入ってくるクロスボールに無類の強さを発揮し、左右両足と頭を使ってゴールネットを揺らす。第13節・清水エスパルス戦(3-1 ○)でマルティノスの鋭いアーリークロスをダイレクトで合わせたゴールは、ウーゴ・ヴィエイラの真骨頂と言える。
10月上旬に右ひざを負傷し、検査と治療のためポルトガルに一時帰国していたが、現在はすでに復帰している。チームは先日、セレッソ大阪に1-4と完敗を喫して3位以内に入るのが難しくなったが、まだACL出場権獲得の望みが絶たれたわけではない。リーグ戦で4位に入った場合は条件付きで、あるいは準決勝に進出している天皇杯で優勝すれば無条件でアジアの舞台に立つ権利が手に入る。
しかしながら順風満帆とはいかない。齋藤学が長期離脱を余儀なくされ、その齋藤とともに片翼を担うマルティノスも累積による出場停止でリーグ戦残り2試合に出場できない。だからこそ、チームのトップスコアラーの力なくして目標は達成できない。残り試合に向けてウーゴ・ヴィエイラは「サイドの選手にはクロスを上げてほしいし、その場面で自分は必ずエリア内にいる。自分のストロングポイントを生かして点を取りたい」と力強く語った。
ここからは勝負どころで1点を取るか、終盤に1点を守り切るかといった、身を削るような戦いになっていく。フィニッシャーとしての才器を問われる戦いの中で、トリコロールの背番号7が果たすべき役割は大きい。
文=藤井雅彦
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By 藤井雅彦