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【土屋雅史氏のJ3展望】栃木vs長野は、栃木の5戦ぶり勝利を予想…首位返り咲きの秋田は9位藤枝を下すと見る

2017.11.24

栃木DF夛田凌輔は、昨シーズン長野に在籍。今節はJ2昇格のためにも負けられない“古巣対決”だ [写真]=J.LEAGUE

■長野との“古巣対戦”を迎える栃木DF

 ここにきてリーグ4戦未勝利と急ブレーキが掛かり、とうとう首位から陥落してしまった2位の栃木。ホーム最終戦となる今節は2連勝中の5位長野と対峙することになりますが、この一戦で注目したいのは古巣対決を迎える栃木の夛田凌輔です。

 高校年代をC大阪U-18で過ごした夛田を初めて見たのは、2010年のFUJI XEROX SUPER CUPの前座として行われた、U-18 Jリーグ選抜と日本高校サッカー選抜のフレンドリーマッチ。Jリーグ選抜に選出されていた彼は、松原健や大森晃太郎、高木善朗、杉本健勇、小野裕二、久保裕也といった錚々たるメンバーの中でキャプテンに指名され、70分間フル出場。試合後に共同会見で話す姿もしっかりしており、「きっとプロになる選手なんだろうなあ」と感じたことを覚えています。

 その半年後。今度は高円宮杯全日本ユースで再びプレーを見る機会に恵まれます。もちろん所属しているC大阪U-18でもキャプテンを任されていたものの、既に同級生の杉本はトップチームに昇格。小暮大器、秋山大地、南野拓実など1年生のタレントこそスタメン起用されていましたが、ベスト16で広島ユースに1-7で大敗してしまいます。ただ、最後まで懸命に声を出し、チームメイトを鼓舞していたのが夛田。そのメンタル面には当時から光るものがありました。

 2011年にC大阪でトップチーム昇格を果たした夛田は、公式戦の出場機会を得られないまま、翌シーズンは大分に期限付きで加わるも、リーグ戦の出場は1試合のみ。さらに2013年も期限付き移籍で群馬へ新天地を求めると、プロ3年目にして定位置を掴み、シーズンを通じて主力として活躍してみせます。ところが完全移籍を果たした2014年からの2シーズンは、けがなどもあって出場時間を大幅に減らし、昨シーズンは長野に完全移籍で加入。J2昇格を唯一の目標に掲げるチームで、出場停止の2試合以外は全試合にスタメン起用されたものの、1年の在籍で同じJ3のライバルにあたる栃木へ。新天地でJ2を目指す日々をスタートさせました。

 今シーズンは開幕戦こそベンチ外でしたが、第2節に右ウイングバックでスタメンを飾ると、以降は主に3バック時の左ウイングバックと、4バック時の右サイドバックを併用されながら、着々とチームの中で存在感を高め、夏を過ぎた頃からは完全に右サイドバックへ固定。今の栃木には欠かせない選手として、アグレッシブに上下動を続けるプレースタイルと持ち前の明るい性格で、サポーターからも愛されているようです。

 前述したように、夛田にとって今節は昨シーズンの1年間を過ごした長野との対戦ということもあって、いつも以上に気合も入っているはず。ここ2試合の結果は対照的な両チームですが、ここは栃木が夛田も含めて粘り強さを発揮し、5試合ぶりの勝利を手にする「1」を予想したいと思います。

■リーグ2位の得点数を誇る秋田で輝きを放つアタッカー

 第23節Y横浜戦に1-2で敗れた後に序盤戦から守り続けてきた首位の座を明け渡しましたが、その後も粘り強く勝ち点を積み重ね、前節の福島戦に2-1で勝利したことで9試合ぶりに順位表の一番上へ立った秋田。そのチームをシャドーの位置で支えているのが、今年で在籍8シーズン目となる最古参選手の前山恭平です。

今季は7得点11アシストを記録している秋田MF前山。シャドーの位置で持ち味を存分に発揮している [写真]=J.LEAGUE

 小柄ながら瞬発力に優れたアタッカーを初めて見たのは、佐賀北高校を卒業後に進学した福岡大学の4年生時。河田晃兵、宮路洋輔、末吉隼也、高橋祐太郎、藤田直之、福井諒司と同級生にのちのJリーガーを6人擁し、総理大臣杯王者として臨んだインカレでも、高橋と並んでスーパーサブ的な役割を担っていた前山の切れ味鋭い動きは目立っていました。とりわけ山田大記や小林裕紀、宮阪政樹とこちらも好選手を揃えていた明治大学との決勝では、岸田翔平に替わって66分からピッチに登場すると、再三に渡って決定機を創出。結局そのチャンスを決め切れず、チームも1点差で敗れたことで日本一は逃しましたが、前山という名前が強く印象に残ったことを今でも記憶しています。

 大学卒業と同時にTDK SCからクラブ化されたブラウブリッツ秋田へ加入すると、4シーズンに渡るJFLでのプレーを経て、2014年にはチームのJ3参入に伴い、晴れて26歳でJリーガーに。さらに翌2015年シーズンには新指揮官として招聘された間瀬秀一監督の信頼を勝ち取り、リーグ戦全36試合に出場して、チームトップの10得点を記録。秋田の地で確固たる地位を築き上げていきます。

 そして迎えた今シーズン。杉山弘一新監督の下、開幕から好調を続けるチームにおいて、レギュラーポジションをがっちり確保した前山は、ここまで15得点9アシストの田中智大、9得点3アシストの久富賢との強力な1トップ2シャドーのユニットを形成。クロスへの入り方がうまく、ボレーやヘディングでの得点も多いなかで、第10節の鹿児島戦では直接FKを叩き込むなど、既に7得点を挙げているうえに、11アシストは現在J3トップの数字。沼津に次ぐリーグ2位の得点数を誇る攻撃陣の中でも、一際輝きを放っているのは間違いありません。

 今節対戦する9位の藤枝も、安定して中位をキープしてきた好チームですが、ここ2試合は未勝利とやや停滞傾向に。ここは前山も含めたアタッカートリオの活躍に期待しつつ、首位に返り咲いた秋田が勢いそのままに勝利をもぎ取る「2」にマークしたいと思います。

文=土屋雅史

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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J3リーグ第33節
2017年11月26日(日)13時キックオフ
栃木SCvsAC長野パルセイロ(栃木県グリーンスタジアム)

■明治安田生命J3リーグ第33節
2017年11月26日(日)13時キックオフ
藤枝MYFCvsブラウブリッツ秋田(藤枝総合運動公園サッカー場)

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