甲府は残留を果たすためには仙台戦の勝ち点3奪取が必須条件。来季続投が決まった吉田達磨監督(奥)の手腕に注目が集まる [写真]=J.LEAGUE
■ヴァンフォーレ甲府 4季連続「ギリギリ」で生き残っており、昨季も最終節に残留を決定
【プラス材料】
清水の大逆転負けという「他力」があり、甲府は残留の可能性を残して最終節を迎えている。
残留の条件は「甲府の勝利」「清水が引き分け以下」という2つの条件が揃うこと。厳しい状況であることは間違いないが、練習場の雰囲気は全くの「自然体」で、修羅場慣れしたチームカラーが分かる。実際に甲府は4季連続「ギリギリ」で生き残っており、昨季も最終節に残留を決めた。
エースのドゥドゥもリーグ前節の大宮戦から先発に復帰しており期待大。彼は2015年にブラジルのフィゲレンセで「最終節の逆転残留」をすでに経験しており、「2度目」となればいつものプレーができるだろう。
島川俊郎の負傷欠場は痛手だが、山本英臣はその経験値と統率力でこういう修羅場で生きる選手。新井涼平も警告3枚で累積警告を免れており、甲府は出場停止ゼロで最終節を迎える。
【マイナス材料】
今季の甲府は第33節を終えて22得点。最下位の新潟より5点少ないJ1最少で、C大阪の杉本健勇一人と同数だ。勝利が残留の必須条件となるなかで点を奪う、勝ち切るための決め手を欠いている。第29節のF東京戦から5戦勝ちなしが続いていることも考えれば、攻撃の不安は否めない。
ドゥドゥとリンスの2トップは結果を出しているが、田中佑昌が31試合で無得点、小椋祥平は30試合で1得点と不発。それなりにチャンスもあったなかで、2列目の選手がこの数字だと厳しい。
まず相手に点を与えないことを優先せざるを得ない戦力面の現状もあり、ロースコアの接戦を志向するスタイルは最終節も変わらないだろう。2トップのマークが厳しくなるなかで、田中や小椋のような「伏兵」が結果を出すことが勝利への近道だ。
文:大島和人
■ベガルタ仙台 直近のリーグ戦4試合で1勝3分と負けていない
【プラス材料】
最近の試合で、内容面での手応えを得ていることが何よりのプラス材料だ。直近のリーグ戦4試合で清水に0-0、G大阪に1-1、大宮に3-0、横浜FMに2-2の成績で、1勝3分と負けていない。特にリーグ中盤戦は小差のゲームを落とした試合が多かったが、ボールポゼッションで相手を上回る内容を継続している。
甲府には、2015年のファーストステージ第13節を最後に負けていない。この相性の良さもチームの戦いを後押しする。
昨季J1のセカンドステージ第12節に行われ、1-1に終わった甲府戦でJ1初ゴールを決めた西村拓真や、今季第14節の甲府戦でJ1通算50ゴールを決めた石原直樹といった攻撃陣には、ゴールの期待がかかる。特に石原は前節に自身キャリアハイとなる10点目を決めており、自己最多の更新を目指す意欲が強い。
【マイナス材料】
Jリーグでは直近4試合で負けがないが、そのうち3試合は引き分けに終わっている。リーグ前節の横浜FM戦も、圧倒的に試合を支配しながら追いつかれて2-2で引き分けてしまった。勝ち切れない試合が多いのはマイナス材料だ。
今節の相手となる甲府は残留争いのまっただ中にあり、厳しいアウェイ戦となることも不安材料だろう。仙台は甲府とのアウェイ戦では、2013年のJ1第18節を最後に勝つことができていない。
また、終盤に増えたけが人が、最終節もなかなか戻れなかったことも痛い。キャプテンの富田晋伍や、攻撃で大きな存在である中野嘉大らの穴を、今節もカバーしなければならない。
文:totoONE編集部
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