チャンピオンズリーグやW杯の出場経験も有する栃木GKジョニー・レオーニがベストイレブン入りを果たした。 [写真]=J.LEAGUE
■今年のJ3を代表する選手たちをピックアップ!
栃木、沼津、秋田の3チームが優勝の可能性を残した状態で、いよいよ最終節を迎えることとなった今シーズンのJ3リーグ。このなかでJ2ライセンスを取得しているチームが栃木だけということもあり、優勝争いの行方が群馬のJ3降格という要素にも大きく関わってきますが、どういう運命のいたずらか、最終節に沼津と栃木の直接対決が組まれており、最後の最後まで目の離せない展開が続きます。
先々週は『今週のJ2』が最終回ということで、J2ベストイレブンを選出させてもらいましたが、編集部の皆さんのご厚意もあって、この『今週のJ3』の最終回でも今シーズンのベストイレブンを発表させていただく運びとなりました。なお、この選出にあたっては、今年からJ3を実況として盛り上げてらっしゃる、国内きってのJリーグ通でもあり、J SPORTS『Foot! THURSDAY』でご一緒している平畠啓史さんにもアドバイスをいただいております(笑)。 J2同様に異論反論は認めます。皆さんも是非自分のなかでのベストイレブンを、楽しみながら考えてみてください!
【GK】
ジョニー・レオーニ(栃木) 30試合出場
1試合平均失点が1点を下回るなど、リーグ最少失点を誇る栃木の守護神は、至近距離からの反応の鋭さや、経験値に裏打ちされた守備範囲の広さで、チームに圧倒的な安定感をもたらすパフォーマンスを披露。チャンピオンズリーグもW杯も体感している、Jリーグ屈指の国際経験が伊達ではないことを証明してみせた。
【DF】
尾崎瑛一郎(沼津) 30試合出場3得点
32歳とは思えないエネルギッシュな右サイドバックのキャプテンは、キック精度も非常に高く、セットプレーのキッカーとしても機能。また、中村亮太と組む右サイドの連係と突破はリーグ随一の破壊力を誇り、沼津の大きなストロングポイントとして各チームの驚異となっている。ちなみにリーグ戦3得点は国内キャリアでの最多記録を更新中。
【DF】
有薗真吾(秋田) 31試合出場5得点
草津U-23時代には温泉で働きながら、最終的にプロ契約を勝ち取った苦労人。移籍初年度から3バックの中央を任され、揺るぎないディフェンスリーダーとしてここまでリーグ戦全試合にフル出場。得点数もプロ入り後の8シーズンで3得点だったにも関わらず、今シーズンは既に5得点をマーク。優勝争いを繰り広げるチームを最後尾から支え続けている。
【DF】
大島嵩弘(長野) 31試合出場2得点
栃木に次いで失点数がリーグで2番目に少ない長野において、ゲームキャプテンを務めることも多いセンターバックは、出場機会の限られた昨シーズンから一転して、ここまでのチームでただ1人だけリーグ戦全試合スタメンフル出場を継続中。北信越リーグ時代を知る在籍9シーズン目の最古参選手として、「試合に出ることで成長してきた」実感をチームに還元すべく奮闘する彼は、浅野哲也監督からの信頼も厚い。
【MF】
中村亮太(沼津) 29試合出場7得点
前述した尾崎との右サイドコンビでリーグを席巻。ここまで7得点7アシストと確実に残している数字もさることながら、前へ前へと勝負する姿勢や球際も恐れずに突っ込んでいくアグレッシブさが見る者のハートを揺さぶる。一見いかつい風貌だが、好きな食べ物はお菓子という意外性に加え、笑顔もかわいいナイスガイ。
【MF】
田辺圭佑(琉球) 31試合出場1得点
その攻撃的なスタイルが高い評価を得ている琉球にあって、不動のボランチを託された左利きのコンダクター。長短のパスを織り交ぜられるセンスを誇るなど、チームの攻撃を司る能力の高さは、成立学園高校時代に培ったテクニックとメンタルの賜物か。警告累積も3枚にとどめたため、自身初のリーグ戦全試合フル出場にも王手を懸けている。
【MF】
前山恭平(秋田) 30試合出場7得点
クラブがJFLへ参入した2010年に入団し、今年で在籍8年目を迎える最古参の29歳は、1トップ2シャドーがベースの秋田で、シャドーの一角からチームの攻撃を指揮。小柄ではあるが、クロスに対するヘディングやボレーの上手さも光り、直接FKも叩き込むなど、得点力も十分。加えてここまで挙げた11アシストはリーグトップと、明確な結果でチームを牽引している。
【MF】
西谷和希(栃木) 31試合出場8得点
地元栃木出身のアタッカーはプロ入り2年目で一気にブレイク。元々鋭いドリブルの切れ味は持っていたものの、その特徴が結果へ結び付くようになり、今シーズンはともにチームトップの8得点8アシストを記録。特に代名詞とも言うべき、左サイドから中へ切れ込んでいく突破は爽快感抜群。
【FW】
藤本憲明(鹿児島) 29試合出場21得点
昨シーズンのJ3得点王は、今シーズンもコンスタントに得点を積み重ね、最終節を前にして21得点でランキングトップを独走中。得点パターンはエリア内でのワンタッチゴールと、冷静にGKの逆を突いてみせるPKが印象的だが、果敢なプレスでDFやGKからボールを奪い、そのまま決めたケースも4得点を数えるあたりに、彼の得点に対する貪欲さが窺える。
【FW】
田中智大(秋田) 30試合出場15得点
15得点はリーグ4位、9アシストはリーグ2位を数え、その両方を合算した24得点はリーグでもトップの数字。サイズはそこまで大きくないものの、クロスに合わせるヘディングのゴールが多く、エリア内できっちり仕事のできるストライカーで、前山、久富賢と形成する強力なトライアングルは秋田の大きな武器に。ホームの栃木戦で決めた劇的な同点弾は強く印象に残っている。
【FW】
辻正男(Y横浜) 29試合出場13得点
4年ぶりの古巣復帰となった昨シーズンこそ、負傷で長期離脱を強いられたものの、「結果に対する覚悟を持って臨む」と話していた今シーズンは、苦しいチーム状況のなかで第24節から6試合連続ゴールを記録するなど完全復活。「自分をランクアップさせてくれた思い入れのあるチーム」を最前線から鼓舞し続けている。特に第26節の北九州戦で後半アディショナルタイムに沈めた決勝ゴールはスーパーだった。
『今週のJ3』最終回をもって、今シーズンの担当コラムも終了となります。予想がメインのサイトにも関わらず、その予想そっちのけで各選手のキャリアに特化しがちな文章も多く、皆さんのご期待に添えたかどうかは怪しい所ですが、個人的には改めてJ2、そしてJ3をより深く知る機会を与えていただけたことに感謝しております。1年間ありがとうございました!
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。
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