今季は8位でシーズンを終えた [写真]=JL/Getty Images for DAZN
GK林彰洋、MFキム・ミヌといった主力が移籍したが、GK権田修一、MF原川力、FW小野裕二など実力者が加わってスタートした今季の鳥栖。3月には元コロンビア代表FWビクトル・イバルボが期限付き移籍で加入(7月に完全移籍)しさらなる戦力の充実を図った。しかし、6月末で攻撃を牽引してきた鎌田大地が移籍すると戦術の変更を余儀なくされた。4-3-1-2だったフォーメーションを、前線を1トップ2シャドーにした4-3-3へと変更。前線からプレスを仕掛けて相手のストロングポイントを消すという守備に大きな変化はなかったが攻撃は変わった。1トップの位置にイバルボが入ったことで、彼のキープ力を生かして2シャドーの田川亨介や小野裕二はもちろん、インサイドハーフの原川や福田晃斗がゴール前に顔を出すという地上戦が増えた。豊田陽平が前線に構えた昨季までの攻撃はロングボールやクロスが中心だったが大きな変化していった。
こうしてチームが変化しながらシーズンを送ったこともあり、戦績は思うように伸びなかった。連勝も連敗も最大2がそれぞれ1回ずつ。大きな不調に陥ることもなかったが、鳥栖が目指すサッカーを安定して示し大きな連勝につなげることもできなかった。それでも昨季の11位を上回る8位でフィニッシュした。
鳥栖で12年目を迎え、不動のアンカーとしてプレーする高橋義希は今季をこう振り返る。
「大地が移籍したり、ビクトルが再加入したり、攻撃のパターンは変わってきたと思います。でも、後半戦は本当にいい試合をできることが多くなってきましたし、それが結果につながってきていたので、手応えを感じています。(第30節)神戸戦のような逆転勝ちはシーズン序盤だと難しかったと思う。今は逆転できる、得点できるという雰囲気もありますし、そういう気持ちになれるのは大きい」
マッシモ・フィッカデンティ監督はこういう。
「今年6月くらいに1回作り直さないといけなかった。選手が抜けたところを埋めていく作業も同時にやっていたので、どちらかというとここからより強化していく段階に入っていくと思います。積み上げてきたものより、ここから積み上げていく土台を作ったという形です」
タイトルを目指してスタートしたシーズンだったが選手の移籍により新たなスタイルへと変更しなければならず、タイトルには手が届かなかった。だが、それを手にするためへの土台づくりがしっかりできたシーズンだった。
文=荒木英喜
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