第3大会はG大阪ユースの優勝で幕を閉じた [写真]=J.LEAGUE
12月20日から24日にかけて長野県内を舞台にJリーグインターナショナルユースカップの第3回大会が開催された。海外から4チーム、日本から4チームの計8チームが参加し、オン・ザ・ピッチで火花を散らしつつ、オフ・ザ・ピッチでは交流も深め、充実した5日間を過ごすことになった。
そんな大会を制したのは西の名門・ガンバ大阪ユースだった。決勝の相手は、奇しくも11月に行われた2017Jユースカップ決勝で苦杯をなめた京都サンガF.C.U-18。気持ち昂ぶるものがあったのは入場前の様子からも明らかで、「みんな気持ちが入っていた」(G大阪DF大石修也)。早くも11分にコンビネーションプレーから左サイドを崩し、最後はFW永山周平がボレーで突き刺し、1点を先行。そこから怒濤の攻勢で14分に永山が追加点、さらに24分にはFW原田烈志が単独得点王となる一発を突き刺し、3-0として早くも決定的なリードを奪い取った。
後半にも1点を追加したG大阪は4-0と圧倒。連戦の疲労を感じさせないパフォーマンスで3代目の王者に輝いた。敗れた京都・岸本浩右監督は「本当に上手くて賢いガンバの選手たちにあれだけハードワークされればこうなるということ」と脱帽するほかなかった。
大会結果としては優勝がG大阪、準優勝が京都、そして3位にサンフレッチェ広島F.Cユース、4位に川崎フロンターレU-18と日本勢が4強を独占する結果となった。昨年は上位を海外勢に持って行かれているので好対照な結果となったが、Jリーグの松永英機アカデミーダイレクターがその要因として挙げたのは「U-17ワールドカップを経験した選手たち」の存在だ。今回の4チームはいずれも今年10月の世界大会経験者がおり、海外勢相手の試合に慣れていた。川崎のFW宮代大聖が「経験のない選手も多いので、自分が引っ張らないと」と語っていたように、彼らが各チームのリーダーとして代表選手の看板にふさわしいプレーを披露。また大柄な選手にもまるでビビることなく向かっていく姿勢自体が、新チームになったばかりという段階の日本勢に力を与えていたことは間違いなさそうだ。
これは逆に言えば、いかに国際経験が大切かという話でもある。彼らはU-17ワールドカップへの準備段階から世界各地で国際試合を経験してきた選手たち。経験することで外国人相手だからと気負うのではなく、「僕は慣れているので」(宮代)とサラッと言えるメンタリティを持てるようになるし、長いリーチや「サッカーが格闘技であることを思い出させてくれる」(岸本監督)パワフルな当たりへの対応など、スキル面でも習熟することができる。このJリーグインターナショナルユースカップは、まさにそういう狙いをもって創設された大会でもある。
また、審判員育成という意味で意義のある大会であることはプレビュー記事でも述べた通りだが、今回は新たな試みとして韓国から主審・副審を招へいし、決勝戦をはじめとする各試合でのレフェリングを託した。日本とは基準が異なることもあり、コミュニケーションも取りづらい外国人レフェリーにどう対応するかも国際大会で選手側に求められるスキルの一つ。そこに学びがあるのは当然で、日本人審判員にとっても刺激となる試みだったと言えるだろう。今後は逆に韓国の国際ユース大会へ日本人審判員を派遣して経験を積ませるような可能性も検討しているという。
今大会では内外全参加チームの指導者たちによる交流会が催されるなど、新たな試みも行われた。ヴォイヴォディナ(セルビア)にFC町田ゼルビアから指導者派遣されている酒井良コーチや、アンデルレヒト(ベルギー)に横浜F・マリノスから同様に派遣され、今大会は配信の解説者としても活躍した坪倉進弥氏の存在もあり、大いに盛り上がったようだ。選手はもちろん、指導者が国際感覚を身に付け、新たな刺激を受ける場としても、こうした大会の意義は決して小さなものではない。
文=川端暁彦
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By 川端暁彦