EURO SPORTSがFC東京をサポートするに至った経緯とは? プロ・フィットスポーティングの堀田浩司社長に話を聞いた
2018年1月11日、FC東京は来る新シーズンの開幕を前に、オフィシャルグッズの企画・販売を行う「株式会社プロ・フィット スポーティング『EURO SPORTS』」とのクラブスポンサー契約を締結した。2000年からFC東京をサポートする同社は、スタジアムでのグッズ販売に始まり、今ではECサイトの運営まで手掛けている。FC東京とEURO SPORTS、双方にとって“節目”となる2018シーズン。クラブが見据える壮大なビジョン、そして、プロ・フィットスポーティング社長の思いとは?
取材・文=サッカーキング編集部
写真=山口剛生
取材協力=プロ・フィットスポーティング
FC東京サポートへの入り口は“1年間水着を売ったこと” !?

大学卒業後、ファッション業界に就職したことスポーツ業界進出へのきっかけだったいう
「海外への旅行者が水着を買おうと思っても、どこにも水着が売っていませんでした」――、そう話すのは、EURO SPORTSの堀田浩司社長だ。百貨店のスポーツ用品売り場には、今では当たり前のようにリゾート用の水着が並ぶが、かつてはコアシーズンの夏だけに売られるのが当然だった。
大学卒業後、ファッション業界に就職した堀田氏は、「海外のリゾート地で着る水着が欲しい人もいるのでは?」と考え、秋冬シーズンに海外旅行者をターゲットとした水着の販売を行った。他にも当時としては珍しいフィットネス用品などを販売し、“スポーツカジュアル”という新たなカテゴリーを開拓。その後は、ライフスタイルに特化したスポーツブランドをプロデュース、商品を消費者へ届けるためのビジネス“マーチャンダイジング”で売り上げを伸ばしていった。
やがて、1993年に株式会社プロ・フィット社(現 プロ・フィットスポーティング)を設立。ファッション業界で培ったノウハウを活かしたマーチャンダイジングのほか、F1のライセンス事業やマネージメントなど、日本国内では前例のない商材でビジネスを行った。後にセリエAのユヴェントスと提携を開始。イタリアから輸入した商品をオフィシャルグッズとして販売した。
「日本にないものをヨーロッパから仕入れて、欲しい人たちに届けられたときは嬉しかったですし、すごくやりがいを感じました。当時はセリエAのグッズを扱う店はありませんでしたから」
かつて夏以外に売られていなかった水着のように、セリエAのグッズもまた扱う店は皆無だった。さらに、ネットショッピングで何でも手に入る現代と異なり、当時はそれらの商品を購入する手段がほとんどなかったという。そうした時代背景を受け、90年代に一気に数を伸ばした日本のセリエAファンへグッズを届けた。
2001年からはいよいよFC東京との取り組みがスタートする。東京スタジアム(味の素スタジアム)の完成とともに、スタジアムでグッズを販売し、オフィシャルショップ(EURO SPORTS 東京スタジアム店)も出店。以降、ECサイトの運営なども手掛け、16年間に渡ってビジネスパートナーとしての関係を築いてきた。
「来場するサポーターがユニフォームを」…堀田氏が考える“本当の地域密着”

FC東京のユニフォームに袖を通したサポーターで満員になるスタジアムを目指している
FC東京のクラブ創設20周年となる今年、プロ・フィットスポーティングは創立25周年を迎えた。今回の契約締結は、双方にとって節目の年に、これまで以上にチームの力になりたいという思いからだ。FC東京の新ユニフォームの左袖には、今年から「EURO SPORTS」のカンパニーロゴが入る。しかし、堀田社長が掲げる目標は、会社名の露出ではなく、「もっと多くの人にFC東京のユニフォームを届けること」だという。
「お互いに記念となる年なので、『もっとサポートしたい!』と思ってクラブスポンサー契約をしました。FC東京はスタジアムに来場するサポーター数に対して、ユニフォームを着ている人が少ない。もっとたくさんの方にFC東京のユニフォームを着ていただけるよう協力していきたいです」
昨シーズン、FC東京のホームゲームにリーグ戦全17試合で、リーグ2位の45万331人ものサポーターが訪れた。チームの人気が伺える数字だが、多くの人がスタジアムに訪れるからこそ、ユニフォームを未着用のサポーターの存在がより顕著になった。多くのサポーターが青赤のユニフォームに袖を通し、チームを盛り上げる。それを叶えることが、堀田社長が考える“地域密着”の本当の姿だ。
※1位は浦和レッズの570,215人。
サポーターの集客についても、大きな“夢”を抱いている。EURO SPORTSと同じく「株式会社ミクシィ XFLAG スタジオ」も、1月11日にFC東京とのクラブスポンサー契約締結を発表した。同時に話題となったのが、「スタジアム移転計画」だった。3、4万人規模のサッカー専用のスタジアムを、アクセスの良い代々木に新設することで、より多くのサポーターでスタジアムを埋めようというプロジェクトだ。移転はまだまだ構想段階とのことだが、セリエAを見てきた堀田社長は心待ちにしている。
「イタリアも日本と似ているところがあって、他競技と併用のスタジアムを使っているチームが多い。ユヴェントスがようやく自前の専用スタジアム(アリアンツ・スタジアム)を建てて、雰囲気がすごく良くなったと思います。FC東京もサッカー専用のスタジアムでプレーして、たくさんのサポーターに雰囲気を味わってほしいです」
FC東京の2018シーズン リーグ開幕戦は24日、味の素スタジアムで浦和レッズと対戦する。「FC東京にとって節目の20年目に、何か1つ、一緒にタイトルを獲りたいです」――、壮大な目標の実現へ、EURO SPORTSはサポーターとチームをつなぐ架け橋となる。
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By サッカーキング編集部
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