開幕スタメンに名を連ねた藤本寛也 [写真]=J.LEAGUE
突然の出来事だった。
開始9分、後方から出された1本のスルーパスがハーフウェーライン付近に残っていたドウグラス・ヴィエイラに通ると、後ろから追う格好となった増嶋竜也がドウグラスを倒して一発退場に。ジェフユナイテッド千葉が開始早々10人での戦いを余儀なくされたことで試合の行方は変わってしまったが、試合を変えるこの1本のスルーパスを出したのが、ルーキーの藤本寛也だった。
今季、ユースから昇格したばかり。キャンプ中に右足の太もも裏を痛め、合流したのはキャンプ後から。それもあってか、「開幕スタメンは目標にしていたけど、そこまでは。出れるかなという感じだったので、そんなには気にしてはいなかった」と平然とした様子。それでも、「自分としてもJの試合に出ることは初めてだったので……。緊張はあまりしなかったけど、少し感覚的に普段やっている時とはちょっと違う部分があった」と明かした。
開幕スタメンを知らされたのは「昨日」だったが、「あまり気負わずにやろう」と堂々たるプレーを披露した。開始9分の相手選手のファウルを誘ったシーンも、「後ろからボールを受けて前を見たらドウグラス選手が走っていた。センターバックとサイドバックの間にスペースが見えたので、そこに強いボールを出そうと思った」と冷静な判断。結果的にドウグラスが足元で受けたため、「思ったとおりではなかったけど、狙いがうまくハマった感じ」と頬を緩めた。
ルーキーとは思えないほどの存在感を示した。インサイドMFの梶川諒太、渡辺晧太とのスムーズな連係、ピッチを大きく使いながら見せるスピーディーな攻撃。3人が絡むことで、東京Vの攻撃は明らかに活性化された。それでも自分自身、「納得のいくプレーはあまりできていない」と反省を口にする。
中でも59分のシーンは「最後のラストパス。あそこもうまく通せば1点だったと思うので、そういったところを常に心掛けたい」と悔やんだ。渡辺がドリブルで運んで右の藤本に展開。中央のドウグラスへ藤本が速いボールを折り返したのが、相手DFにクリアされてしまった。
「自分がボールを持った時に直接ゴールに関われるプレーをしていきたい」。
第一の目標はチームのJ1昇格。その上でU-20ワールドカップ出場を目指す年代別代表でのアジアチャンピオン、その次の東京五輪出場、そしてフル代表へ。18歳、藤本寛也の挑戦は今、始まったばかりだ。
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By サッカーキング編集部
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