アンカーポジションを務める熊谷アンドリュー [写真]=J.LEAGUE
遠目に見ても体が大きくなったのが分かる。本人に聞いてみると、やはりそうだった。ジェフユナイテッド千葉に来てからチームでの体幹トレーニングなどの他に、週1で筋トレを続けているという。体重は3、4キロ増え、「ほぼ当たり負けしなくなった」上に、「体重が増えたけど逆に動けるようになった」とキレもある。もっとも、大きくなったのは体だけではない。プレーも含め全体的にスケールアップしている。
3月4日の水戸ホーリーホック戦、熊谷アンドリューは攻守に輝きを放った。4-3-3の中盤の底を1人で任せられるほどのフィジカルと運動量を身につけ、守備では水戸の重量級FWジェフェルソン・バイアーノらと互角に渡り合った。攻撃でも、「細かいミスがまだ多い」と反省を口にするも、持ち前のゲームメークセンスはさらに磨きが掛かっている。中盤を押し上げるだけにとどまらず、13分にはエリア内の右サイド深くまで進入して中央に折り返すなどゴールへの高い意識も見せた。
70分、右サイドバックの山本真希とFWの指宿洋史の交代を機に、4バックから3バックへと変更。熊谷は3バックのセンターへと移動した。昨季もパワープレーを仕掛けるため下がり目に位置することはあったが、これまでほとんどセンターバックでプレーしたことがない。「(横浜F・)マリノスでのプロ1年目に天皇杯でやって以来。どういうプレーをすればいいか、どこまでカバーに行けばいいか、まだ分からないことが多い」。それでも、水戸戦は何とか無失点で切り抜けた。
千葉に加入して変えたことは「ほとんどない」と言うが、試合を重ねることで必然的に思考するようになった。「毎試合気付くことがあり課題が分かるようになる。それをしっかり受け止めて、次にどうするべきか考えるようになった」。真摯に学ぶ姿勢が成長につながっているのだ。
チームの課題も明確だ。水戸戦ではゲームを支配したがスコアレスドローだった。「こういう試合が続くと上位に食い込めなくなる。いい試合をした時にしっかり勝ちきらないといけない」。気付けばプロ7年目、24歳とまだ若いが中心選手としての自負を持ち、背番号18は今、大きく飛躍しようとしている。
文=安田勇斗