レギュラー解説委員を務める岩政大樹(東京ユナイテッドFC)が、サンフレッチェ広島のトレーニングを取材した。
岩政が広島を訪れたのは3月13日。J1は第3節までが終了しており、広島は唯一の3連勝で首位と好スタートを切っていた。岩政は序盤の広島の戦いぶりについて「守備の細かいところをしっかり確認しているのが結果に表れている」と分析。今季から指揮を執る城福浩監督も、チームに守備の意識を植えつけることからスタートしたと明かしている。
「チームの始動から、まずはコンディションを整え、リーグ戦で戦っていける守備の構築からスタートしました。今シーズン最初のトレーニングマッチは5失点からスタートしているので(1月29日のポートFC(タイ)戦、2-5)、その意味では、起こった一つひとつのことをプラスに積み上げていくことが、これからも大事になるかなと思っています」
守備への意識は昨季終盤にも取り組んでいた部分だが、今季を迎えるにあたってどのような上積みがなされたのだろうか。岩政はキャプテンの青山敏弘に話を聞いた。
「まず中を締める意識を持っています。特に中盤のところで、外にしっかりボールを運ばせるようにしています。ボランチ2枚とサイドハーフが連動して横ズレをするように言われているので、縦の陣形もコンパクトにできるようになってきました。コンパクトにする時には前線に合わせるのか、後ろに合わせるのかという判断の部分を監督によく言われるんですけど、みんなの共通意識が試合中に出てきています」
青山が語った「中を締める守備」で、キーマンとなるのがジュビロ磐田への3シーズンにわたる期限付き移籍から復帰した川辺駿だ。
「まずは守備から、というベースとしての部分があるので、それに従っていれば役割ははっきりしていますし、その役割を求められるので、プレーに移すだけで結果がついてきてくれるのはうれしいですね」
練習を取材した岩政は、今後の課題として攻撃戦術の構築があると分析した。
「相手の特徴、選手たちの今の課題を落とし込んで練習している印象はあります。攻撃面では、ボールを持ってからのカウンターはあると思いますが、もう少し自分たちで能動的に動かして、崩していく形も作る必要がある。ボールをある程度、握れる展開になった時に、どのようにボールを動かして攻めていくかというのを作っていくべきだと思います」
城福監督や青山も、当然ながらこの課題は認識している。
「守備に関しては少しずつ手ごたえを感じながら勝ち点を積み重ねてきています。これに攻撃の部分を加えていきたいと思っています。カウンターの良さに加えて、自分たちでボールを握るというところの精度を上げていく。その両方を目指していきたいです」(城福監督)
「攻撃はまだ物足りないと自分たちも思っていますし、やっぱりボールを握る時間をもっと作りたいですね。今の攻撃のパターンはサイドにパトリックが流れるものが多いので、もう少し中の攻撃パターンを作っていきたいですね」(青山)
今回の広島取材では、ルーキーの川井歩と“再会”する一幕もあった。川井は岩政と同じ山口県の出身で、彼が卒業した岩国市立愛宕小学校は、岩政の父親が校長を務めていたが、その当時、父親の要望によって愛宕小でサッカー教室を開催し、川井はそれに参加していたという。
川井からその話を聞いた岩政は「え? まじ? すごいじゃん!」と絶句。「地元の島(周防大島)でサッカー教室を開いていて、そこにも来ていたそうです。その子がJリーグ選手。感動ですね」と感慨深そうな表情を浮かべていた。
第50回の節目の放送となる3月23日(金)放送の『スカサカ!ライブ』は無料放送回となり、通常の21時からではなく、23時半からスタート。番組はリニューアルされ、これまでレギュラー解説委員を務めていた岩政が番組MCを務めることになる。番組直前まで行われる日本対マリの徹底分析や、「今まさに聞く」ケルン大迫勇也篇~前編を放送する予定となっている。
By サッカーキング編集部
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