現役選手・引退した選手を問わず、レジェンドたちにJリーグへの思いを聞く新コーナー「J’s history ~100分の25~」。第1回のゲストにはガンバ大阪のMF遠藤保仁を迎え、元チームメートの加地亮氏がナビゲーターを務めた。
加地亮(以下、加地) いやーまさかこういう形でインタビューするとは思えへんかったねマジで(笑)。プロ21年目? 自分で描いていた? 21年やるって。入った当初は。
遠藤保仁(以下、遠藤) 当初は、15年はやりたいなと思っていた。だから33歳とか。ここまでやるとは思っていなかったね。まだやるけど。もうちょっと。
Jリーグ開幕は1993年5月15日。遠藤は98年に横浜フリューゲルスに加入し、99年に京都パープルサンガに移籍、01年からはG大阪でプレーしている。つまり、25年のうち21年間をJリーグで過ごしていることになる。
遠藤 俺らが中学生の時やね、Jリーグができたのはね。その時はたぶんバブルで、Jリーグがものすごい盛り上がって。そこからお客さんが減ったり増えたり。今は右肩上がりなのかな。だから、もう一段階上のレベルにしたいよね、まず。お客さんがどのチームも2万人以上入って、サッカー専用スタジアムが増えて、っていう。
いつも冷静沈着で、淡々とプレーしている印象がある遠藤。“ヤットスタイル”とも言えるスタイルで、J1通算600試合出場に迫ろうとしている。
加地 あと32試合(放送時点ではあと28試合)でJ1通算600試合やからね。
遠藤 それは今シーズン中に達成できればね。ケガをせず、累積警告での出場停止にならず、いいパフォーマンスを見せておけばチャンスはあるかなと。
加地 どんなプレッシャーでも淡々とやれるコツは?
遠藤 でも俺は、喜怒哀楽を出せる選手もすごいと思うよ。「どんだけ悔しがってんねん」とか思うからね。
加地 大久保嘉人とか?
遠藤 フフッ(笑)。
今シーズンのガンバでは多くの若手選手が躍動している。10歳以上年下の若手選手たちを、プロ21年目のベテランはどう見ているのか。
加地 ヤットから見てどう感じる?
遠藤 まあ、これからでしょ。
加地 「もっとこうしてほしい」とかは?
遠藤 まあ、あるけど……。若手が要求に応えようとしすぎてもね。伸び伸びしてほしいから、あまり言わへんかな。ちょっとだけ、その時その時でポイントを「こうしたほうがいいかもよ」とか。
加地 若手は聞いてくる?
遠藤 聞いてくるヤツもいる。
加地 聞いてきてほしいよね? 教えたいよね。
遠藤 どっちかというとね。自分からああだこうだと言ってやるよりは、聞いてきたほうがいいんちゃうかな。
加地 ヤットの影響が大きいねんて。ヤットがそういうタイプやから、「ヤットさんみたいになりたい」っていうのがすごくあると思う。
遠藤 間違っとるね。
加地 これは、この人(遠藤)しかできひんから。
遠藤 見る人を間違っているね。でもほら、俺にとっては息子みたいなもんやん。ルーキーのヤツら。自分でも「ようやっとるな」と思う(笑)。この年になってまでようやってるなって。楽しくやりたいね。楽しく。
では、10年後のJリーグに対して、遠藤はどのような期待を抱いているのだろうか。
加地 夢がほしいおね。昔は年俸2億円とか。カズさん(三浦知良)とかね。
遠藤 フェラーリ乗りたいとかね。
加地 子どもたちにも夢があるし、頑張ればっていうのがね。
遠藤 やっぱりクラブチームが根強い人気じゃないとね。
加地 でも今、若い選手でちょっと代表に出てとかだとすぐに海外に行く。
遠藤 行くね。行ってもいいとは思うけどね。
加地 (遠藤にも)行くチャンスもあったわけでしょ? 何でその時行かなかったの?
遠藤 なんか魅力的なチームじゃなかったかな。簡単に言うと。でも、それ(海外移籍)を止められるようなリーグにしたいよね。海外に行っても、Jリーグのほうが例えば環境もいいし、給料もいいし……。
加地 やっているサッカーもいい。
遠藤 そうそうそう。そういうレベルまで持っていければ、ヨーロッパと対等に争ったりとかすれば、Jリーグはさらに盛り上がるかな。
加地 10年後、20年後は?
遠藤 どこに行ってもサッカー選手がヒーローだっていうような国になっていけばいいけどね。
最後に、遠藤保仁にとってJリーグとはどんなものなのかを聞いた。
遠藤 もちろんJリーグ選手としての自分の仕事場でもあるし、子どもたちとか、サッカーをしたくてもできない人たちとか、サッカーに憧れている人たちに夢を与えられる場所かな。
加地 遠藤選手を作ってくれたのもJリーグだし、これだけ有名になって、人から憧れられる存在になれたのもJリーグのおかげだろうしね。
遠藤 もちろんいろいろな人のサポートを受けながらここまで来られたというのを、俺らが中学生の時に「あの舞台でサッカーがしたい」と思ったことを今、伝えていければいいかなって。俺らが上に来て、下の子供たちに。で、下の子たちが成長して、その下の子たちに伝えていければいいなって思いますけどね。
加地 引退した選手を目の前にインタビューしているでしょ? どういう感じなの?
遠藤 何か変な感じはするよ。(鈴木)啓太とかもインタビューしに来たし、岩政(大樹)もスーツ着てインタビューしに来てとかっていうのは、やっぱり違和感あるよ。
加地 今後プロをどう終わっていくかというのは何か描いているの?
遠藤 いや、ないかな~。
加地 1年1年やっていく?
遠藤 周りはうるさいけどね。ガンバで終わるのか、よそで終わるのかも決めていないし。その時々で、ガンバで終わったらキレイな形やし、いろいろなチームに行きたいっていうのもあるしね。環境とか、いろいろな人に会ってとかも興味はあるけどね。
最後に遠藤は、意外な自身の“夢”を明かしてくれた。
遠藤 でも俺、一つ夢あんねん。自分の息子がプロになるまでプロでいたいっていう。あと5年とかやで。次中学やから、飛び級とかで行ったら。まあ行かへんけど。でも現役親子Jリーガーっていいひんやん。それ目指せるなと思って。それが目標やね。
3月30日(金)放送の『スカサカ!ライブ』は、通常どおり21時スタート。ロシアW杯の強化試合、日本対ウクライナ戦の徹底分析やJ1第5節柏レイソル対ヴィッセル神戸の試合直後レビュー、FC東京対ガンバ大阪のプレビューなどをお届けする予定。「今まさに聞く」はケルン大迫勇也篇~後編が放送される。
By サッカーキング編集部
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