■柏レイソル ACL敗退のショックを断ち切れるか、過去2年の4月は好調
【プラス材料】
前節の神戸戦を2-1と競り勝ち、リーグ戦3試合ぶりの勝利を挙げた。勝因は中断期間中に取り組んできた守備戦術の整理・修正にある。セットプレーから1失点こそ許したものの、流れの中では安定した守備を見せた。これまでの課題だった試合終盤の失点をなくすために、同じく中断期間に用意していた5バックも実践。結果につなげたのは大きい。
この試合で2得点を叩き出したFW伊東純也は、結果が示すとおり好調を維持している。4日のACL・全北戦でも何度か鋭い突破を見せ右サイドでアクセントになっていた。
過去2年、柏は4月に強く、リーグ戦連勝を記録して順位を大きく上げている。前節の神戸戦で作り上げた良い流れを今節につなげ、今年も連勝の道筋を作りたい。
【マイナス材料】
4日に行われたACLの全北戦は0-2の完敗だった。この結果で最終節を待たずしてACLの敗退が決まった。「柏から世界へ」をスローガンに掲げ、クラブとしてアジアの戦いを重要視していただけに、早期敗退のショックは決して小さくはないだろう。
全北戦ではチャンスは何度か作ったが決定力に欠けた。中断期間には攻守両面の修正に取り組み、守備面は成果が出た一方で攻撃は依然として課題を残す。特にセットプレーは昨季途中からしばらく得点がない。苦しい試合でセットプレーから得点できないことは柏が調子に乗れない要因のひとつだ。さらに右の腹直筋を痛めたGK中村航輔は全北戦に続き、今節も欠場の見込みとなっている。
文:鈴木潤
■サンフレッチェ広島 ターンオーバー制を敷きながら公式戦の無敗を維持
【プラス材料】
公式戦8戦連続負けなし。リーグでも首位、カップ戦でもグループリーグ首位。ターンオーバー制を敷いている今季は「2チーム」で実質的に戦っているのだが、そういう意味では名実ともに全員で戦って好成績を収めていると言っていい。
その原動力は、なんといっても守備だろう。リーグ戦5試合で無失点試合が4試合。失点はわずか1点のみとすさまじい堅守だ。前節の川崎戦のような「幸運」もあるのだが、それでも被決定機の数そのものが少ないことも事実である。被シュートは10.6本/平均と決して少なくないのだが、完全にフリーにさせるシーンはほとんどない。
チーム全員の守備が機能し、強度も高く、相手に自由を与えていないから失点しない。守護神・GK林卓人の存在も大きいが、極めて論理的に広島はいい守備を表現できている。
【マイナス材料】
1試合平均1.00得点という攻撃面での不安を語る人も少なくない。チャンスの数は決して少なくないが、シュート数7.8/平均はリーグ16位。サッカーはシュート数ではなくゴールが重要であり、相手より1点でも多くゴールを奪えれば勝利できるわけで、そういう意味では気にすることはないのかもしれない。しかしシュートを打たなければゴールできないのも事実。
FWの得点もパトリックとティーラシンの2得点しかないことも気になるところだ。チームの勢いを増幅させるためにも「取るべき人が取る」形をつくりたい。そのためにも、城福監督が指摘する「ボールを奪った後のクオリティ」が必要だろう。いいプレスからいい形の攻撃が構築できれば、ストライカーにいい形でボールが供給できるはずだ。
文:紫熊倶楽部 中野和也