【土屋雅史氏のJ2展望】山形vs讃岐はドロー決着を想定…徳島と好相性の水戸は勝利を予想

讃岐のGK清水健太は、10シーズン在籍した山形と対戦する [写真]=J.LEAGUE

■讃岐の“門番”は、山形との古巣対決を迎える

 ともに黒星先行でなかなか順位の上がらない山形と讃岐がNDソフトスタジアム山形で激突する第13節。この一戦からは10シーズンを過ごした古巣との対戦に挑む、讃岐の守護神をフィーチャーしたいと思います。

 清水健太がプロの門を叩いたのは2000年。市立松戸高校から柏へ入団することになりましたが、同校から今までJリーガーになったのは清水1人だけ。以前からその経緯が気になっていたなかで、柏のMF栗澤遼一が2年前にインタビューした際、あることを教えてくれます。曰く習志野高校出身の栗澤が2年の時、選手権予選で市立松戸にPK戦で敗れたのですが、その時のゴールキーパーが清水だったそうで、試合中からファインセーブを連発し、PKも何本かストップしたとのこと。しかもその試合には習志野のある選手を視察するため、当時の柏を率いていた西野朗監督が訪れていて、それが入団のきっかけになったと。「『オレらのおかげか』みたいな感じですよ(笑)」と栗澤は笑っていましたが、ある意味で大きなチャンスを逃さずにプロへ辿り着いたという意味では、“持っている”選手と言えるのかもしれません。

 ただ、柏では2歳年長のGK南雄太が築いていた牙城を崩すまでに至らず、6シーズンの在籍でリーグ戦の出場は5試合にとどまり、2005年の春に山形へ期限付き移籍。その期間を延長した2006年シーズンにレギュラーの座を射止めると、2007年には完全移籍を決断。このシーズンにもリーグ戦全48試合にフル出場を果たし、名実ともに山形の守護神として地位を確立していきます。

 そして、一気にブレイクを果たしたのが2008年。新指揮官の小林伸二監督に導かれ、昇格争いを繰り広げたチームのなかで、リーグ最多となる17の無失点試合を達成するなど、堅い守備陣を牽引。クラブにとって初めてのJ1昇格に大きく貢献すると、そのJ1に挑んだ翌2009年シーズンも、守備にまわる時間の長い山形を最後尾から支え、3年連続でのリーグ戦フル出場を成し遂げた上に、セーブ数はリーグトップの136本を誇り、失点もリーグ5位の40失点に抑えて、誰もが予想しなかった残留に成功。その名は多くのサッカーファンの知る所となりました。

 大きく出場機会を減らした2011年にチームもJ2へ降格。以降も3シーズンに渡って山形でプレーした清水でしたが、負傷に加えてGK山岸範宏の加入でなかなか出番が訪れず、そのオフに讃岐へ完全移籍。2015年、2016年と再びリーグ戦でフル出場しながら、残留争いを繰り広げる讃岐のディフェンスリーダーとして獅子奮迅の活躍を見せ、その価値を改めて証明し続けています。

山形で出場機会を減らした清水は讃岐へ加入。チームの最後の砦として奮闘している [写真]=J.LEAGUE

 今季は2年続けたキャプテンをMF高木和正に引き継いだ清水。チームは下位に沈んでいるものの、千葉戦でこそ6失点がありましたが、そのゲームを除けば1試合平均失点はジャストで1点と、守備陣は一定の数字を残しており、あとは攻撃陣の奮起が待たれる所です。ちなみに清水から見た対山形戦の成績は、1勝2分1敗とまったくの五分で、NDスタでは1分1敗というデータが。このゲームは清水の帰還にも注目しつつ、両者譲らずのドローを予想。「0」にマークしたいと思います。

■過去に2度の在籍経験を持つ、水戸の“鉄人”ディフェンダー

 こちらもなかなか勝ち点を伸ばし切れない水戸と徳島が、ケーズデンキスタジアム水戸でぶつかる今節。この対戦からは両チームに在籍経験を有する、今年で41歳となる“鉄人”をご紹介します。

 1977年4月24日生まれ。つい先日、やはりチームメイトで同い年のGK本間幸司より3日早く、41歳の誕生日を迎えたばかりのDF冨田大介。今季、なんと“3度目”の水戸加入を果たしたベテランディフェンダーが、“1度目”に加入したのは2000年のこと。筑波大学での4年間を経て、大卒ルーキーとして水戸でJリーガーとなった冨田は、いきなり開幕スタメンに抜擢。当時の他のスタメンを見ると、辛島啓珠と木山隆之のJリーグ監督経験者コンビ、渡辺卓や矢野マイケルなど懐かしい顔ぶれとともに、しっかり本間の名前も。ちなみに相手はJ2を戦っていた浦和で、こちらは山田暢久や福田正博、岡野雅行が出場。豪華な対戦相手を前にプロデビューを飾ります。

 以降は4シーズンに渡って水戸の主軸として成長を続け、2003年にはDF田中マルクス闘莉王や現在水戸のコーチを務めている森直樹らと守備陣を牽引。過去最高の7位までチームを押し上げると、翌シーズンから同じJ2を戦っていた大宮へと完全移籍。その新天地でも早々にレギュラーを獲得し、1シーズン戦い抜いた末に古巣の水戸戦で昇格が決定。27歳でとうとうJ1の舞台に辿り着きました。

 大宮での5シーズンは大半をレギュラーとして過ごし、J1リーグ戦147試合6得点という十分な実績を。その後も神戸、甲府と渡り歩いた後、2013年には10年ぶりに水戸へ復帰。柱谷哲二監督の下でDF細川淳矢やDF輪湖直樹、DF尾本敬といった選手たちと最終ラインを組み、リーグ戦40試合に出場。36歳にして完全復活を果たしてみせます。

 “2度目”の水戸在籍は2シーズン。2015年にはJ2へ降格したばかりの徳島へ新天地を求め、2017年までの3シーズンを戦うなかで、昨年のリーグ戦出場はプロキャリア初のゼロ。そんな冨田が今シーズン加入したのは、またしても水戸。“3度目”となる再会の報は驚きを持って伝えられたものの、41歳の背中が他のチームメイトに与える有形無形の影響は言うまでもなく、きっと今日も元気にトレーニングへ励んでいるはずです。

2度の水戸在籍経験を持つ冨田がたどり着いたのは、三度同じクラブだった [写真]=J.LEAGUE

 第12節終了時点で冨田のリーグ戦出場はありませんが、ベンチに入るようになったタイミングで迎える徳島との古巣対決。勝手知ったるメンバーも多数残っている相手との一戦は、彼にとっても特別なゲームのはず。また両チームの現状を考えても、白星だけが求められる状況下であり、熱戦は必至です。なお、この両チームのリーグ戦における対戦成績は、水戸から見て16勝7分9敗。水戸がJ2での対戦成績で勝ち越しているチームは7チームあるなかで、実は16勝も“貯金7”も最多を数えており、徳島との相性はかなり良いと言って差し支えなさそうです。そんなモロモロを考慮すると、冨田の出場に期待しながら、ここは水戸の勝利を予想。「1」で勝負してみましょう!

文=土屋雅史

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! 『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』はサッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/)』にて好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第13節
2018年5月6日(日)13時キックオフ
モンテディオ山形vsカマタマーレ讃岐(NDソフトスタジアム山形)

■明治安田生命J2リーグ第13節
2018年5月6日(日)14時キックオフ
水戸ホーリーホックvs徳島ヴォルティス(ケーズデンキスタジアム水戸)

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