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【スカサカ!ライブ】佐藤寿人が語る広島への愛 「可能なら試合をしたくない」

2018.05.17

 番組MCの岩政大樹(東京ユナイテッドFC)がプロデュースするインタビューコーナー「今まさに聞く」~名古屋グランパス 佐藤寿人篇~後編が放送された。前編ではターニングポイントを迎えたセレッソ大阪時代のエピソードを語ってくれた佐藤。今回は、ストライカーとして開眼した彼がDFと対峙する時のサッカー論から話を始めた。

■試合に向けての準備・研究

岩政大樹(以下、岩政) オフ・ザ・ボールの動きを磨いていく中で、途中から職人芸みたいになっていったじゃない? あれって、コツみたいなものってどこかで掴んだんですか?

佐藤寿人(以下、佐藤) いや、でも、僕の中で、ユース年代で速いとかスピードがあるとは言われていましたけど、プロの中で本当の意味で速い選手では僕はないと思うんで、やっぱりまず相手DFがどういう選手か、それこそマサ(岩政)と対峙する時はマサがどういう選手で、どういう強さがあって、というその選手の特徴をまず把握して、逆に自分がどういうところなら上回っていけるか、どういうところからならシュートまで持っていけるかというのは試合前に研究しておかなければいけないなというのがあったので、単純に例えばハイボールが上がってきて、競ったところで勝てるわけがないというのがあったので、そういうところは本当にいろいろなDFの選手、GKの選手の映像を見て、特徴を頭の中に入れていたというか。その上で自分自身に何ができるか。

 自分の持論では、89分間抑えられても、1分で仕事ができればいいかなというぐらいに思っていたので、その1分のところで仕事ができるようにするためにどれだけ動きを止めずに相手を疲れさせることができるか。頭の部分でも体の部分でも。その意味ではDFの選手とかGKの選手とかの駆け引きはすごい楽しかったというかね。

■古巣サンフレッチェ広島との思い出

岩政 J2も経験した中で、広島でまた(J1に)上がって優勝、連覇して、またダメだった年があってその後にまた優勝するという、いろいろな浮き沈みの中でチームを強くしていったというのはすごくいい経験だったと思うんですけど、変わっていく過程で、自分で気づいていったこととかチームの中で変わっていったことってどうやって見ています?

佐藤 特に(2007年に)J2に落ちて、(08年に)J1に戻って、その時は(ミハイロ)ペトロヴィッチ監督(現北海道コンサドーレ札幌監督)の下で魅力的なサッカーをやって、自分たちもすごく楽しい、見に来てくれる人たちも楽しいっていうサッカーをやりながらも、でもタイトルというタイトルは取れなかったので、理想と現実の狭間ですごい葛藤していた部分があって。最終的には勝った者がやっぱり強いわけじゃないですか。いいサッカーというのはあくまでも、判断する人が違えばいろいろなものの見方があって、でも最終的にゆるぎないものは勝者だけだし、それこそチャンピオンだけなので。

 それを体現していたのが鹿島アントラーズなので、僕らは自分たちが求めること、目指すことをやりながらも、でも少しずつ鹿島が勝ち得ていた勝者のメンタリティーというものを追い求めていく中で2012年の初優勝に繋がって。やっぱり勝つことがすべてというか、勝つために時には苦しいことも受け止めなければいけないですし、我慢すること、本当は自分たちがやりたいことじゃないけど、そこは状況とかいろいろなものを見ながら我慢して勝ち点3を積み上げていく、勝ち点1を積み上げていく、そういうしぶといチームに成長していくことができたと思うので。だからこそ広島という決して大きくない街と大きくないクラブの規模でありながらも3度の優勝ができたと思うので。

岩政 まあそこから、今は広島から名古屋に来たわけですけど、来る前にいろいろな悩みや葛藤があったと思いますけど、今少し離れて広島のことを思い返すと、どのように考えています? 見ています?

佐藤 本当に寂しい思いはやっぱりありますよね。自分が12年間プレーしてきたクラブですし、そこに同じJ1の舞台で戦っている対戦相手として見る、寂しい思いはありますけど、でも当時一緒に戦った仲間も頑張っている姿を見ると、すごい嬉しい思いにもなりますし、また変わらず(青山敏弘)キャプテンもチームを鼓舞し続けてくれているんで、そういう姿を今は外から見ますし、同じライバルというか、そういうところは複雑なんですけど、実際JリーグYBCルヴァンカップでエディオンスタジアム広島に行った時は複雑でしたし、でも逆に自分がプレーしている姿を、ユニフォームの色は違いますけど見てもらえるのも、自分がこういう決断をしたことの一つにあるのかなと思いますけど。

岩政 それだけ長くプレーして、あれだけお互い愛し愛されのチームとの関係だったら、複雑でしょ? 俺も鹿島を出た後に「退団したチームと対戦したいですか?」とか言われるけど、全然俺は対戦したい思いはなくて。外に出されたら「やり返してやろう」みたいな思いはあるけど、全然そんな気持ちは俺なくて(笑)。

佐藤 いや、ホントにまさにその通りで、家族は「頑張ってほしい」とか「点を取ってほしい」とかそういうのはあるみたいで、でも僕からしてみたら「いやいや、可能だったら試合をやりたくないんだけど」みたいな(笑)。

岩政 そうだよね(笑)。やっぱそうか。

佐藤 だからすごい複雑だし、それさえも正直、考えたくないなっていう。試合をすることとか。普通だったら対戦相手がどこで、どういう形で点が取れるかなとか、そういうのを考えなきゃいけないんだけど、いや別に考えたくないなっていう正直な思いはある。

岩政 サポーターの人たちの気持ちもね。ずっと一緒に戦っていたからあるしね。あれ複雑なんだよな。

佐藤 そうなんだよね(笑)。これたぶん自分にしか分からないのかなとは思って。

 5月18日(金)21時から放送される『スカサカ!ライブ』では、キリンチャレンジカップ2018ガーナ戦に向けて発表される予定の日本代表メンバーについての特集や、Jリーグ序盤戦の振り返りなどを放送する予定となっている。

By サッカーキング編集部

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