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【土屋雅史氏のJ2展望】新潟vs山形はデータ面から新潟が優勢…リーグ初対戦の讃岐と甲府はドローが濃厚

2018.05.18

新潟と山形には、長きにわたって激闘を繰り広げてきた歴史がある。

■J2版“オリジナル10”によるアツい試合を見逃すな!

 難敵の千葉にアウェイで逆転勝利を手にして、8位まで浮上した新潟と、大宮との苦しいゲームをドローに持ち込んだ19位の山形が激突する第15節。今季のJ2に5クラブ在籍する“オリジナル10”でもある両者の対峙は、20年の歴史を数える伝統の一戦でもあります。

 Jリーグの舞台で新潟と山形が初めて対戦したのは、前者にとって記念すべきホーム初戦となった1999年3月20日のJ2第2節。まだビッグスワンは完成前だったこともあり、会場は新潟市陸上競技場。わずか2,514人の観衆の前で、その一戦は行われます。新潟を率いるのは永井良和監督。スタメンには水越潤に中野圭一郎といったJFL時代を知る選手たちに加え、“越後のカベ”ことセルジオや秋葉忠宏の名前も。一方の山形は植木繁晴監督の下、こちらも鈴木克美と高橋健二の“Wレジェンド”を筆頭に、本街直樹や太田雅之、吉田達磨もスタメン出場。ゲームは0-0で延長にもつれ込み、98分に鈴木慎吾がVゴールを決めて新潟が勝利。劇的な形でJリーグ初対決を制しました。

 2004年に新潟がJ1に昇格してからは、5年に渡ってリーグ戦での対戦はありませんでしたが、次に両者が再会したのは山形がクラブ史上初めてのJ1を戦うことになった2009年。NDソフトスタジアム山形で開催されたJ1第11節は、当時放送されていた大河ドラマにちなみ、『天地人ダービー』と銘打たれることに。山形では宮沢克行が、新潟では鈴木淳監督と大島秀夫が古巣対決という因縁も含んだ一戦は、60分に矢野貴章が挙げた先制弾がそのまま決勝ゴールとなり、アウェイの新潟が勝利。以降の3年間はトップディビジョンを舞台に再びしのぎを削るも、2011年に山形はJ2へ降格。ここからしばらくは“すれ違い”が続くことになります。

 現時点でリーグ戦における最後の対戦は、“山の神”として一世を風靡した山岸範宏の活躍もあり、山形が昇格プレーオフを制して、4年ぶりにJ1へ帰ってきた2015年のJ1セカンドステージ第4節。指宿洋史と山本康裕のゴールでアウェイチームが2点を先行し、ディエゴが1点を返したものの、最後は鈴木武蔵のダメ押し弾で新潟が勝利を収めます。ただ、両チームのメンバーを見てみても、現在もチームに在籍している選手は新潟の川口尚紀と加藤大の2人のみ。この4年でお互いを取り巻く環境も大きく変化してきたことが、このデータからもよく分かる気がします。

 前節の新潟は前述した通り、ルーキーの渡邉新太が3戦連発となる2ゴールを叩き込んで千葉を逆転で下して、ようやく6勝2分6敗と星をイーブンに。対する山形の前節はシュートゼロだった前半を経て、大宮に先制を許しながらも、小林成豪の一撃でドロー決着。勝ち点1を獲得しています。両チームのリーグ戦における対戦成績は、新潟から見て17勝5分6敗と比較的偏った数字が。伝統あるこのカードでさらなる名勝負が生まれることを期待しつつ、データ面も考慮して新潟の勝利を予想。「1」にマークしたいと思います。

■名門校で実力を磨いた2人が、ピッチ上で相まみえる

 今季2度目の3連敗を喫し、21位となかなか浮上のきっかけを掴み切れない讃岐と、前節の栃木戦に競り勝ち、今季初の連勝とホーム初勝利を同時に達成した11位甲府がピカスタで対戦する第15節。このゲームでは高校サッカー界屈指の強豪校で切磋琢磨した、同級生の再会にフィーチャーしたいと考えています。

 高校選手権6度の全国優勝を数える国見高校。長崎で生まれた讃岐の渡邉大剛と甲府の松橋優は、同校の全盛期とも言うべき2000年にこの名門へ入学します。当時の3年生には超高校級アタッカーの大久保嘉人と、優の実兄で驚異的なスピードを有した松橋章太の2枚看板が居並び、インターハイ王者として臨んだ高校選手権でも圧倒的な力を発揮すると、16得点1失点と他を寄せ付けずに全国の頂点へ。出場機会は訪れなかったものの、1年生の渡邉と松橋も25人のメンバー入りを果たし、先輩の偉業をその目に焼き付けます。

 2年時のチームも強烈な個性派集団。前年の日本一をレギュラーで経験した徳重健太、徳永悠平、片山奨典の3人が残り、渡邉も同級生の柴﨑晃誠とともに定位置を奪取。さらに平山相太と中村北斗というスーパールーキーも加わり、前年にも増して強力な布陣に。前回王者として挑んだ高校選手権では、1年前を上回る17得点を記録して史上8校目の連覇を達成しましたが、全5試合にスタメンフル出場した渡邉に対し、松橋はこの大会も出場はなし。最後の1年に選手権出場と3連覇を懸けることになりました。

 迎えた3年時は渡邉も松橋もメインキャストとして活躍。きっちり予選を勝ち上がった選手権でも、初戦の丸岡戦から平山がハットトリックを披露するなど、確かな実力を発揮して青森山田、帝京、桐蔭学園を相次ぎ撃破。市立船橋との決勝まで駒を進めます。そして両チームのスタメン22人中、17人がのちのJリーガーという伝説の一戦は、国見がゲームを通じて押し込んだものの、小川佳純に40mミドルを叩き込まれて0-1で惜敗し、戦後初の3連覇は幻に。卒業後は渡邉が京都へ入団し、松橋は早稲田大へ進学。それぞれ新たな道を歩み始めました。

 そんな2人がプロの世界で初めて対戦したのは2008年7月6日。その前年に大分へ加入した松橋が55分に交替出場を果たすと、既に京都の主力選手としてこの試合もスタメンで登場した渡邉とピッチ上で再会することに。ゲームは1-1のドローでしたが、高校を卒業してから6年の時を経て、同級生は同じJリーグの舞台に立ったのです。

今節マッチアップの可能性がある讃岐の渡邉(左)と甲府の松橋(右)。プロ初対戦からまもなく10年が経とうとしている [写真]=J.LEAGUE

 京都を退団後、大宮と韓国の釜山アイパークでもプレーした渡邉は、2016年シーズンの途中から讃岐へ。松橋は2009年に加入した甲府在籍も今年で10シーズン目。今やベテランと呼ばれる年齢になった33歳の2人は、前節も揃って先発出場。右寄りにポジションを取ることの多い渡邉と、左ウイングバックが主戦場の松橋はマッチアップする機会も少なくないでしょう。

 過去に3試合あった2人のリーグ戦における直接対決は、1勝1分1敗とまったくのイーブン。また、讃岐と甲府は今回がリーグ初対戦ということもあり、データによる相性に明確な偏りは見られません。このゲームでは渡邉と松橋がピッチ上で5年ぶりに再会することにも期待しつつ、様々な要素を総合するとドロー決着が濃厚かなと思い、「0」で勝負してみます。

文=土屋雅史

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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第15節
2018年5月20日(日)14時キックオフ
アルビレックス新潟vsモンテディオ山形(デンカビッグスワンスタジアム)

■明治安田生命J2リーグ第15節
2018年5月20日(日)14時キックオフ
カマタマーレ讃岐vsヴァンフォーレ甲府(Pikaraスタジアム)

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