横浜Cの斉藤光毅は、第24節の岐阜戦でクラブ史上最年少でのJリーグデビューを果たした [写真]=J.LEAGUE
■常に前だけを見据えて……横浜FCで更なる成長を目指す“16歳” 斉藤光毅
敵地での開催が予定されていたリーグ前節の福岡戦は台風の影響で延期になったものの、現在は7戦負けなしで4位につけている横浜FCが、同様に前節の山口戦は延期されながら、第23節から3連勝中で2位と好調の続く町田をホームに迎える上位対決。このゲームの見どころとして挙げたいのは、先日16歳11ヶ月11日でクラブ史上最年少でのJリーグデビューを果たした、横浜FCの高校2年生の存在です。
7月21日。第24節の岐阜戦。3-0と横浜FCがリードして迎えた84分に、小柄な背番号43がピッチサイドに登場すると、三ツ沢のスタンドからどよめきが起こります。その大きな背番号からも分かるように、まだユース所属の16歳。斉藤光毅にJリーグデビューの瞬間がやってきました。
「三ツ沢で、横浜FCの選手としてプロデビューするのを凄く心待ちにしていたというか、そういう部分もあったので、『やってやるぞ』という気持ちで入りました」とピッチへ駆け出した斉藤は、その3分後に投入された三浦知良と2トップを組むことに。実に35歳の年齢差があった訳ですが、本人はカズへのリスペクトも口にしつつ、「ピッチに入ったら気にならなかったですし、凄く年は離れているんですけど、そういう所を気にしていたらやっていけないと思うので、遠慮せずに何か残すつもりでやりました」ときっぱり言い切る口調からは、しっかりしたメンタルも窺えます。
ただ、アディショナルタイムには右サイドで相手ディフェンダーを股抜きでかわし、ファウルで止められる場面もあったものの、リードしている展開もあって、チャンスに絡むことはできず。試合後には「今回デビューできたことは凄く嬉しいんですけど、何もやれていないですし、何も残せていないので、そこはしっかり残せるようにやっていきたいと思います」と前だけを見据えるような言葉にも、16歳らしからぬ頼もしさが。個人的には今後への期待が膨らむようなデビュー戦だったように感じました。
第25節の金沢戦は70分に松井大輔と替わって途中出場すると、ファーストプレーで積極的な仕掛けからシュートまでもっていきます。また、75分に左からのクロスに合わせたヘディングは枠外へ。時折輝きを放ったものの、試合はスコアレスドローに終わり、ゴールを記録するには至らず。「前からイメージはしていたんですけど、そのイメージというのはゴールを決めて、ヒーローになるというイメージ」の実現は次戦以降へ持ち越しとなりました。
「もっとやれないとダメだと思うので、そこは向上心を持ってやっていきたいと思います」
「練習で吹っ飛ばされることは結構あるので、そこは体作りも体の使い方ももっと学んで、成長していきたいと思います」と斉藤の口を衝くのはさらなる成長への意欲。この気持ちを持ち続けている限り、『ゴールを決めて、ヒーローになる』イメージの実現もそう遠い日のことではないでしょう。
横浜FCも町田もともに手堅いチームスタイルだけあって、おそらくはそこまで動きの多くないゲームが予想されますが、勝敗を分けるのは攻撃で違いを出せる選手の存在。そのピースになり得る斉藤のJ2最年少得点記録更新にも期待が掛かりますが、ここは真夏の消耗戦の末にドロー決着を予想。「0」で勝負してみます!
■8年ぶりに千葉へ帰還……いきなり古巣の松本と相まみえる工藤浩平
3連敗から一転、甲府と新潟に競り勝って今シーズン3度目の連勝を達成した14位の千葉と、こちらは3連勝で首位をがっちりキープしている松本がフクアリで対峙する第27節。この一戦からは8年ぶりに千葉へ帰還し、早々に古巣対決を迎えた工藤浩平に注目が集まります。
出身は千葉県市原市。小学校5年生から千葉の辰巳台スクールに通い、中学もそのまま辰巳台スクールジュニアユースで技術を磨き、順調にユースへと昇格した工藤。2学年上には高木貴弘や中後雅喜、1学年上には岡本昌弘や山岸智らを擁するチームの中で、2年時には1学年下の八角剛史とドイスボランチを組み、Jユースカップ3位を経験。また、個人でもU-15から各年代別代表に名前を連ね続け、2001年にはFIFA U-17W杯にも、成岡翔や矢野貴章、藤本淳吾など攻撃陣のタレントとともに10番を背負って全3試合に出場。エディ・ジョンソンやシナマ=ポンゴルとも同じピッチで対戦します。
2003年にトップチームへ昇格すると、同じタイミングで指揮官に就任したのがイビチャ・オシム監督。阿部勇樹、佐藤勇人、羽生直剛といった実力者たちに囲まれながら、ルーキーイヤーから主に途中出場で実戦経験を積み重ね、アマル・オシム監督政権下の2007年シーズンにレギュラーへ定着。残留争いを強いられた苦しい時期のチームを10番として牽引し、2008年には日本代表への招集も受けるなど、着実にステップアップを遂げていきましたが、2010年に千葉はクラブ史上初めてJ2へと降格。工藤も2011年シーズンには16年を過ごした愛着あるクラブを離れ、京都への完全移籍を決断することになりました。
京都では大木武監督の下、圧倒的な技術と戦術眼の高さで主力の座を勝ち獲り、独特なスタイルを余すことなく表現し続けたものの、チームは2012年、2013年とリーグ戦では3位に入りながら、ともにJ1昇格プレーオフで敗退。2015年には広島へと移籍し、自身にとって6年ぶりとなるJ1にチャレンジしましたが、出場機会を得ることができず、半年で松本へと完全移籍で加入。ここ2シーズンはそれぞれ11得点、8得点と得点力にも磨きが掛かり、より怖い選手として攻撃を司ってきたなかで、今シーズンは出場機会が減少しつつあり、このタイミングでの古巣復帰となった訳です。
登録直後となった第24節の讃岐戦で途中出場を果たすと、第25節の甲府戦ではインサイドハーフでスタートからピッチに立ち、終盤の81分には高い位置で相手ボールを奪いつつ、すかさず矢田旭にパスを送って、為田大貴の決勝ゴールを演出。第26節の新潟戦も58分までプレーし、攻撃にきっちりアクセントを加えるなど、早々にフィットしている様子。千葉にとっては願ってもない補強となりそうな予感が漂っています。
とはいえ、大分戦の敗戦で完全にスイッチが入った感のある反町康治監督に率いられた松本が纏う、今の安定した空気感はややJ2を超越したレベル。千葉のバイオリズムを考えても、間違いなく好ゲームが予想されますが、それでも松本が攻守にやや上回ると予想し、ここはアウェイチーム勝利の「2」にマークします。
文=土屋雅史
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※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。
■明治安田生命J2リーグ第27節
2018年8月4日(土)18時キックオフ
横浜FCvsFC町田ゼルビア(ニッパツ三ツ沢球技場)
■明治安田生命J2リーグ第27節
2018年8月4日(土)18時キックオフ
ジェフユナイテッド千葉vs松本山雅FC(フクダ電子アリーナ)
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