フクアリでの横浜FC戦に強い千葉。9試合で6勝3分という数字が残っている [写真]=Getty Images
■絶対的なスピードと運動量を武器とする、横浜FCの右ウイングバック
リーグ前節の福岡戦は3-3と壮絶な撃ち合いを演じ、これで3戦無敗となった13位の千葉と、4連勝から一転して3戦未勝利と一時の勢いにやや陰りの見える5位の横浜FCが、フクダ電子アリーナで激突する第34節。この一戦で注目したいのは、かつてのホームスタジアムに帰還する可能性を秘めた、横浜FCの右サイドを駆けるハイスペックな仕事人です。
群馬県出身の北爪健吾は名門の前橋育英高校に在籍。3年時は元々のサイドバックではなく、川岸祐輔とセンターバックを組むことになりましたが、小島秀仁や小牟田洋佑などを擁したチームは選手権で、最後はスタメン6人がプロに進んだ流通経済大柏高校にPK戦で敗れたものの、全国ベスト16まで進出。北爪はその実績を引っ提げ、関東1部リーグに復帰したばかりの専修大学へ進学しました。
結果的にこの選択は大正解。4年に町田也真人、庄司悦大、3年に栗山直樹、2年に長澤和輝、下田北斗、同級生に仲川輝人など、強烈なメンバーの居並ぶチームは、いきなり1部復帰シーズンで優勝を飾ると、インカレでも初の日本一に。1年で右サイドバックの定位置を掴んだ北爪も全日本大学選抜に選出されるなど、一躍プロからも注目を集める存在になっていきます。
4年間に渡って専修の右サイドを駆け上がり続け、ユニバーシアードで世界も経験した北爪は、何と史上4校目となる驚異のリーグ4連覇を、いずれのシーズンも主力として成し遂げる快挙を達成。大学ナンバーワン右サイドバックという評価を受け、2015年にレギュラー候補として千葉へと加入することになりました。
4番を託されるなど、大きな期待を背負って踏み出したルーキーイヤーでしたが、大岩一貴や金井貢史の壁は高く、ポジションを勝ち獲るまでには至らず。2年目は途中出場が大半の中、サイドハーフでプレーする機会も増加し、昨季も序盤戦こそスタメン起用が続きながら、中盤戦以降はベンチ入りもままならず、終盤の快進撃もスタンドから見つめることに。今季から完全移籍で横浜FCへと活躍の場を移したのです。
すると、横浜の地でプロ4年目の北爪はようやくブレイク。右ウイングバックを主戦場に、絶対的なスピードと運動量を武器にチームのサイドアタックの重要なピースを担い、ここまで4ゴール8アシストと確かな結果も。第31節の京都戦では自ら2ゴールを叩き出すなど、数字も残せる選手としての地位を確立していますが、千葉で過ごした3年間がいろいろな意味でこのブレイクの基盤になっていることも、忘れてはいけない部分でしょう。
今季1度目の対戦となった第15節の千葉戦で、北爪は2アシストを記録して成長を見せ付けながらも、ゲームは3-3のドロー。ここ2試合は少し負傷もあって欠場を余儀なくされていますが、フクアリ凱旋となる今節へ並々ならぬ意欲を燃やしていることは、疑いようのない所。そんな北爪の戦線復帰に期待しつつも、千葉が過去にフクアリで横浜FCと戦った9試合の結果は6勝3分という極端な数字が。そのデータも加味して、このゲームは千葉がフクアリでの無敗記録を伸ばすと予想。「1」で勝負します!
■加入後すぐにゴールを量産している、徳島のスペイン人フォワードに注目
前々節は水戸と引き分け、前節は大宮に敗れた2位の町田が、怒涛の4連勝で8位まで浮上してきた徳島をホームで迎え撃つ今節。このゲームでフィーチャーしたいストライカーは、加入後8試合で8ゴールと、1試合1ゴールペースで猛威を振るっている、徳島のダビド・バラルです。
スペインはアンダルシア。大西洋を越えたらすぐにモロッコという、風光明媚な街として知られるカディス。この素敵な土地で生まれたバラルは、地元のクラブで頭角を現すと、10代後半からレアル・マドリーの下部組織でプレーすることに。2003-04シーズンに2部B(3部相当)のフエンラブラダに期限付きで移籍し、ここでリーグ戦17ゴールを挙げる活躍を披露。2004-05シーズンは、やはり2部Bに在籍していたレアル・マドリーBでプレーすることになります。
Bチームとはいえ、そこは天下のレアル・マドリー。当時のチームを見てみると、監督は後にトップチームも率いることになるファン・ラモン・ロペス・カロ。ゴールキーパーにはディエゴ・ロペス、ディフェンダーにはアルベロアやフアンフラン、中盤にはボルハ・バレーロ、ハビ・ガルシア、フラード、デ・ラ・レッド、そしてバラルのライバルとなるフォワードには不動のレギュラーとしてソルダードが君臨。この陣容でリーグ戦を制し、翌シーズンは2部Aへと昇格。レアル・マドリー・カスティージャと名前の変わったチームには、さらにフィリペ・ルイスやネグレド、グラネロも加わります。
バラルは限られた出場機会の中、2シーズンのリーグ戦で9ゴールを記録。さらに、2005-06シーズンではUEFAチャンピオンズリーグのスカッドに名を連ね、出場機会こそ訪れなかったものの、グループステージのオリンピアコス戦でベンチ入りも経験します。ただ、当時のトップチームのフォワード陣はラウール、ロビーニョ、ロナウド、カッサーノ、ファン・ニステルローイとまさに世界最高峰レベル。バラルは2006年の夏にスポルティング・ヒホンへの完全移籍を決断しました。
2部Aでの2シーズンでそれぞれ9ゴール、11ゴールと結果を残し、チームの1部昇格に貢献したバラルは、“プリメーラ”初体験となる2008-09シーズンでも、いきなり二桁の10ゴールをマークして、チームも1部に残留。結果的に4シーズンを1部で戦ったヒホンを最前線で牽引し続けましたが、チームの降格を受けてトルコのオブドゥスポルへ。以降はレバンテ、UAEのアル・ダフラ、グラナダ、キプロスのAPOELを渡り歩き、昨年に地元のカディスCFへ帰還。2部で6ゴールという成績を残し、この夏に自身4カ国目の海外となる日本は徳島へと、新天地を求めることになった訳です。
加入3試合目の山形戦でFK、PK、右足、左足とさまざまなシチュエーションで、1試合4ゴールを叩き込み、サポーターへの強烈なアピールに成功すると、第31節の讃岐戦では相手のクリアを素早くプッシュ。前々節の栃木戦でも岩尾憲のCKからヘディングをゴールネットに突き刺し、さらにPKでドッピエッタ。前節の岐阜戦もエリア外から左足ミドルを沈め、これで前述した通り、8戦8発と大暴れ。徳島復調のキーマンとしてチームへ前線から活力をもたらし続けています。
町田は後半アディショナルタイムの失点で大宮に敗れて首位から陥落したものの、チームとしての安定感と実力は確か。徳島との対戦は間違いなく好ゲームが期待できる顔合わせです。ここはバラルが4試合連続ゴールを達成するか否かにも注目しつつ、結果はドロー決着を予想。「0」にマークしたいと思います。
文=土屋雅史
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■明治安田生命J2リーグ第34節
2018年9月23日(日)15時キックオフ
ジェフユナイテッド千葉vs横浜FC(フクダ電子アリーナ)
■明治安田生命J2リーグ第34節
2018年9月22日(土)16時キックオフ
FC町田ゼルビアvs徳島ヴォルティス(町田市立陸上競技場)
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