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Jユースカップ王者は清水ユースか、横浜FMユースか…名門同士の頂上決戦を見逃すな!

2018.11.17

清水ユース(上)と横浜FMユース(下)が激闘する [写真]=J.LEAGUE

 11月18日、2018Jユースカップ 第26回Jリーグユース選手権大会の決勝戦が、福岡県北九州市のミクニワールドスタジアム北九州を舞台に開催される。

 高校生年代のクラブチーム日本一を決めるこの大会のファイナルに勝ち残ったのは清水エスパルスユース横浜F・マリノスユースの2チーム。どちらもJユースチームの草創期から多くの選手を日本サッカー界に輩出してきたことで知られる名門である。

 清水ユースのOBとして真っ先に思い浮かぶのは、2年前に現役を退いた元日本代表DFの市川大祐氏だろう。大型ながら繊細なタッチを持つ新時代の右サイドバックとして活躍し、2002年の日韓W杯にも出場を果たした名プレイヤーだ。また現役選手では森保ジャパンに名を連ねるFW北川航也が清水ユース育ち。高校時代からゴールを量産していたストライカーであり、このJユースカップでも輝きを放っている。またU-21日本代表のDF立田悠悟もユースのOBである。

清水に所属する北川航也 [写真]=Getty Images

 北川と同じストライカーではヴィッセル神戸に所属する長身FW長沢駿の名前も挙がるだろう。他には来季からアルビレックス新潟への復帰が発表されたGK野澤洋輔。清水のGKは昔からハイレベルな選手を輩出してきたが、野澤も長くプロのステージで活躍を続ける名手である。清水をはじめ、北海道コンサドーレ札幌、モンテディオ山形、東京ヴェルディで活躍し、昨年限りで引退となったMF高木純平など、息の長い選手も多い。

 一方、日産FC時代からの伝統がある横浜FMユースも多くの名選手を出してきた。昨年限りで現役を退いた元日本代表MFの石川直宏氏はその筆頭格として名前の挙がる選手だろう。また、その石川氏とその二つ下までの代は、ちょうど横浜フリューゲルスユースとの合併という予想だにしなかった時代に生まれた特異な“黄金世代”でもある。松本山雅FCのMF田中隼磨や、今年引退を発表したFW坂田大輔氏。現在も横浜FMに所属する元日本代表DF栗原勇蔵、浦和レッズのGK榎本哲也らの名前が挙がる。

 現在の森保ジャパンのメンバーに横浜FMユースのOBはいないが、MF天野純は9月に代表初招集を受けた。ブラジルW杯で日本代表に選ばれた川崎フロンターレのMF齋藤学は横浜FMユース育ちだ。他にもFWハーフナー・マイク(ベガルタ仙台)、MF長谷川アーリアジャスール(名古屋グランパス)といった日本代表経験者を輩出している。またU-21日本代表でルヴァンカップのニューヒーロー賞を獲得したMF遠藤渓太もユース出身選手だ。

横浜FMの司令塔・天野純 [写真]=Getty Images

 Jリーグ発足からの25年でこれだけ多くの選手を輩出してきた(しかも触れられていない選手がまだまだいる!)両チームだけに、チームとしても幾多の激闘を各大会で繰り広げてきている。Jユースカップに絞って思い出してみると、個人的に印象深いのは2000年大会の準決勝。これは本当にエンタメ性に富んだ名勝負だった。

 同年夏の日本クラブユース選手権を制していた横浜FMユースは、前年の1999年大会のJユースカップでも1、2年生チームで準優勝を果たしているビッグチーム。坂田、田中隼、栗原、榎本哲らキラ星のごときタレント集団が押しまくって後半途中まで3点をリードする展開。「勝負あった!」と誰もが思ったのだが、ここから清水が怒濤の猛反撃。現在はクラブスタッフを務める杉山浩太氏らのゴールで驚愕の4得点を叩き込み、歴史的な大逆転勝利を飾ることとなった。

 今回の決勝戦も、最後まで分からない。そんな名勝負が期待できそうな空気感は十分にある。立場的には当時と逆で、清水ユースが夏のチャンピオン。夏の敗北を機にしてチームが変わっていったという横浜FMユースにとって「こんなストーリー、願ってもない展開(西谷冬樹監督)」となっている。「今は本当に練習から雰囲気がいい」と話すように、勢いをそのまま決勝の舞台でぶつけたいところだ。

 横浜FMらしい、個性の強いアタッカーたちがひしめいているのも大きな特長。夏まではそれがいまいち噛み合ってなかったというが、「今はみんなで戦えている」と椿直起が胸を張って断言するとおり、もうそれは過去の話だ。左の椿、右の山谷侑士というトップ昇格が内定している両翼の破壊力は群を抜いており、これに彩りを加える技巧派の10番・榊原慧悟のプレーも必見。そしてフィニッシャーとして、大会得点王レースをリードする栗原秀輔を擁する陣容は強力無比。両サイドバックの攻撃力、土佐陸翼が中心となる組み立てのレベルも高い。

準決勝は5得点を奪い、神戸U-18に快勝した [写真]=J.LEAGUE

 対する清水ユースも「これほど成長を見せてくれるとは」と平岡宏章監督が確かな手応えを感じるスペシャルなチームになってきた。シーズン開幕前は「クラブ内でも『力がない』と言われていた。クラブユース選手権は東海予選突破、プレミアリーグは残留、Jユースカップは初戦突破が目標だと思っていた」というが、開き直って「JOY」をテーマにした夏のクラブユース選手権で優勝。「自信を付けて余裕が出てきた」今は、風格すら感じられるチームに仕上がっている。

 今大会はトップ昇格内定のGK梅田透吾とエースFW齊藤聖七を負傷で欠いていたのだが、代わりに出た選手たちが質の高いプレーを見せてチームを支えてきた。特にGK天野友心の貢献度は特筆モノ。昨年のU-17W杯日本代表DF監物拓歩が軸となり、平岡監督が「鉄壁」と評する3年生で構成される4バックの安定感も光る。齊藤も準決勝から途中出場で復帰を果たし、決勝でも切り札としての起用がありそうだ。

準決勝は丸山と佐野の得点で新潟U-18を下した [写真]=J.LEAGUE

 清水ユースと横浜FMユース。Jユースを代表する名門同士が激突する注目の決勝は、11月18日(日)13時からミクニワールドスタジアム北九州にて開幕する。DAZNやJリーグ公式メディアでもライブ配信されるこの一戦、未来のJリーガーたちの輝きを見逃す手はない。

文=川端暁彦

2018Jユースカップ 第26回Jリーグユース選手権大会
【決勝】
■11月18日(日)
13:00 清水 vs 横浜FM(ミクスタ)

入場料は無料! 決勝の模様はDAZNとJリーグ公式メディアでライブ配信! 

【配信先】
DAZN
Jリーグ公式Youtubeチャンネル
Jリーグ公式Facebookアカウント
Jリーグ公式Twitterアカウント
Jリーグ公式LINE LIVEアカウント

By 川端暁彦

2013年までサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で編集、記者を担当。現在はフリーランスとして活動中。

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