J1連覇を達成した川崎フロンターレの谷口彰悟、そしてJ1残留争いを演じ、劇的な展開で残留を成し遂げた名古屋グランパスの佐藤寿人がスタジオゲストとして登場し、それぞれの立場から2018シーズンを振り返った。
前半戦はサンフレッチェ広島が首位を独走し、川崎は最大で13ポイントもの差をつけられた。当時の心境を聞かれ、谷口はこのように答えている。
「やっぱり、ちょっとマズいなという気持ちは、僕だけじゃなくチーム全体にありましたし、これ以上離されるわけにはいかないと思っていました。でも、上ばかり見過ぎてもダメだし、自分たちが目の前の試合で勝ち点3ずつを積み上げていかないことにはどうにもならないというのはみんな分かっていたので、そこに集中して地道にやった結果、最後にこうやって差をつけることができたのかな、と思います」
2018シーズンの川崎は57得点27失点で、これはJ1の最多得点・最少失点。番組MCの岩政大樹は「攻から守への切り替えが非常にスピーディーになって、抑えるべきところが非常に明確になったように見えた」と印象を語ったが、谷口はそれがチームとしての共通認識だったことを明かした。
「そこは(鬼木達)監督からもかなり口酸っぱく言われていましたし、(ボールを)取られた後に切り替えることを前線の選手が率先してやってくれた。後ろとしては、先に限定してもらってすごくやりやすい状況を作ってもらえたので、そういった選手たちのおかげで最少失点が成し遂げられたと思います」
谷口はセンターバックやボランチ、左サイドバックなど、複数のポジションをこなせるプレーヤーだが、岩政は今シーズンのパフォーマンスを見て「センターバックらしくなってきた」と評価。「他の選手がかわされた後のカバーとか、ゴール前の粘りとか、その辺の意識がかなり高まったように見える」と印象を語ったが、谷口は自身でもセンターバックとしてのプレーに手ごたえを感じているようだ。
「ずっとセンターバックで出ていましたし、センターバックとしての役割、仕事というのを、かなり自分の中でも整理してやれるようになってきたというのはあります。あとは経験というか、たくさん(相手に)やられて、それを次に生かす作業もできるようになってきたので、試合の流れの先読みもそうですけど、そういったものが出せるようになってきたかな、というのは感じますね」
一方、名古屋は開幕当初こそ好調だったが、その後は勝てない試合が続き、第9節から第21節までは最下位に低迷。その後は7連勝などもあって少しずつ盛り返し、最終節では湘南ベルマーレに2-2で引き分けたものの、残留争いを演じていたジュビロ磐田が後半アディショナルタイムに決勝点を決められて川崎に敗れたため、J1残留が決まった。
佐藤は今シーズンの名古屋を「ジェットコースターのようで、下にいる時間が長かった」と表現。最終節で残留が確定した瞬間について、このように回顧している。
「(残留を知ったのは)試合終了の1、2分後ですかね。僕はメンバーから外れてスタンドから見ていたんですけど。スマホ片手にずーっと(川崎対磐田の)戦況を見ていて。川崎は前半スコアが動かなかったんで『頼むよ~』と思いながら見ていました。名古屋の試合が2-2で終わってピッチに下りて行って、その時は『ああダメだな、プレーオフだな』という雰囲気だったんですけど、『え? (川崎対磐田のスコアが)動いたよ!』みたいな感じでザワついて。それで全然違う状況になりました」
残留が決まった後、ジョーは号泣し、ガブリエル・シャビエルやエドゥアルド・ネットも感極まった表情を見せていた。これは佐藤も驚きだったようだ。
「外国籍選手の涙は正直、意外でしたし、それだけ懸けてくれていたんだなと。また、丸山(祐市)選手もシーズン途中から加入したにもかかわらず、泣きすぎだろう、というぐらい泣いていたので、自分たちももらい泣きしそうでしたね」
佐藤自身は出場機会が少なく、不本意なシーズンとなったが、収穫も多かったようだ。
「本来ならキャプテンとしてピッチの上で引っ張っていかなければならないんですけど、なかなかできなくて。ただ、J1に復帰して初年度で何とか残留することができたし、個人的には不完全燃焼ではありましたけど、素晴らしい仲間たちと年間を通して戦うことができました。あとは僕だけではなく、楢﨑(正剛)選手もいましたし、タマさん(玉田圭司)は最後のほうはずっと試合に出て、体を張ってチームのためにプレーしてくれて、チームを引っ張ってくれた。僕だけではなく、他のベテランの選手たちにも救われました」
ちなみに佐藤は、あるサッカー雑誌の企画で今シーズンのMVP予想をした際、谷口の名前を書いたという。佐藤はその理由について「守備もそうなんですけど、セットプレーで得点を奪うというところも(評価した)」と語っている。谷口はセットプレーからヘディングでゴールを決めることが多く、特にニアサイドでのヘディングについてかなり自信を深めているようだ。
「実際に点を取れたら、『あ、これで行けるんだ』っていう成功体験が自分の中で自信につながっていきました。もちろんキッカー(中村憲剛)も素晴らしいんですけど、ピッタリ合えば取れるという自信はついてきていますね」
同じくニアサイドでのヘディングを得意としていた岩政は、このプレーについてこのように解説している。
「センターバックでヘディングの強い選手って後ろ(ファーサイド)で待ちたがるんですよ。でも、そこ待っていても、プロではほとんど得点が入らないんですよ。実は僕も、競り合いが強いと言われていたんですけど、いつもニアを狙っていたんですよ。ニアは入るんですけど、ファーは競り勝っても入らないんですよ。僕は最初そこがダメで、ニアに変えてから得点が取れるようになりました」
毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』。次回は12月14日(金)21時スタートで、来年1月に行われるアジアカップの日本代表戦のプレビュー、7日に前編が放送された岩政のインタビューコーナー『今まさに聞く ~スペインサッカー指導者・坪井健太郎篇~』の後編などが放送される予定となっている。
By サッカーキング編集部
サッカー総合情報サイト