3月15日(金)放送の#95では、ジュビロ磐田の今シーズンの新たな取り組みについて取り上げた。番組MCの岩政大樹氏は、3月14日(木)に静岡県磐田市にあるヤマハ大久保グラウンドを訪問。磐田の新たな取り組みに迫った。
就任6年目を迎える名波浩監督は、開幕前のキックオフカンファレンスでこのように語っていた。
「昨年の(不振の)大きな原因として、点が取れなかった(35得点はリーグ2番目の少ない数字)のが一番のポイントだと思います。今までの自分のトレーニングの構築は、守備が7割、攻撃が3割。下手したら8:2ぐらいの割合だったんですけど、それを逆転させて、7割を攻撃に(するつもり)」
攻撃的なスタイルへのシフトチェンジを試みている磐田だが、岩政氏はその変化についてどのように見ているのだろうか。
「ボールを持っている時に、非常に流動的になりましたね。選手たちが非常によく動くようになった。定まったポジションはありますけど、ボールをもらう前にそこから動く量、あるいは連動する選手が、昨年より増えたように見えます。中盤の選手たちがグルグルとポジションを移り変わりながら攻撃を仕掛けていく。逆に言うと、それによってポジションが変わっていきますので、リスクマネジメントというか、ボールを奪われたところのバランスの悪さを突かれて失点してしまうシーンが続いています。ただ、選手たちがやろうとしていることはよく見えますし、積極的に新しい試みにトライしているんだろうな、というのはよく見えますね」
名波監督はここまでのチームの戦いぶりについて、このように評価している。
「ひいき目なしに、良くなっているとは思いますけど、実数としての勝ち点3とか得点数とか、そういったものが増えてきていないので、なかなか確固たる自信・確信には変わっていないかな、というのが現状ですね。新しいことをやるというのは、それだけリスクがある。それは僕自身も、選手たちも自覚していると思うので、そこに成功体験が入ってきて、数字がついてくると、より大胆なものも出てくるんじゃないかと思っています」
岩政氏は磐田の新たな試みである流動的なポジションチェンジのキーマンとして、ボランチの山田大記を挙げた。山田はチームの現状について、次のように語ってくれた。
「チームとして新しい取り組みをしているので、それがもう少しフィットすれば面白い形ができてくるんじゃないかと思います。前線からの守備をもう少し整理しなければならないな、という課題はありますけど、チームの中でもいろいろ話しながら、前向きにはやっています」
また、具体的な課題についてはこのように述べている。
「ポジションチェンジをしていくことで、攻撃で崩すために少しずつですけどアンバランスな状態になるんですけど、それが自分たちの守備になった時にアンバランスな状態につながって失点してしまうこともあるので、そこはまだまだ改善の余地があると思います。攻撃についても、例えば僕たち(ボランチ)がセンターバックの間に入って、センターバックが開いて、サイドバックがボランチに入ってきてという、ただ人が変わるだけではあまり意味がない。適材適所という意味では僕たちは真ん中にいたほうがいいし、サイドの選手はサイドにいたほうがいい。どういう意図でポジションチェンジしているのかを、もっともっと選手たちが考えながら、意味のあるポジションチェンジをしていかなければいけないな、と感じています」
40歳とJ1最年長プレーヤーとなった中村俊輔は、ベテランの視線から今のチームを分析してくれた。まずはチームの攻撃について。
「アダ(アダイウトン)が昨年のケガから戻ってきて、ロドリゲスが新たに入って来て、その2人をサイドに置いて、彼らの“個”をなるべく生かそうというサッカーをしています。それを今は、なるべく我慢強くやっていこうという感じだと思います」
では、中村の目から見て、今の磐田に必要なことは何なのだろうか。
「僕が加入した2017年も、『一度引いてブロックを敷こう』と。そこから前目にディフェンスをしていって、奪ったらアダのスピードが生きて、そこから夏場まで7、8試合負けなしでいった(5月27日の第13節サンフレッチェ広島戦から7月29日の第19節川崎フロンターレ戦まで7試合無敗)んですけど、そういうきっかけがどこかにあれば、という感じで、我慢比べじゃないですけど、今はきっかけを探しているんじゃないですか」
岩政氏が「その意味では、早く1勝がほしい?」と尋ねると、中村はこのように答えた。
「それはそうでしょう。その1勝で、どんどんいい方向に転がることがあるんで。『これで間違いないんだ』というものを探しながら黒星を喫してしまうのは、まだいいと思うんですよ。信じ抜く力というか、その道を全員が同じ方向に向かって進んでいくのであれば大丈夫だと思います」
毎週金曜日21時から放送されている『スカサカ!ライブ』だが、次回は3月22日(金)のキリンチャレンジカップ、日本代表対コロンビア代表の試合終了後、21時40分スタートの予定。日本対コロンビア戦の徹底検証やセリエA第28節ミラン対インテルのレビューなどを放送する。
By サッカーキング編集部
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