DAZNと18のスポーツメディアで取り組む「DAZN Jリーグ推進委員会」が、その活動の一環としてメディア連動企画を実施。Jリーグ再開に向けて、「THIS IS MY CLUB -FOR RESTART WITH LOVE- Supported by DAZN Jリーグ推進委員会」を立ち上げた。サッカーキングでは、徳島ヴォルティスを率いるリカルド・ロドリゲス監督に“クラブ愛”について語ってもらった。
インタビュー=三島大輔
写真提供=徳島ヴォルティス
――徳島ヴォルティスの監督に就任して4季目を迎えました。
リカルド・ロドリゲス こんなに長い時間を日本で過ごせるとは思っていませんでした。日本で指揮を執りたいという思いを受け入れてもらって、ここまでいい時間を過ごせています。私はこのクラブで目標を達成しながら前に進んでいきたい。徳島での時間が続くことを願っています。
――昨シーズンはあと一歩のところでJ1昇格を逃してしまいましたが、その試合後すぐに来シーズンも指揮を執ることが決定しました。徳島に残るという決断に至った経緯を教えてください。
リカルド・ロドリゲス ありがたいことにいくつかのクラブが興味を示してくれました。でも、私はこのクラブでJ1昇格を成し遂げたいと思いました。みんなと再挑戦したいという思いが強かったので、決断は難しくありませんでした。
――監督は徳島のサッカースタイルを確立したと思っています。この3年間を振り返って、ご自身の手応えはいかがですか?
リカルド・ロドリゲス クラブに来たときに、「どんなサッカーを見せたいか」を考えました。そして今は、「徳島のサッカーはこうだよね」と言ってくれる人がいます。これは一つの成果です。たくさんの試合を重ねることで、今までできなかったことができています。試合中に問題が起きたときも、うまく解決して、次につなげることができている。この経験は今後の指導者人生にとっても大事ですし、スタッフやコーチ陣、選手もたくさんのことを学んでくれていると思います。
――徳島は最終ラインからボールをつなぐスタイルが評価されています。スタイルを明確に示すことは、ファン・サポーターにとってどんな影響があると思いますか?
リカルド・ロドリゲス まず、私にはファン・サポーターに楽しんでもらえるようなサッカーをしたいという思いがありました。たくさんゴールが入ったり、ディフェンスの時間が短かったり、ボールを失ってもすぐに奪い返して攻撃をしたり。そういうサッカーをすれば、見に来てくれた人たちが楽しんでくれるのではないかと考えたんです。だから、徳島のサッカーでファンやサポーターが楽しんでくれているとしたら、とてもうれしいです。
――監督のサッカーが好きという徳島ファンは多いと思います。
リカルド・ロドリゲス 「徳島のサッカーをしたい」と言ってくれる選手も増えました。やる気のある選手が入ってきたことで、さらにチーム力が高まると思っています。徳島からJ1にステップアップする選手も増えてきて、そうすると「徳島でプレーすれば、もしかしたら自分も上にいけるかもしれない」と考える選手が出てくる。伸びしろのある若手選手が集まってくれるので、チームはまだまだ成長できるはずです。
――今季は参入プレーオフがなくなったので、2位以内に入らなければJ1に昇格できません。このレギュレーション変更によって目標がより明確になったのでは?
リカルド・ロドリゲス そうですね。ただ、そこにたどり着くのは簡単ではありません。その2枠を懸けて、アビスパ福岡や京都サンガF.C.、ジェフユナイテッド千葉辺りと争うことになると思います。もしくは想定していないようなクラブが割り込んでくるかもしれません。日程がハードなので、何が起きてもおかしくありません。だからこそ、チーム全体でやれることをしっかり積み重ねていく。目標達成のために求められていることを選手全員ができるようにすることが大切です。
――再開初戦は愛媛FCとの四国ダービーですね。
リカルド・ロドリゲス 最高の状態で臨めるように準備していますが、どのチームにも中断期間で中だるみしたり、集中力が欠けたりした選手がいると思います。そこからリーグ戦に向けてしっかりと準備をして、チーム力を高めていく作業は簡単ではありません。まずはいい状態で試合に入れるように集中することが大事だと思っています。それから普段求めているインテンシティの高いサッカーをして、うまくリスタートできればと考えています。
――ここから少し話を変えて、“徳島愛”について伺いたいと思います。監督にとって、徳島はどんな場所ですか?
リカルド・ロドリゲス 最初は慣れるのに苦労しました。東京や大阪などの大きい都市と比べると、どうしてもできることの選択肢が減ってしまいます。でも、それらの都市にはない豊かな自然が広がっています。スポーツをするにはいい環境がそろっていると思います。走ったり、泳いだり、自転車に乗ったりするにはすごくいい街です。ですから私はトライアスロンをしています。
――トライアスロンをされるんですね! 初めて知りました。
リカルド・ロドリゲス ほとんどの人が知らないと思います(笑)。
――どのくらいやられているんですか?
リカルド・ロドリゲス 外出自粛中は家でバーチャルサイクリングをやっていました。今年の12月にあるマラソン大会にエントリーしていたのですが、リーグ戦がずれ込んだので参加できないかもしれませんね。でもまたチャンスはあると思うので、楽しみながらトレーニングに励みたいと思います。
――スペインにいるご家族や友人にJリーグを紹介するとしたら、どのように伝えますか?
リカルド・ロドリゲス これは日頃から言っていることですが、Jリーグはアジアで一番のリーグです。ヨーロッパのトップリーグと比べると下のほうに位置するかもしれませんが、J1リーグはポルトガルやオランダ、トルコなどのリーグと十分に競えるレベルだと思っています。J2もレベルの高いチームがそろっていますし、競争力がある。とても激しく、厳しいリーグだと伝えますね。
――今回、監督にこれだけは伝えたいということがありまして。『サッカーキング』のYouTubeチャンネルでJ2だけを取り上げる『#週刊J2』という番組をやっていて、中断期間中に「一番好きなクラブは?」というアンケートを行ったんです。約400人の視聴者に答えていただいたのですが、徳島が1位に輝きました!
リカルド・ロドリゲス それはすごいですね。とてもうれしいです。
――監督はJ1に上がることが大きな目標だと常におっしゃっています。ファン・サポーターの皆さんも、監督と一緒にJ1に行きたいと願っているのではないでしょうか。
リカルド・ロドリゲス J1昇格という目標に向かって、ファン・サポーターの皆さんと一緒に歩んでいると思っています。今シーズンも我々はピッチでいいサッカーを見せます。なので、今までのような熱い応援をぜひ彼らに届けてほしいです。そしてシーズンが終わったときに、みんなで勝利を祝えるようにしたいと思います。
――“徳島ヴォルティス”というチームや徳島の街を、サッカーでどう変えていきたいと考えていますか?
リカルド・ロドリゲス 徳島がJ1に上がることができれば、街の熱はさらに高まります。徳島にいる人たちだけではなく、県外から訪れる人も増えるでしょう。そうなったら街には活気が生まれます。我々がJ1に上がることで、徳島の街をさらに熱くしたい。そうなれば、チームにもいい影響を与えられるはずです。
――今シーズンのチームは、どんなところに注目したらいいですか?
リカルド・ロドリゲス 変わったところ、成長したところ、いろいろありますが、何よりも我々のサッカーを楽しんでもらいたいです。もちろん、それに見合うサッカーを届けていきます。チャンネルをつけたときに、徳島ヴォルティスの試合を選んでもらえるようなサッカーをしていきたい。ぜひ、我々の試合を見て、楽しんでください!
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By 三島大輔
サッカーキング編集部