札幌で4年目のシーズンを迎えたチャナティップ [写真提供]=MIZUNO
もはや、『タイのメッシ』でも『タイ人Jリーガーのパイオニア』でもない。まごうことなく、明治安田生命Jリーグを代表する選手の1人となった、北海道コンサドーレ札幌のアタッカー。それがチャナティップ・ソングラシンだ。
ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のユニークで攻撃的なサッカーのなかで、チャナティップは特別な存在感を示す。神出鬼没に相手MFとDFのライン間に顔を出し、ボールを受ければたちまち相手に混乱をもたらす。俊敏で、抜け目なく、危険だ。
クラブにとって悲願となるタイトル獲得を、あと一歩で逃した昨季。そんなチームのポテンシャルを、母国・タイで数々のトロフィーを手にした背番号18はどう見ているのか。クラブに“勝者のメンタリティー”をもたらすキーマンに、今季の展望を語ってもらった。
取材・文=生駒 奨(サッカーキング編集部)
写真提供=北海道コンサドーレ札幌
——中断期間の過ごし方を教えてください。ご自宅でのトレーニングを強いられる中で、どんな意識でどんなことに取り組んでこられましたか?
チャナティップ・ソングラシン(以下 チャナティップ) クラブから1日のトレーニングメニューを送ってもらっていたので、それに従ってウエイトなど自宅でできるトレーニングをやっていました。それ以外は、映画を見たり食事したり、きちんと自粛生活を送っていましたよ。特にストレスなどは感じませんでしたけど、やっぱりサッカーができないことへの物足りなさは常にありましたね。
——4月からは、ご自身のYouTubeチャンネル『CHANA CHANNEL』を開始されましたね。そのきっかけや経緯は?
チャナティップ 2カ月くらい、自宅以外で練習のできない期間があったので、ファンのためにできることをやろうと思って始めました。主にタイ語で日本の生活を発信していますが、タイのファンはとても喜んでくれていますね。でも、これからは僕にとって何よりも大切なサッカーが戻ってきます。試合結果やプレーでファンの皆さんを喜ばせることに集中したい。YouTubeは、ファンが喜んでくれるような出来事があれば撮影しようかな、と思っています。
——そうですね。試合での好結果を期待しつつ、YouTubeも楽しみにしています。では、本題のサッカーの話に移りましょう。昨季は、YBCルヴァンカップで決勝まで進出。川崎フロンターレと歴史に残る死闘を繰り広げました。この試合で、チャナティップ選手が感じたことや想いを聞かせてください。
チャナティップ この試合を通じて、改めて「このチームは全員のコンディションさえ整えばどんな相手にも勝てるんだ」という自信がつきました。チーム全員の力で決勝戦まで進出して、その決勝でも勝利に値するパフォーマンスを発揮することができた。もちろん、負けてしまったので、この試合について「良かった」と言える点はないのですが、今季はタイトル獲得、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得を成し遂げたいという想いは一層強くなりました。
——札幌にとって、トップカテゴリーでのタイトル獲得は悲願ですね。チャナティップ選手ご自身は、ムアントン・ユナイテッド時代にリーグ戦・カップ戦の2冠を経験しています。札幌がタイトルを獲得するためにはどんな要素が必要になると思いますか?
チャナティップ ポイントは二つあると思っています。一つは、ビルドアップのクオリティを上げること。札幌のサッカーでは、ビルドアップがうまくいかないと“自分たちの試合”にすることはできません。大事なのは、ミスをしたあとのカバー意識。開幕戦の柏レイソル戦でもそうだったように、パスミスをしたあとカバーできずに失点してしまうとゲームの流れは相手に大きく傾いてしまいます。そして、二つ目はフィニッシュの精度。しっかりとビルドアップして、得点につなげていく。これができれば、チームは一つ上のレベルに上がることができると思います。
——チャナティップ選手ご自身は、昨季4ゴール7アシストと得点に絡むパフォーマンスを披露しました。今年は個人としてどんな目標を持っていますか?
チャナティップ もっとたくさんのチャンスを作り出したいですね。昨季はゴール数こそ2018シーズンよりも減りましたが、アシストを増やすことができたことは良かったと思っています(編集部注:2018シーズンは8ゴール3アシスト)。もちろん、得点も2ケタを狙いたいですが、FW陣にチャンスを供給する存在でありたいと思います。
——チャナティップ選手から見て、今季の札幌で「この選手に注目してほしい!」という選手を3人挙げてもらえますか?
チャナティップ まずは(深井)一希。一希はJリーグでトップクラスの実力の持ち主です。ケガさえなければ、日本代表に入ってもおかしくない選手ですね。そして、福森(晃斗)。後方からのロングフィードやフリーキックの精度は本当にすごいです。彼の攻撃参加は、他クラブから見たら脅威でしょうね。あと一人は……(鈴木)武蔵かな。彼は、ボールコントロールをミスすることはあるけど(笑)、スピードや守備意識の高さが素晴らしい。新しいタイプのFW像を体現していると思います。タイ人のDFは、彼みたいなFWとの対戦を経験したらさらにレベルが上がるんじゃないかな。
——では改めて、今季クラブとして共有している目標と、その達成のためにどんな戦いをして行くか、意気込みを聞かせてください。
チャナティップ ミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)監督が就任して3年目を迎えて、チームは成熟してきています。その完成度をさらに高めて、シーズンを通してハイパフォーマンスを保ちたい。そして、札幌にはACLの舞台で戦える、アジアで勝てるクオリティがあると思っています。今季は、ACL出場権を勝ち取れる自信があります。
——最後に、サッカーキングを読んでいるファンにメッセージをお願いします。
チャナティップ いつも応援してくれて、温かい声援を送ってくれる日本のファン、タイのファンの皆さんに本当に感謝しています。今季はACL出場権、そしてJ1リーグタイトルを目指して懸命に戦って、コンサドーレサポーターに喜んでもらえる結果を必ずつかみたいと思っています。タイで応援してくれている人たちは、最近Jリーグにタイ人プレーヤーが増えてきたので、さらに日本への関心が高まっていると思います。色んなJリーグクラブに興味を持つ人が増えていると思いますが、勝つのは僕たち! 一番応援しなきゃいけないのはコンサドーレですよ!(笑)
ファーストタッチ、そしてフィニッシュ。チャナティップのすべてにマッチする、新スパイク『REBULA CUP』
“一流”と“超一流”の違いを、君は知っているだろうか。一瞬の迷い、ミス、遅れが、試合を左右する。速さ、激しさを増す現代サッカーではなおさらのこと。そう、“超一流”は常に、完璧なファーストタッチから試合を支配するプレーを魅せる。
プレイヤーを“超一流”に引き上げるべく、繊細なボールスキルを可能とする革新的スパイクとして生み出されたのがミズノ『REBULA』シリーズだ。2017年の誕生以来、高い向上心を持ち“超一流”を目指すプレイヤーたちに愛用されてきた。
その『REBULA』が、第4世代へと進化する。7月22日に発売される新スパイク『REBULA CUP』は、中足部のマイクロファイバー人工皮革にミズノの独自技術『FT GRIP』を搭載。驚異的なグリップ力でファーストタッチをサポートする。そのグリップ性能は、多くのプロ選手から絶大な信頼を得ている現・最新モデル『REBULA 3 JAPAN』の約1.3倍に向上しているという。
来日以来、常に『REBULA』シリーズをまとってプレーしてきたチャナティップも、この新兵器で再開するJリーグに挑む。彼と『REBULA』の相思相愛の関係と、新しい『REBULA CUP』の印象を聞いた。
——2017年12月からミズノのスパイクを使用されていますね。ミズノを選んだ経緯は?
チャナティップ 日本に来てから、いろいろなスパイクを試し履きしていました。そのなかで、ミズノの『REBULA』を履いたら、すぐにフィットしたんです。感覚的に軽い感じがするし、天然皮革で柔らかさも感じたので、すごく気に入って。そこから、ずっと『REBULA』シリーズを履いています。
——『REBULA』シリーズはタッチの柔らかさ、ボールコントロール性能の高さが特徴ですが、そういった点がチャナティップ選手にマッチしたのでしょうか。
チャナティップ そうですね。僕のプレースタイルとしては、ファーストタッチでスピードが落ちてしまうような感覚があるシューズは合わないかな、と感じていて。その点では、『REBULA』シリーズは自分の力を100パーセント引き出してくれるシューズだと思います。
——7月4日のJ1再開初戦、横浜FC戦からは、最新モデル『REBULA CUP』を着用されるそうですね。練習ではすでに試しているようですが、感触はいかがですか?
チャナティップ 履いた瞬間、足と一体化する感覚がありました。今まで履いていた『REBULA 3』も十分に軽くて柔らかい履き心地でしたが、『REBULA CUP』の軽さ、柔らかさはさらに進化していますね。僕のように、スピードやアジリティを生かしたプレーをする選手にとっては心強い相棒になるんじゃないかな。
——チャナティップ選手が履く最上位モデル『REBULA CUP JAPAN』は日本製で、ラスト(足型)にはミズノが研究に研究を重ねて開発した『Engineered Fit Last』(エンジニアード フィット ラスト)が採用されています。そのフィッティングの印象はいかがですか?
チャナティップ やっぱり、日本製のクオリティは素晴らしいなと感じます。日本人やタイ人の僕はもちろん、世界中のプレーヤーが「最高だ」と感じる履き心地ですね。見た目の部分でも、日本製の品質の高さというか、高級感がありますよね。見るからに柔らかそうな天然皮革のアッパーもお気に入りです。
——この新しい『REBULA CUP』を、どんな選手に履いてもらいたいですか?
チャナティップ 素早く、攻撃的な選手におすすめですね。本当に自由にプレーできるので、フィニッシュの部分でも一歩早くシュートまで持って行けるはずです。僕から他のプレーヤーにスパイク選びのアドバイスをするとしたら、履き心地に加えて機能面をしっかり理解して、自分のプレースタイルに合うシューズを選ぶべきだと思います。『REBULA CUP』なら今言ったようなスピード系の選手に合うと思いますし、『MORELIA NEO Ⅲ』ならボランチなど、パスに重きをおく選手にマッチすると思います。いろいろなシューズを試してみて、そのなかで『REBULA CUP』を気に入ってくれる選手がたくさんいればうれしいですね。
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