新戦術に挑む清水と組織力を武器にする名古屋が対戦! [写真]=J.LEAGUE
■清水エスパルス 新しいスタイルに取り組み中だが、クラブの誕生日には勝利を!
【プラス材料】
今季は昨季までとは大きく異なるスタイルに取り組んでおり、中断期間にその成熟に時間を費やすことができ、戦術理解度を高められたことはプラス要素だ。細かいポジショニングや守備のディテールなどの目立たない部分も向上し、プレーのクオリティの向上が期待できる。
戦力面では、新10番のFWカルリーニョス・ジュニオがコンディションを上げてきたことが大きい。スピードとパワーに優れ、左サイドから中に切れ込んでのシュートも強烈。ドリブルでもコンビネーションでも崩せるのが強みで、チャンスメイクにもフィニッシュにも期待が持てる選手だ。
また、7月4日はクラブの誕生日。記念日にホームで戦えることは、無観客とはいえモチベーションを高める要素になるだろう。
【マイナス材料】
練習を再開してから負傷者が増えていることが最大のマイナス要素。2月の開幕戦に先発した選手では石毛秀樹が負傷離脱し、GKネト・ヴォルピも別メニュー調整が続いている。ケガからの復帰が期待されていたDFエウシーニョとMFヘナト・アウグストがなかなか実戦復帰できていない点も痛い。
今季はブラジル人選手が6人在籍しているものの、彼らがなかなか揃わないため選手層の面で不安があり、5人の交代枠を十分に生かせない可能性もある。
守備面では、公開された練習試合でも失点が続くなど、自分たちのミスから始まる失点が目立つのも気になるところ。失点の多さは昨季から続いている課題で、そこが十分に改善できているとは言い難い。攻撃面では連係の向上があるだろうが、ラストパスやフィニッシュの質という部分では未知数だ。
文=totoONE編集部
■名古屋グランパス 組織力が武器のチームで準備期間の遅れは気になるところ
【プラス材料】
どのチームにも共通するが、4カ月ぶりの公式戦には未知数な部分が多過ぎる。例年のオフの数倍の期間を実戦抜きで過ごした選手たちは、コンディションこそ整えられても試合勘に個人差やチーム差が出てきてしかるべき。だからこそチームコンセプト、戦術スタイル、哲学の明確さが再開からの数試合を支える拠り所になるだろう。名古屋のプラス面と言えば、そこになるかもしれない。
攻撃面については個々の判断に委ねられる部分も多いが、守備のポジショニングや連係面での約束事、そこからの速い攻撃とボールキープの基本形など、試合を構成する要素はしっかりとした基盤作りが進められている。
FW前田直輝、FWマテウス、MF阿部浩之らの攻撃力を生かすためにも組み立ての確実性は不可欠。そこを見直すことから始めた、今週の準備にも抜かりはない。
【マイナス材料】
チームに新型コロナウイルスの陽性者が出たことによる調整の遅れは、やはり気掛かりではある。再開後の日程が発表されてから、通常は5週間の準備期間が取れるところを、名古屋は実質3週間での準備を強いられた。その間、すべてのトレーニングが止まっていたわけではないが、全体練習が2週間遅れたことは組織力が武器のチームにとっては痛手である。
開幕後に補強したFW金崎夢生は6月30日に全体練習に復帰したばかりで、今節の出場に関しては絶望的だ。GKランゲラックの出場が問題なさそうなのは朗報と言えるが、とにかく練習量が土台となるチームだけに、コンディションにとどまらない“不足感”をどうカバーできるかどうか。20日に公開されたJ3・FC岐阜との練習試合でも感じられた重さを払拭できたか否かで、試合展開の良し悪しが左右されるのは間違いない。
文:今井雄一朗
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