■ヴィッセル神戸 好材料ばかりだが、連係面には不安も残る
【プラス材料】
プラス材料は3つ。まずはDF酒井高徳が新型コロナウイルスの感染から回復したこと。リーダーシップも含め、チームへの貢献度が高い酒井の復帰は大きい。
2つ目は選手層に厚みが増した点。自粛期間明けの全体練習をとおして、トルステン・フィンク監督は1、2選手の印象が変わったと話した。「(自粛前は)神戸を出たほうがいいと思っていた選手が、最近の全体練習で私に良い印象を与えてくれている」。名前を挙げることはなかったが、少なくとも彼の構想内の手駒は増えた。過密日程のことを考えると、大きな収穫と言える。
3つ目はMFアンドレス・イニエスタの存在。3、4人に囲まれてもボールロストしない彼の技術は、コンビネーション不足が予想される再開初戦では大きな武器になるだろう。
【マイナス材料】
マイナス材料も3つ。1つ目は選手たちの体力面の不安。準備期間は約1カ月、練習試合は2回という中で、どこまで体力が戻っているかが心配される。
2つ目はコンビネーション面。サンフレッチェ広島が5月末に全体練習を再開したのに対して、ヴィッセル神戸は6月に入ってから。両チームとも昨季のメンバーが主体とはいえ、微妙なタイミングのすり合わせなどに関しては広島に一日の長があるかもしれない。
3つ目はMFセルジ・サンペールの試合勘。開幕戦はアンカーで先発出場したものの、前半はなかなか機能せず。結果的にチームはスロースタートとなった。AFCチャンピオンズリーグ登録外により公式戦4試合中2試合のみの出場となったことが響いたか。彼の試合勘がどこまで戻っているかは、今節のポイントになりそうだ。
文=totoONE編集部
■サンフレッチェ広島 ケガもなく高いモチベーションで挑む
【プラス材料】
開幕戦で鹿島アントラーズに3-0と完勝していただけに、そのままシーズンを続けたかったところではある。ただ、チームの全体トレーニングを5月25日に再開するなど、比較的早い段階でリーグ戦再開に向けて舵を切れたことはポジティブだ。
コンディションは選手個々でバラつきがあったものの、約6週間の準備期間の中での調整がうまく進み、全員ケガなくゲームに臨める状況にある。
特に開幕戦に先発できなかった選手たちのモチベーションは高く、ガイナーレ鳥取とのトレーニングマッチではFW永井龍がハットトリックを達成。ファジアーノ岡山との練習試合ではMF東俊希が2得点を記録し、MF浅野雄也やMFエゼキエウ、MF柴﨑晃誠、MF野津田岳人も好調な仕上がりを見せている。交代枠5人の有効活用を考えても、彼らの充実ぶりは頼もしいかぎりだ。
【マイナス材料】
大きなケガ人もなく、この中断期間を利用して新加入選手たちの戦術理解が進んだこともあり、大きなマイナスポイントは今のところない。ただ、昨季の神戸戦に連勝したことによって生まれやすい「神戸、与しやすし」という慢心は絶対に禁物だ。
確かに昨季の2試合で10得点とゴールは取れている。しかし、どちらの試合でも2点ずつ失っており、その4失点中3失点にMFアンドレス・イニエスタが絡んでいることを忘れてはならない。彼との初対戦となった2018年のアウェイゲームでは強烈なゴールを許していて、これまでの3試合で1ゴール・3アシスト。稀代の名手との相性は最悪と言っていい。
かつて広島をリーグ優勝に導いたFWドウグラスも加入するなど、リーグ屈指の破壊力を持つ神戸に対しては一瞬の油断も許されない。
文:紫熊倶楽部 中野和也