西澤健太は先発で88分までプレー。全4点に絡んで初勝利に貢献した [写真]=Getty Images
「健太のボール、メッチャ良いね。スピードもコースもすごく良い」。記者席の後方で試合を見守るチームメイトの口から、思わず声が漏れた。
26日に行われた明治安田生命J1リーグ第7節、清水エスパルスは大分トリニータを4-2で下し、待望の今シーズン初白星を獲得した。その4得点すべてがセットプレーから生まれ、いずれも西澤健太がキッカーを務めた。
4得点中、3得点は西澤のキックがそのままアシストとなった。41分にファン・ソッコ、70分に立田悠悟、84分にヴァウドがいずれもヘディングで合わせてゴールをマーク。57分には、「前節も同じ形で点を取れているので、狙っていた」と練習から仕込んでいたCKをファーサイドでヘナト・アウグストが折り返し、最後はカルリーニョス・ジュニオが左足で押し込んだ。
西澤は清水のアカデミー出身で、筑波大学を経て“出戻り”を果たした昨シーズンは、ルーキーイヤーながらチーム内2位のリーグ戦7得点を記録。攻撃陣の主力に成長を遂げた。しかし、ピーター・クラモフスキー監督が就任した今シーズン、前線の選手起用は流動的で、大分戦で先発出場したC・ジュニオ、金子翔太、後藤優介のほか、サブメンバーだったティーラシン・デーンダー、鈴木唯人、中村慶太、さらにはメンバー外の選手も含め、ポジション争いは熾烈を極めている。指揮官は「選手のコンディションと相手チームの特徴を見ながら、毎試合ベストな組み合わせを考えたい」と語っているが、初勝利に貢献した西澤の高精度なキックは、替えの利かない大きな魅力に映ったことだろう。
西澤はセットプレーについて「武器として確立したい」と手応えをつかみつつある一方で、チームが直面する課題からも目を逸らしてはいない。
「セットプレーで点が取れたのはうれしいですけど、やっぱりチームが狙っている形は流れの中での得点なので、ラストパスの精度のところはまだまだ改善しなければいけない。どんどんバリエーションを広げて、流れの中からも点を取れるようにしたい」
クラブワーストタイ記録となる開幕6戦未勝利を経て、ようやく手にした白星は“自信”という勝ち点3以上の価値をもたらしたはず。輝きを放つ西澤の右足が、最下位からの巻き返しを図るチームのカギを握る。
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By 平柳麻衣