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酷暑の連戦でもスタイルの維持にこだわった清水、理想は「誰が出ても同じサッカー」

2020.08.23

清水エスパルスは横浜FCに2-3で敗れた [写真]=Jリーグ

 勝ち点を獲得することだけに徹すれば、もっと違う戦い方をしていたかもしれない。22日に行われた明治安田生命J1リーグ第12節、清水エスパルス横浜FCに2-3で敗れた。今シーズンのリーグ戦では初めてとなる中2日での連戦。2戦ともホームゲームだったとはいえ、3連戦の3試合目、それも3日前に昨シーズンの王者、横浜F・マリノスと激戦を繰り広げた直後とあって、疲労の蓄積は明らかだった。

「前線からプレスにいくのか、少し(自陣に)引き込むのか。前から行くというコンセプトでいったが、横浜FCのボランチ2枚のところで上手く回され、後手に回ってしまった」

 そう振り返ったのは、44分に一時同点に持ち込むゴールを決めた金子翔太だ。前節からの先発メンバーの入れ替えは、右サイドバックを奥井諒から金井貢史に替えた1枚のみ。勝ち点を得ることだけを考えれば、自陣に引いてできるだけ体力を消耗しない戦い方を選択することもできたはずだ。しかし、積み上げてきたものを崩してしまっては、本気でチーム改革に乗り出した意味がない。開始5分に左サイドバックのファン・ソッコがペナルティエリア内まで攻め上がったように、清水は果敢にも“いつもどおり”のアグレッシブなスタイルを披露しようと試みた。

 結果的には、コンディション不良と準備不足により、「(プレスに行くのが)どうしても前半は1回で終わってしまったり、バラバラのタイミングでいくことが多かった」(竹内涼)と連動性を欠いて失点を重ねたが、横浜FM(3-4で敗戦)との真っ向勝負でつかんだ手応えがあったからこそ、ここでもうひと踏ん張りし、“自分たちのスタイル”で結果を残すことにこだわろうとした。「相手に合わせるのではなく、常に自分たちからアクションを起こしていく」とは、竹内がシーズン当初から一貫して発し続けている言葉だ。実際、2点ビハインドとなった後は盛り返し、終了間際に竹内のゴールで1点差まで詰め寄った。

 クラブのJ1通算400勝達成にリーチをかけて以降、3戦勝ちなし(1分2敗)と足踏み状態が続いている要因は様々あるが、その一つが選手層の問題だ。特に直近3連戦の中で指揮官にターンオーバーを選択させることができなかった選手にとっては、奮起する新たなきっかけとなったことだろう。実際、今節で途中出場した鈴木唯人ジュニオール・ドゥトラらは気を吐き、前への推進力を発揮して流れを引き寄せた。

 主力の顔触れがある程度固まっても、同じ11人でシーズンを戦い抜くことは不可能だ。次節に向けては中6日の準備期間があるものの、コロナ禍で日程が大幅に変更された今シーズンは、9月以降も過密日程が組まれている。理想は「誰が出ても、どんな状況でも同じエスパルスのサッカーをしっかりとすること」(ピーター・クラモフスキー監督)。一朝一夕にはいかないチームづくりはまだまだ道半ばだ。

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By 平柳麻衣

静岡を拠点に活動するフリーライター。清水エスパルスを中心に、高校・大学サッカーまで幅広く取材。

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