[写真]=Noriko NAGANO、兼子愼一郎
■サンフレッチェ広島 原点回帰で堅守復活へ。守備の立て直しが勝利への最短距離
【プラス材料】
敗れたとはいえ、前節のガンバ大阪戦の内容は「下を向く必要は全くない」と城福浩監督が語り、FWドウグラス・ヴィエイラも「試合内容は本当によかった」と振り返るほど、サンフレッチェ広島のやりたいことができたゲームだった。
前半から決定的なチャンスを何度も創出し、後半にはFWレアンドロ・ペレイラが追撃の得点をゲット。特に彼のゴールをアシストしたMF柏好文のクロスは抜群の精度だった。これで彼は3試合連続アシスト、5試合で4アシストと調子をグンと上げてきている。昨季のようなカットインからのゴールはないものの、タイミングの良いクロスや裏へのアイデアに満ちたスルーパスなど、チャンスメイクで大きく貢献している。
【マイナス材料】
内容は良かったとはいえ、前節のG大阪戦に敗戦したことは事実。第10節の浦和レッズ戦もそうだったが、勝利するべき内容の試合で勝ちきれないのは、必ず要因がある。
特に問題は守備だ。第18節の大分トリニータ戦こそ相手を完璧に抑え込み無失点で乗りきったが、G大阪戦では2失点。しかも短い時間で連続失点する悪癖が、第11節のFC東京戦、第16節の川崎フロンターレ戦と続いて露呈してしまった。守備を大きく崩されたわけではないが、クリアミスや拙いボールの失い方など、自分たちでピンチを招き、ゴールネットを揺らされてしまっている。
「神は細部に宿る」という言葉があるように、守備は細かなところを丁寧にやり続けて初めて“無失点”という結果が生まれる。それができていたのが広島の堅守。もう一度、そこを思い出したい。
文:紫熊倶楽部 中野和也
■サガン鳥栖 過密日程の中、若さと勢いでどこまで結果を残せるか
【プラス材料】
17試合を終えて20得点のサガン鳥栖。主な得点者は5得点のFW林大地、3得点のFW石井快征、MF原川力、DF森下龍矢の3人と、バラエティに富んでいる。彼らだけで今季の得点の7割を挙げていることになる。しかも、ここ数年に加入した選手たちだ。若さと勢い、そして今後の成長が期待できる。
彼らを起用する金明輝監督は、水曜日の第25節・横浜F・マリノス戦の試合後に「中2日という状況となり、個々の能力の差があった中で選手たちがグループでしっかりと戦ってくれた」と成長を素直に喜んだ。
試合数の関係で下位に沈んでいるが、中位に位置する力はある。若さゆえの失点も見受けられるが、それだけ経験を積んでいるということで、残り試合ではしっかりと勝ち点を上積みするに違いない。若さと勢いが、鳥栖のプラス材料と言える。
【マイナス材料】
試合間隔の短さゆえに、ベストな布陣は組みにくいのは理解できる。「ほぼ本職でない選手をセンターバックに並べている時点で、僕たちにとって難しいゲームになる」と、金監督は第25節・横浜FM戦のメンバー選考の苦しさを口にした。
引き分けたとはいえ、前の試合の相手はリーグ2位の得点力を持つ横浜FMだったことを考えると、好結果とも言えなくはない。その苦悩はこれからも続くだろうが、「それは彼らができると判断したから」と指揮官は自信を持って送り出している。
経験さえ積めば伸びしろが大きい若手だけに、横浜FM戦で得た自信を今節のサンフレッチェ広島戦でも見せてくれるだろう。若さゆえのバイタリティと脆さを兼ね備えているのが今の鳥栖だ。
文:totoONE編集部