[写真]=清原茂樹
■清水エスパルス 今季開幕から得点が続くホームで流れを変えられるか
【プラス材料】
3連敗中で試合内容もあまりよくないため、プラス材料は少ない。
その中でも前節・大分トリニータ戦のFWジュニオール・ドゥトラのゴールは、DFエウシーニョ→FWカルリーニョス・ジュニオとブラジル人選手3人の綺麗なコンビネーションから生まれたもので、好材料のひとつ。1試合平均失点1.16点(リーグ3位)というサンフレッチェ広島の堅守を崩すには、同シーンのようにワンタッチパスを入れてスピードアップするなどの工夫が必要になるので、そこは今節も期待が持てる要素と言える。
広島との前回対戦ではセットプレーからC・ジュニオが1点決めており、今節も空中戦の強い選手たちが出場できそうなので、得点につながる可能性は大いにある。今季はホームゲームで無得点の試合がないため、1週間のインターバルで守備を修正し、失点をなくすことができれば連敗ストップも期待できる。
【マイナス材料】
前節・大分戦に敗れて今季3度目の3連敗を喫し、後半戦はいまだ全敗。システムを3バックに変えて一時は良い感触も得ていたが、大分戦ではサイドの裏を何度も突かれて守備の穴を露呈してしまい、2点ともそこから奪われた。広島は大分と同様のシステムで、清水エスパルスがまた同じ形で臨んだ場合は、当然ながら大分の攻め方を参考にするだろう。
戦力面では、攻撃に変化や鋭さを加えられる貴重な存在のMF中村慶太が警告累積で出場停止。広島の人数をかけた厚い守りを崩すという意味では、彼の不在もマイナス材料となる。
今の清水は、自分たちのやり方を貫くという姿勢を一歩後退させ、以前よりも現実路線を取り入れているが、それでも結果が出ないことによってチーム内の信念が揺らいでくる恐れがある。長い目で見れば、それが最も懸念される部分だ。
文:totoONE編集部
■サンフレッチェ広島 激しいポジション争いを繰り広げる前線の活躍に期待
【プラス材料】
前節のサガン鳥栖戦では見事なハイプレス戦術を敢行し、狙いとする相手陣内でのサッカーをやり遂げたサンフレッチェ広島。3-0という結果もさることながら、その圧倒的な内容がこれから先の広島が目指す方向性を指し示した。
大きかったのは、そのサッカーが日本人選手だけで成し遂げられたということ。特にFW永井龍の活躍は、FWレアンドロ・ペレイラやFWドウグラス・ヴィエイラたちブラジル人選手に大きな刺激を与えた。実際、今節の清水エスパルス戦に向けての紅白戦では、彼らが激しくプレッシャーを仕掛けて圧力をかけ、周囲の選手たちからの喝采も浴びた。特に前線で繰り広げられる熱いポジション争いの中でチームのレベルが上がっている実感も手応えも、確かにある。
【マイナス材料】
第18節の大分トリニータ戦、前節の鳥栖戦とハイプレス戦術が機能して勝利したが、その間に行われた第19節のガンバ大阪戦はハイプレスをかいくぐられ、カウンターから2失点。ハイプレスをかわされた時にどうやって守備を構築するか、そこは大きな課題となる。実際、トレーニングでも「どこに戻る。どこで守備する」という城福浩監督の声が飛び、修正している。ただ、課題の修正は最終的には実戦だ。短い時間での連続失点の癖も含め、試合の中で良い形を継続できるかどうか。
今季は好調で終えた後に難しい状況が生まれている。若い選手たちが中心となるだけに無理もないが、好不調の波を小さくして初めて、大型連勝も可能になってくるはずだ。そのためには、今取り組んでいるハイプレスを、自分たちの形に完璧に染み込ませることだ。
文:紫熊倶楽部 中野和也