『FIFA 21』でガチンコ対決に挑んだ神戸の飯倉大樹、西大伍、酒井高徳、山口蛍(左から)[写真]=吉田孝光
世界中で楽しまれているサッカーゲーム『FIFA』シリーズ。10月に発売されたばかりの最新作『FIFA 21』で、ヴィッセル神戸の選手たちが対戦に挑戦した。
『FIFA 21』には17,000人以上の選手に700以上のチーム、90以上のスタジアム、30以上のリーグが収録され、明治安田生命J1リーグのチームと選手たちも実名で登場。世界最高峰の大会やリーグをプレイできるほか、最新作ではオンザボール、オフザボール時にプレイヤーのクリエイティビティが試される新システムが備わり、今まで以上にリアルかつ多彩なプレイを楽しめるようになっている。
今回、『FIFA 21』での勝負に臨んだのは、MF山口蛍、DF西大伍、DF酒井高徳、GK飯倉大樹の4人。練習の都合により少し遅れて合流した飯倉を除く3人は先にお試しでプレイ。その後、「俺も練習させてよ」(飯倉)という言葉をよそに本番に突入したのだが、これがある出来事を起こすことになる。
選手が実名で登場するため、自身を操れるのも魅力の一つではあるものの、「俺、自分に何か言うのは嫌だから」(飯倉)という理由からGKを前川黛也に変更し、システムは4-3-3を選択した西&飯倉、ともに自らを先発起用し4-2-3-1の布陣を選んだ酒井&山口の組み合わせで第1戦がスタートした。
小気味良くパスをつないで攻める酒井&山口に対し、西&飯倉は事前に操作方法を確認していたにもかかわらず、飯倉が左スティックではなく十字キーで選手を動かそうとする天然ぶりを発揮。「動かない!」と騒いでいる間に酒井の操るFWドウグラスにシュートを打たれるが、これはポスト直撃となりピンチを免れる。その後、西に「こっちだから!」と教えてもらうとすぐにコツをつかみ、細かくコミュニケーションを取りながら盛り返すと、何と先に点を奪う。21分、相手のディフェンスをかわしながらテンポ良くパスをつなぎ、最後は西の操るFWドウグラスのループシュートでゴール。これには、相手からも「めちゃめちゃうまい!」(酒井)と称賛の言葉も。
「うちは完璧な試合運びだね」(西)という前半を終え、「ポジションを守って守備をしたいな」(酒井)と入った後半。ともに決定的なチャンスを作り出す中、73分、ボール奪取からパスワークで崩した西&飯倉が追加点をマーク。その直後、酒井&山口もリズムを取り戻しゴールに迫るが、得点を挙げることはできず、2-0で西&飯倉が勝利した。
2戦目は「海外リーグをプレイしてみたい!」という要望を受け、舞台をプレミアリーグに移してのリベンジマッチへ。勝利を目指す山口&酒井はリヴァプールを選択し、先発には山口のセレッソ大阪時代の後輩、南野拓実を起用。連勝を狙う西&飯倉はマンチェスター・Cで挑んだ。
選手の能力値を見て、「さっきと全然スピード感が違うんじゃない?」(西)と言っていたとおり、実際にゲームが始まると、「速っ!(動きが)キュンキュンだよ!」(酒井)と1試合目との違いに驚いていた4人。よりスピード感のある試合運びになり、どちらが先に点を奪ってもおかしくない展開に。そんな緊迫した試合を動かしたのは、酒井&山口だった。31分、相手の決定機を防ぐと、素早くパスをつなぎ一気にゴール前へ。2度シュートを阻まれたが、最後は山口の操作するFWモハメド・サラーがこぼれ球を押し込み先制する。しかし、リードは続かず、中盤のボール奪取から42分に西がMFケヴィン・デ・ブライネでゴール。同点に追いつく。
1-1で迎えた後半も拮抗した展開は変わらず、50分に「ハイプレスからミスを誘った」(酒井)ことで酒井&山口が再び先にゴールネットを揺らすと、西&飯倉も負けじと66分、「こっちに来てこうだろう」(飯倉)とGKのパスコースを読んでのインターセプトから再び試合を振り出しに戻す。結局、白熱の試合は前後半では決着がつかず、勝負はPK戦へ。シュートコースを読まれないようにカーソルをオフにして挑んだ結果、今年のFUJI XEROX SUPER CUP 2020を彷彿させるような展開になり、最終的には最後のPKを止めた酒井&山口が2-1で勝利。決定率は高くはなかったが大いに盛り上がり、「いや~楽しかった」(飯倉)、「面白かった」(酒井)と笑顔を見せていた。
ゲーム中、各選手の顔を見て「似てる!」、モーションについても「こういう動きする!」と言っていたように、「グラフィックがリアルで、昔のゲームと比べてプレーも繊細になっている感じをすごく受けました」(飯倉)、「選手の動きなども本当にその人の動き方を表現している感じがするので、より実戦に近い感じはします」(酒井)。また、スタジアムの雰囲気についても、「すごく映像がきれいだったので、スタジアムの雰囲気も本物さながらでいい感じでした」(山口)と、リアル感に満足していた様子。
思わず口が半開きになりながら黙々とプレイしてしまう時間もあったほど、熱中した今回の対戦。勝負は引き分けに終わったが、「ゲーム自体は久しぶりだったんですけど、小さい時にやっていたのを思い出しました。楽しかったです」(西)、楽しさのあまりボソッと「俺、プレステ買おうかな」(飯倉)と呟くほど、『FIFA 21』を満喫した4選手だった。
文=金子裕希