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【J1展望】芳しくない下馬評をいかに覆すか…12人の新加入選手を迎え、チーム内競争は激化|湘南

2021.02.22

昨季、リーグ戦で最下位に終わった雪辱を果たしたい [写真]=Getty Images

 開幕前の評価は芳しくない。昨シーズン、湘南ベルマーレはリーグ戦を最下位でフィニッシュしたのだからやむを得ないだろう。裏を返せば、下馬評をいかに覆すかが今シーズンの見どころだ。

「一番の課題」と浮嶋敏監督が指摘するとおり、チームに最も求められているのは昨シーズンのリーグで最少に終わった得点力の向上だ。そのための取り組みは、始動から沖縄キャンプを含めて粛々と行なわれている。

 得点力不足の克服に向け、特に意識されているのがセットプレーとカウンターだ。指揮官は言う。

「昨年、特にシーズン序盤はセットプレーの得点が少なかった。今年はオープンプレーだけでなくセットプレーも大事になると思っています。また昨シーズンは、遅攻による得点は多かったものの、いいボールの取り方をしてカウンターでゴールを奪うベルマーレらしい形は少なかった。そこをより上積みすることも大事です」

 新陳代謝の活発なチームにあって、今シーズンはプロ1年目のルーキーから経験豊富なベテランまで12人の仲間が新たに加わった。多彩な顔触れのなかには、山本脩斗やウェリントンら空中戦に優れる選手もいれば、中村駿のように精度の高いプレースキックを備える選手もいる。もちろん、昨シーズン見出した課題の克服のみならず、多くの得点を生み出した遅攻も含めて、攻撃の幅広いバリエーションと得点力の向上が期待される。

 一方、守備に目を向けると、昨シーズンは戦術や基準の共有に時間を要し、シーズン序盤は複数失点を喫するゲームが少なくなかった。この経験を踏まえ、今シーズンは各ポジションにリーダーを置き、戦術の早期の共有を目論む。

「去年は、チームとして一定のところまで仕上げるのに時間がかかってしまいました」と、浮嶋監督は振り返る。

「当然キャンプ等で落とし込みはしていますが、実際にゲームが始まって問題が起こった時にうまく修正するためのチームとしての共有が薄かった。時間の少ないなか、リーダーという形で早くチームとして共有を図りたいと思っています。既存のメンバーも含めてみんながしっかり戦術を共有できるように、またオフ・ザ・ピッチで新加入選手が早く馴染めるように、役割を与えてお互いにコミュニケーションをとるスタイルの方がいいと考えました」

 キャンプを終えて湘南に帰ってからも、チームは活気に満ちたトレーニングを重ねている。今シーズンも複数のポジションを担えるメンバーが多く、様々な組み合わせが試されており、開幕スタメンがまったく読めないほどに競争は激しい。厳しい評価に晒されるなか、互いに切磋琢磨し、チーム力を高めて、下馬評を軽やかに飛び越えたい。

【KEY PLAYER】29 三幸秀稔

中盤のリーダーに指名された、加入2年目の三幸(右) [写真]=SHONAN BELLMARE

 前述のとおり、チームの戦術や基準の共有を速やかに行うべく、今シーズンは各ポジションにリーダーを置いている。中盤のリーダーの一人が、加入2年目を迎える三幸秀稔だ。三幸は、自身の役割を以下のように語る。

「湘南は、守備やシステムが特徴的。どこにアプローチをかけるのか、どこまで行くのか、中盤の選手は動く範囲も広い。個々に話したり、3,4人のグループで共有したりしています」

 三幸自身、加入1年目の昨シーズンはチームの基準と自身の感覚を合わせるのに苦心した。だからこそ伝えられることは多かろう。そして課題と向き合い続けたその歩みは、三幸にとっても今シーズンの糧となっている。

「去年湘南でサッカーをやらせてもらい、1年間をとおして積み上げてきたことが今は自信になっています。自分の成長を感じられますし、コンディションもいい」

 得点力の向上を期するチームにあって、期待されるのが攻撃面の特長だ。「他の選手にないところを見せていきたい」と、三幸は言う。

「決定機をつくったり、ボールを奪って攻撃に繋げたり、練習でも練習試合でも自分のストロングを出す場面は少しずつ増えてきた。うちには走力のあるウイングバックも多いので、選手の特長を活かしつつ、攻撃パターンや得点に繋げたいですね」

 リーダーとして仲間に寄り添い、チームのために献身する。何より、今シーズンはピッチの上でその才を余さず解き放ちたい。「試合により多く出て、結果を求めていきたい」。勝利に貢献する準備はできている。

文=隈元大吾

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