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全タイトル制覇へ…名実ともに“川崎の顔”としてチームを統率する小林悠

2021.02.22

ゼロックス杯で決勝ゴールを挙げた小林悠 [写真]=兼子愼一郎

 2020年2冠の川崎フロンターレが前半から2点をリードしながら、ガンバ大阪が凄まじい追い上げで同点に追いつく。延長戦突入が確実視された20日の富士ゼロックススーパーカップで勝負を決めたのは、72分からピッチに立った33歳のベテランFW小林悠だった。

 相手FKをGKチョン・ソンリョンがキャッチしたところからすべてが始まった。谷口彰悟から田中碧、そして遠野大弥へとつないで最後は背番号11が決めるという形は、2018年ロシアワールドカップでベルギーが日本相手に見せた高速カウンターと酷似していた。まさに「ロストフの悲劇」を彷彿させる決勝弾で、川崎は2021年初タイトルを獲得したのだ。

「『こういう試合を決めてヒーローになるのは自分だな』と思ってピッチに入りました。碧が持った時点で首を振ってどこに相手DFがいるのか、スペースがあるのかは確認していたし、大弥が受けた時は相手より早く動き出せていた。あとは思い切ってコースに打った感じです。シーズンの始まりでいいリスタートを切りたかったので、しっかり勝ち切れたことはよかったかなと思います」と殊勲の男は満面の笑みを浮かべた。

 昨季は圧倒的な強さを見せた川崎だが、「チームの顔」とも言える中村憲剛が引退。アンカーとして安定感を見せた守田英正もポルトガル1部・サンタクララに移籍したこともあり、チームがどんな変貌を遂げるかは大きな注目点と言っていい。

 この日はジョアン・シミッチが守田の穴埋め役として存在感を発揮し、遠野や橘田健人、塚川孝輝ら新戦力も持ち味を見せたが、G大阪に立て続けに2点を奪われた後半は少なからず混乱も生じた。

 大島僚太がケガで欠場し、脇坂泰斗が下がった影響も大きかったが、「中村憲剛がいれば、修羅場に陥ったチームを確実に統率し、立ち直らせていたのではないか」といった感想を抱いた人も少なくなかっただろう。

「憲剛さんの存在はチームにとって大きかったですし、いなくなるのは僕自身もすごく寂しかった。でももう、そういうことは言っていられない。新しい選手と新しいチームで前を向いているので、憲剛さんにまたいい報告ができるようにしないといけない」とプロ12年目を迎える小林悠は改めて強調する。

 自らがリーダーシップをより発揮していくべきだという自覚を彼は強めている様子だ。

「今週の練習や紅白戦で新加入選手と一緒にやる中でも、フロンターレが目指すところだったり、僕らFW陣がほしいタイミングだったりを伝えて、意思疎通を図っています。憲剛さんはそういう役割を担っていた部分は大きかったし、僕もそういう立ち位置に来ている。チームがよくなるために若手や新加入選手の間にうまく入ってあげられればと思います」と、いざという時に影響力を及ぼせる存在になろうと改めて誓っていた。

 そのためにも、ピッチ内での結果は欠かせない。2020年はJ1・14ゴールと5年連続の2ケタ得点をマークし、今季は「再び得点王を狙う」と宣言する小林だが、チーム内の競争は厳しい。昨季も出場27試合のうちスタメンは13試合。ジョーカー起用が多い中、得点ランキング4位という数字を残しているのは傑出した決定力を備えている証明だが、レアンドロ・ダミアンにファーストチョイスの座を奪われた状態のままでは、2017年JリーグMVPのプライドが許さないだろう。

 コロナ禍に陥った1年前のJ1開幕・サガン鳥栖戦もベンチスタート。川崎加入11年目でルーキーイヤーを除いて初めての先発落ちを強いられ、負けじ魂に火がついた。

「練習から結果を出さないと試合に出られないと思うし、そこは若い時の感覚に戻った感じです。『安泰ではない』という中でやれることが楽しみでもある」と本人は努めて前向きに語ったが、悔しさと闘争心、向上心がリーグ再開後のゴール量産につながった。今季もダミアン、知念慶とのFW争いは決して楽ではないが、切磋琢磨しながらハイレベルの結果を追い求めていく構えだ。

「オニさん(鬼木達監督)も言ってましたけど、11人で勝てることはほぼないと。今回も僕が途中出場してたまたま決めましたけど、誰もがスタメンで出たいという気持ちはある。ダミアンや知念のこともリスペクトしてますし、誰が出てもチームの力になれるように一人ひとりがしっかりやるだけかなと思います」

 背番号11が言うように、FW陣が揃って得点源になり、J1とAFCチャンピオンズリーグの過密日程を乗り越え、全タイトルを手にするのが川崎にとっての理想だ。

 今季J1は降格4チームという過去にないレギュレーション。昨季は川崎相手に真っ向勝負を仕掛けてきた下位チームも、今年は徹底的に守り倒すという戦い方で来るはずだ。そうなった時、2020年のような破壊力抜群の攻撃を見せられるのか。ゴールを量産できるのか。カギを握るのはやはり小林悠だ。

 名実ともに「中村憲剛が去った後のフロンターレの顔」となるべく、傑出した点取屋の“本気”を見せてほしい。

文=元川悦子

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By 元川悦子

94年からサッカーを取材し続けるアグレッシブなサッカーライター。W杯は94年アメリカ大会から毎大会取材しており、普段はJリーグ、日本代表などを精力的に取材。

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