ともに『ボディメンテ』の愛飲家である家長昭博と清武弘嗣が、“コンディショニング”をテーマにトークを繰り広げる。
前編のテーマは「“海外”を経験したからこそ知る自分のカラダ」。家長はスペインと韓国、清武はドイツとスペインを渡り歩いて得た経験から、日本とは大きく環境が異なる海外で最高のコンディションを作り、それを維持することの難しさについて聞いた。
後編はこちらから
インタビュー・文=細江克弥
◆“自分にとってのベスト”を探す(家長)
——自身の身体の変化やコンディショニングの違いについて、「海外でプレーしたからこそ」というテーマでお聞きします。家長選手は2011年にスペインのマジョルカ、清武選手は翌2012年にドイツのニュルンベルクに加入しましたが、向こうに行ってまず最初に感じた「違い」は何ですか?
家長 やっぱり、まずは食事です。向こうのほうが塩分が多くて味付けが濃いので、僕の場合はすぐに体重が増えてしまいました。もちろん、サッカーの質もまるで違って、トレーニングでもフィジカルコンタクトが多くてグラウンドも重たい。そうなると、筋肉量も一気に増えてしまうんです。僕の場合、当時はそういう環境の変化に敏感に反応して工夫することができなかったので、慣れるのにすごく時間がかかりました。
——事前のイメージよりも、ずっと大きな違いがあった。
家長 ありました。“違い”については何となく耳にしていたけれど、実際に行ってみて「こんなに違うんだ」と。それによる身体の変化が大きかったので、パフォーマンスとしてはかなり落ちたと感じていました。
清武 僕はほとんど情報を入れずにドイツに行ったんですけれど、ドイツってみんな身体がデカいじゃないですか。1年目は身体が小さい自分の特徴が相手に知られていなかったので、そこそこうまくやれた感覚があって「順調なスタートを切れた」という手応えがありました。でも、2年目からは相手に研究されて、フィジカルコンタクトで潰されることが増えて、それで「当たり負けしない身体を」と考えるようになったんです。奥さんにお願いして、食べる量を増やして意図的に身体を大きくしたんですけど、それがちょっとうまくいかなくて。
家長 どのくらい増やしたの?
清武 日本にいた頃より4キロくらい。筋トレをめちゃくちゃやらせる監督が率いていた時期も重なって、一気に増えたんですよ。そうしたらもう、身体がぜんぜん動かなかった。そのタイミングで気づきました。日本人には日本人の“ベスト”があって、デカい選手ばかりがいるドイツでプレーしているからといってそれに合わせる必要はない。俊敏に動ける身体を維持するほうが、自分のプレースタイルに合っていると。
家長 俺もそう。環境の変化の中で、自分にとってベストの体重、ベストの状態を作るためにはどすればいいかと考えるんだよね。日本と海外では、まったく環境が違うってことだと思うけど。
——海外で戦うことの大変さや難しさは、そういうところにもありますよね。プレーする国が変わればもちろん、チームや監督が変わるだけで求められる能力やプレースタイルが大きく変わる。
家長 そうですね。監督が変わればサッカーが変わるし、ポジションが変われば見える景色も違う。プロのレベルでやっているとその“わずか”がすごく大きくて、例えば、体重が1キロ減るだけでも身体の感覚が大きく変わるんです。そうやって、いろいろな変化に自分のフィジカル能力やコンディションをアジャストしなきゃいけないところはやっぱり難しい。
◆スペインでは通用しなかった(清武)
——家長選手は2012年に韓国へ、清武選手は2016年にスペインへ渡っています。“海外”といっても国やリーグによって環境は大きく異なるので、そう考えると、ベストなコンディションを維持するのはかなり難しいのでは?
家長 そうですね。その3カ国なら、特にドイツは違うんじゃないかな。僕自身はドイツでプレーしたことはないですけど、中継を観る限りめちゃくちゃ身体が大きい選手ばかりで、でもスピードもあってプレッシングが激しい。それと比べれば、スペインや韓国はまだ日本に近いと思います。ただ、スペインのプレー強度は日本と比較してかなり高いし、韓国の“激しさ”もすごかった。
清武 確かに、ドイツはぜんぜん違うかもしれません。家長くんが言うようにデカくて強い上に、速くてうまい。ただ、さっきも言ったとおり日本人らしい俊敏性を生かせれば、十分に通用すると僕は思いました。ドイツの守備は一発で飛び込んでくるので、それをうまくかわせればボールを運べるんですよ。でも、スペインではそれが通用しなかった。だからすごく悩みました。
家長 俺にとってもスペインは難しかった。プレッシャーの強度が日本とはぜんぜん違うから余裕がまったく持てなくて。スペインでプレーしている選手は一人ひとりのサッカーに対する理解度の高さ、勝つために何をすればいいかのアイデアと判断力が本当にすごかった。それぞれ“サッカーの国”で生きてきた“大人の選手”が多いというか、そういう意味でレベルが高い。
清武 わかります。僕はスペインに行って初めて体感した“ポジショナルプレー”にすごく戸惑ったし、正直なところチームメイトのレベルが高すぎて「なんでできないの?」という雰囲気をいつも感じていました。一つのトラップにしても、一つのパスにしても、日々の練習で感じるあのプレッシャーは本当にすごかったです。半年間ずっと葛藤していましたし、コンディションを維持するのも難しかった。
——身体の作り方やコンディショニングの話は、選手同士でよく共有するものですか?
家長 いや、僕自身はそういう話を誰かとすることはほとんどなかったですね。キヨは?
清武 僕もほどんどしません。やっぱり、身体の特徴とかプレースタイルがそれぞれ違うじゃないですか。家長くんならもともと身体の軸が強いから、わざと相手に身体をぶつけるプレーがうまかったり。そういうのを見て「俺も軸がほしいな」と思うので、自分なりのやり方でトライしてみたりしますけどね。。でも、家長くんに「どういうトレーニングをしていますか?」とは聞いたことがないので。
家長 確かに。やっぱり、特徴がぜんぜん違うからね。向こうに行って、俺は無意識のうちに体重が増えてしまった。キヨは意識的に体重を増やしてそれがうまくいかなかった。でも、逆にそれによってうまくいく選手もいるはずだから。だから、現地に合わせるとか、日本人らしくとか、どちらかに極端に寄せて考える必要はないと思う。自分にとっての“いい塩梅”を見つけることが大事だと思うし、そういうバランスをうまく取り続けられることが一番理想的かなと思いますね。
◆海外挑戦で「世界は広い」を体感した(家長)
——改めて、コンディショニングの観点から「海外で通用するために必要なこと」を教えてください。
家長 その環境に徐々に適応しながら、少しずつパワーアップさせていく感覚を持つことが大事だと思います。もしそのための“チーム”を組めるなら、それが理想的。例えば、フィジカルトレーニングの専門家や食事の専門家にサポートしてもらいながら、4、5人のチームで挑戦する。“世界のトップ”を狙うと考えたら、それくらいの体制を作る必要はある気がします。
清武 間違いないですね。僕自身も「1人では限界がある」とスペインに行って感じたし、試合に出られない時間の中で、まさにコンディショニングやフィジカル、食事などの面でサポートしてもらうチームを作れたら絶対に良くなると思っていました。実はドイツ時代からそういう話はあったけれど、少しうまくいっていたからといって自分から動き出さなかったことは反省点です。世界のトップを目指すなら、そういうサポート体制は間違いなく必要だと僕も思います。
——でもきっと、海外でのそうした経験が現在の自分に生かされている部分もありますよね?
家長 大きいですね。コンディショニングについてもそうですけれど、ものの見方の幅が大きく広がった気がします。まずは単純に、「世界は広い」と体感できたことが大きかった。海外に出ると自分という存在の小ささを強く感じるし、だからこそ自分をちゃんと見つめ直さなきゃいけないと思わされました。そういう意味でも、1人のサッカー選手として海外に挑戦してよかったと感じています。
清武 同じ意見です。僕自身、ドイツではある程度うまくいっていたにもかかわらず、スペインでは完全に心を折られる経験をして、自分が甘かったことに思い切り気付かされました。しかも世界にはサッカーがうまい選手がこんなにもいて、サッカーの質そのものもこんなに違うんだと教えてもらえた。すごくいい勉強になったと思っています。
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By 細江克弥